ブラックばかりじゃない!ホワイトなベンチャー企業を見分けるコツ教えます!
2022年6月28日
Bさんは確か大手志望でしたね。そろそろ結果が出始めたところもあると思いますが、選考の状況はいかがですか?
キャリアプランナー 廣瀬
就活生Bさん
思わしくないです。コロナ不況が心配で、安定していそうな大手企業を志望したのですが、ほとんど初期選考も通過できませんでした。
コロナの混乱も落ち着いてきたし、いっそのことベンチャー企業に切り替えようか悩んでいます。でも、ベンチャー企業はブラックばかりだって聞くから不安で…。ブラックじゃない、ホワイトなベンチャー企業ってありますか?
もちろんです!ベンチャー企業はブラックばかりなんかじゃありませんよ。
でも企業規模が小さいベンチャー企業は、実際どんな企業があるのか情報を集めにくいですから、企業選びに不安を感じる気持ちはよく分かります。今回は、そもそもどんな企業がブラックなのかや、ブラックなベンチャー企業とホワイトなベンチャー企業を見分けるコツについて解説しますので、企業選びの参考にしてくださいね。
キャリアプランナー 廣瀬
目次
ベンチャー企業はブラック企業ばかりって本当?
冒頭にも述べたように、ベンチャー企業はブラック企業ばかりなどではありません。しかし確かに、そういう噂があるのも事実ですよね。ベンチャー企業は各社の規模が小さいために情報を集めにくいですし、そのうえ「ブラックばかり」なんて聞いてしまうと、企業選びに不安を感じる気持ちはよく分かります。
そこでコラムの初めに、そもそもブラック企業とはどういう企業のことを指すのかや、「ベンチャー企業はブラックばかり」という噂の真相について解説します。まずはブラック企業のこととベンチャー企業のことをよく知って、噂の真相を確かめましょう。
そもそもブラック企業とは
そもそもブラック企業には、明確な定義がありません。そのことも、単純にその企業のことをよく知らない、社名を聞いたことがないというだけで「もしかしてブラックではないか」と疑い、就活生の大手志向を加速する一因となっています。大手企業の場合は情報を集めやすいですし、誰もが知っている企業なら安心だろうという思い込みがあるわけです。
ところが残念ながら、誰もがよく知る大手企業にも「ブラック企業」と呼ばれている企業は多数存在します。ブラック企業ランキングなどをネット検索すると分かりますが、むしろその上位を占めるのは名だたる大手企業ばかりです。それを見ても、「ベンチャー企業=ブラック」という噂が真実でないことは明白でしょう。とはいえブラック企業に明確な定義がないなら、それらのサイトがどのように該当企業をブラックだと決めつけ、ランキングしているのか不思議に感じると思います。
実を言うと、ブラック企業に明確な定義は存在しないものの、世間一般に広く「ブラック企業」だと思われる、漠然とした概念のようなものは存在するのです。因みにWikipediaにはブラック企業について、異なる3つの参考文献から、以下のような異なる3つの概念が引用されています。
「新興産業において若者を大量に採用し、過重労働・違法労働・パワーハラスメントによって使いつぶし、次々と離職に追い込む成長大企業」
「従業員の人権を踏みにじるような全ての行為を認識しつつも適切な対応をせずに放置している企業」
「近年では労働基準法や関連法令を無視し、あるいは法の網や不備を悪用し、従業員に長時間労働やサービス残業などを強制する企業を主に指す」
3つの概念には何となく共通する雰囲気が見受けられますが、全く同じではありません。つまり見る人によって、ブラック企業の概念は微妙に異なります。前述のランキングサイトでは、独自の定義を設けて該当するかどうか判断し、ブラック度合いをランク付けしているようです。
もしかしたら「ベンチャー企業はブラックばかり」という噂は、上記の1番目の概念に盛り込まれた”新興産業”や”成長大企業”という言葉に注目した人が、「新しい産業で、なおかつ成長中の企業」=「ベンチャー企業」=「ブラック」という風に誤解しているのかもしれません。しかし他の概念や、ブラック企業として大手企業ばかりがランキングされていることを見ても分かるように、本来ブラック企業かどうかと、新しい企業・成長中の企業であるかどうかは無関係です。就活生の皆さんも、ベンチャー企業やブラック企業の概念について正しく理解し、誤解のないようにしてください。
ブラックばかりじゃない!ベンチャー企業にも優良企業はたくさんある
ベンチャー企業は、ブラック企業ばかりなどではないです。もちろんベンチャー企業にも、健全な経営を行っている優良企業はたくさんあります。
先ほども述べたように、ブラック企業であることと、新しい産業であることや成長中の企業であることは、全く関係がありません。ベンチャー企業がまるでブラック企業の巣窟であるかのような噂は、全くの間違いです。因みに厚生労働省では「ブラック企業」という用語を使いませんが、「若者の使い捨てが疑われる企業」と位置付けて、以下のような特徴を上げています。
労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す。
賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い。
このような状況下で労働者に対し、過度の選別を行う。
これを見ても、ブラック企業の概念に「新興産業」や「成長中の企業」といった言葉は一切出てきません。社員に長時間労働を貸すのも、コンプライアンス意識が低いのも、社員をないがしろにするのも個別の企業の問題であって、「ベンチャー企業」という枠組みとは何の関係もない話です。そして実際に、ベンチャー企業の中にも労働時間が少なく、コンプライアンス意識が高く、社員を大切にしている優良企業はたくさんあります。
ただしベンチャー企業には、大手企業に比べると比較的「ブラック企業」の概念に当てはまる企業が多く存在することもまた事実です。ベンチャー企業は会社が新しいがゆえに、経営者自体の考え方がまだ未熟な場合があったり、目指す成長や仕事量に対して社員数の増強が追い付いていない場合があったりなど、一歩間違えればブラックに走りがちな要因があることも否定はできません。
そこで重要になるのは、そのベンチャー企業がブラックなのかホワイトなのか、自分の目でしっかりと見極めることです。くり返し述べているように、ベンチャー企業にもホワイトな優良企業はたくさんありますし、就活生がホワイトばかりだと思い込んでいる大手企業にもブラックと呼ばれる企業はたくさんあります。それなのに、大手企業に比べればブラックが多いという理由だけで、ベンチャー企業を就活の選択肢から除外してしまうなんてもったいないです。
確かにベンチャー企業は大手企業に比べると企業情報を集めにくいので、ブラックかどうかの見極めが難しいと感じるかもしれません。しかしそれを上手く見極められれば、大手のように極端な選考倍率に晒されることなく、容易にホワイトな優良企業へ就職できる可能性があります。
向き不向きによって”ブラック”と感じることもある
ベンチャー企業に限った話でもないのですが、自分の向き不向きによって、ベンチャー企業全般がブラックに見えてしまう場合もあります。人間の価値観は人それぞれ異なるので、ベンチャー企業に向いている人もいれば、ベンチャー企業には向いていない人もいるわけです。
会社の規模や仕事の内容が異なるので、当然ベンチャー企業と大手企業、その他の中小企業の働き方はそれぞれ異なってきます。そのためベンチャー企業にせよそれ以外にせよ、向き不向きがあるのは当然です。自分の思い描いているような働き方ができなければ、ベンチャー企業にせよそれ以外にせよ、どんな企業も「=ブラック」という風に感じることでしょう。
たとえばベンチャー企業と大手企業やその他中小企業の最も大きな違いは、仕事の基盤となる土俵です。ベンチャー企業は創業年数が若いというだけではなくて、新しい分野の仕事に取り組んでいます。そのためベンチャー企業の仕事には、長年にわたって整備された歩きやすい道などなく、自分で創意工夫しながら道を切り開いていくのが基本です。それを苦痛に感じ、仕事に対するモチベーションが下がってしまう人もいれば、むしろ「やりがいがある」と感じ、仕事に対するやる気がみなぎってくる人もいます。そして前者になるのか、後者になるのかは、その人の価値観次第です。
ですから具体的な企業探しに入る前に、自分の価値観をきちんと把握し、ベンチャー企業向きの人間かどうか考える必要があります。次項からもっと詳しいベンチャー企業の特徴や、ベンチャー企業に就職するメリット・デメリットなどについて説明しますので、そちらと併せて自分の向き不向きを考えてみてください。
ベンチャー企業がブラックかどうか判断する前に
先ほども述べたように、個別のベンチャー企業がブラックかホワイトかという以前に、自分がベンチャー企業向きの人間かどうかという問題があります。それを見極めるためには自己分析で自分のことをきちんと把握しておくことも重要ですが、「ベンチャー企業」というものがどういうものなのかも把握しなければなりません。
そこでここからは、ベンチャー企業の特徴と、ベンチャー企業に就職するメリット・デメリットなどについて解説します。ベンチャー企業に向いている人と向いていない人の特徴についても記載しておきますので、参考にしてください。
まずはベンチャー企業の特徴を把握しよう
そもそもベンチャー企業にもブラック企業と同様に明確な定義がないのですが、一般的には「創業年数が比較的若く、新しいビジネスモデルに挑戦している成長途中の企業」のことをベンチャー企業と呼んでいます。
「創業年数が5年以内」「ベンチャーキャピタルから融資を受けている」といった細かい定義づけがなされる場合もありますが、そうでなければベンチャー企業でないのかというと、それもまた微妙なところですので、その辺りはあまり気にしなくても良いでしょう。それよりもベンチャー企業が向いているかどうか判断する材料として重要になるのは、「創業年数が若い」という点と、「新しいビジネスモデルに挑戦している」という点です。
どんな人物がそのベンチャー企業を立ち上げたにせよ、生まれた時から大人の体になっている人間はいないのと同様に、創業当時から大企業として誕生する企業はありません。ベンチャー企業は創業からの年数が若い=企業としては生まれたばかりの状態ですから、当然、”中小企業”の枠組みに相当する小さな企業規模となります。つまり大手企業に比べると資本金の額は小さく、社員数も少ないわけです。
そのためベンチャー企業では、社員一人一人が会社組織の中で果たす役割が、大手企業に比べて大きくなります。一人が担当する仕事の幅が広くなり、個人に与えられる裁量も大きいです。半面、生まれたばかりのベンチャー企業は大企業ほど会社として成熟してないので、教育体制や福利厚生など会社の制度的な面が粗削りで、完全には整備しきれていない部分があります。
それに加えてベンチャー企業は、前述のように新しいビジネスモデルに挑戦しているため、仕事のやり方も手探りとなる場合が多いです。長年にわたって培われたノウハウやマニュアルなどはなく、日々の仕事を進めながら、より良いやり方を模索していくような形となります。仕事から学んで自らも成長し、それに伴って会社も成長していくのがベンチャー企業の大きな特徴です。ベンチャー企業では大手企業などと違って個人の成長が会社の成長に直結しているため、自己成長を促す企業が多く、実力次第で昇進や昇給・賞与が決まる「成果主義」を取り入れている企業も多くなっています。
ベンチャー企業に就職するメリット
上記に挙げた特徴から、ベンチャー企業で働くことには、大企業やその他中小企業とは異なるメリットとデメリットが発生します。具体的な企業選びに移る前にそれらも一通り把握して、自分に向いているかどうかの判断材料にしましょう。
様々な経験をすることができ、個人のスキルを磨ける
社会人経験が豊富な人の考え方を身近で学べる
会社に対する貢献度を感じやすい
裁量権を与えられ、自分のやりたいことに挑戦させてくれる
年齢や経験に関係なく、上に上がることができる
昇進しやすく、若いうちから稼げる可能性が高い
先ほども述べたようにベンチャー企業は社員数が少ないため、社員一人一人の仕事の範囲が広く、与えられる裁量も大きくなっています。それは年功序列であるために第一線で活躍できるようになるまで長い下積みを要する大企業と違って、入社後すぐに活躍の場が与えられるということです。最初は覚えることが多いので大変ではありますが、様々な仕事を経験できて自分の適性を見極めやすいとともに、若いうちからスキルを磨くことができます。
またベンチャー企業は大企業に比べて会社の規模が小さいため、社長や役員、カリスマ的能力を持った社員など、社会人経験豊富な人物との距離が近いのもメリットの1つです。社員数の多い大企業ではそうした人物を見かける機会すらほとんどありませんが、ベンチャー企業ではそうした人物の仕事ぶりを直に見ることができ、時には気軽に意見交換したり仕事に対するアドバイスを求めたりすることもできます。そのようにベンチャー企業では、自分自身も幅広い仕事にチャレンジでき、社会人経験豊富な人から直に学ぶことによって、社会人としての成長が早くなるのです。
またベンチャー企業の場合、若いうちから様々な仕事を経験させてもらえることや、自分の成長と会社の成長が直結していることで、会社への貢献度も感じやすくなります。組織が大きいためにその仕事が誰のおかげで成し遂げられたのか分かりにくくなってしまう大企業と違い、ベンチャー企業では頑張れば頑張るほどその成果が目に見える形で現れ、仕事に対するモチベーションを高く維持しやすいです。
しかも頑張って実績を示せば、自分に与える裁量の幅はどんどん広がっていきます。会社組織が小さく社内の風通しも良いので、自分の意見が仕事に反映されやすく、自分のやりたいように仕事を進めていくことが可能になるわけです。自主性を重視し、入社後も自由に動きたい人にとっては、大企業よりベンチャー企業の方が向いています。
それに加えてベンチャー企業は、大企業によくある年功序列ではなく「成果主義」を取り入れている企業が多いので、年齢や経験に関係なく昇進・昇給が可能です。ベンチャー企業では自分が頑張れば頑張るほど若くても昇進・昇給ができ、頑張り=出世・収入という風に直結しています。とにかく仕事が好きでバリバリ働きたい人、若いうちから稼ぎたい人は、大企業よりベンチャー企業の方が向いていると言えるでしょう。
ベンチャー企業に就職するデメリット
ベンチャー企業には上記のようなたくさんのメリットがありますが、同時にもちろんデメリットもあります。自分がベンチャー企業に向いているかどうか判断するためには、デメリットも把握しておくべきです。以下にベンチャー企業に就職するデメリットについて説明しますので、自分にとってそれが許容できる範囲のものかどうか考えながら参照してください。
ハードワークの場合がある
教育体制や福利厚生が充実していない可能性もある
うまくいかなければ失業のリスクがある
先ほども述べたように、ベンチャー企業では若いうちから様々な仕事を任せてもらえる分、最初から覚えることが多いので、確かに大企業より仕事は大変かもしれません。企業によっては所属する社員数で可能と思われる以上に高い成長を目指すことによって、労働時間が長くなり、一人だけ帰りにくい雰囲気を生み出してしまうこともあります。毎日ピッタリ定時で帰りたい、仕事に情熱を注ぐよりプライベートな時間を大切にしたいと考える人には、あまり向いていないかもしれません。
また前述のようにベンチャー企業では、教育体制や福利厚生など会社の制度的な面がまだまだ粗削りで、完全には整備しきれていない場合があるのもデメリットです。仕事は自分で試行錯誤しながら学んでいく形で、手取り足取り事前に教えてもらえるわけではないので、マニュアル通りに仕事をしたい人にはあまり向いていないでしょう。法律で定められた休暇制度はどの企業にもあるはずですが、いっそう手厚い福利厚生を望む人にも、あまり向いていないと言えます。
そして、そもそも新しいビジネスモデルに挑戦しているベンチャー企業では、その事業が必ずしも上手くいかない場合があるのもデメリットの1つです。ベンチャー企業の場合は資本金が小さいですから、万一事業が失敗すれば当然、倒産・解雇=失業のリスクもあります。
ベンチャー企業で働いていくためには、そうしたデメリットやリスクを承知の上で、それでもメリットの方を取りたい=「挑戦したい」「成長したい」「稼ぎたい」というガッツが必要です。その覚悟のないままベンチャー企業に就職してしまうと、後からデメリットやリスクに気付き、「=ブラック」という風に感じてしまう場合があります。ですから今のうちに自分の性格とメリット・デメリットを照らし合わせて、自分がベンチャー企業に向いている人間かどうか判断してください。
自分にとってのブラックベンチャー・ホワイトベンチャーを見極めよう
ここまで読んで何となく理解できた人もいると思いますが、ベンチャー企業がブラックなのではなくて、「自分の価値観に合わない企業=ブラック企業」です。
確かにベンチャー企業は大企業に比べるとハードワークになるケースが多いですが、それをもって直ちに「=ブラック」とは言い切れません。もちろんそれをブラックと感じる人もいるでしょうが、一方で多少時間外労働が多くてもバリバリ仕事をこなして「バリバリ出世したい・稼ぎたい」「どんどんスキルを身に付けたい」と考える人にとっては、ちっともブラックではないのです。むしろ努力次第でそういうことが可能になるチャンスを与えてくれることに感謝し、ホワイトだと感じている人も少なくないでしょう。
教育制度の不備に関しても、自分で試行錯誤を重ねることを苦痛だと感じ、ブラックだと思う人もいるでしょうが、むしろ会社のやり方を押し付けられないぶん仕事の自由度が高く、自分のやりたいように仕事ができて満足だから、ホワイトだという人も結構います。福利厚生の不備にしても、それが自分にとって重要なものでなければ、働く上で特別に支障を感じません。経営状態のリスクを喜びと感じる人はあまりいないと思いますが、前述のように人間と同様、最初から大企業として生まれる企業はありません。そうしたデメリットも含めてベンチャー企業は、今なら自分の力でその企業を大企業に押し上げることができ、もしかしたら遠い将来、大企業の中心人物になれるかもしれないというポテンシャルを秘めています。
今や押しも押されぬ大企業となった楽天グループもサイバーエージェントも、ほんの少し前まではベンチャー企業と呼ばれていました。その当時、会社と自分の可能性を信じ、頑張り続けた人たちが、今それら大企業の中心人物となっているわけです。将来的に会社の経営陣に入りたいなら、すでに大企業になっている企業に後から入社するよりも、成長途中にあるベンチャー企業の方が、圧倒的に可能性があります。
要は、そうしたメリットやポテンシャルが自分の価値観とどれほどマッチするか、デメリットやリスクの部分が自分の価値観においてどれほど我慢できないものかが、ブラックなベンチャー企業とホワイトなベンチャー企業の分かれ目なのです。もしも自分の価値観に照らして、ベンチャー企業の特性がフィットしそうだと感じるなら、自分に合ったベンチャー企業を見つけましょう。
大まかに見ればベンチャー企業にはこれまで説明してきたような特性が共通していますが、どの部分がどの程度強いかは、企業ごとに異なります。そして当然、自分の方もどの部分をどの程度重視するか、人によって異なるはずです。たとえベンチャー企業向きの人でも、自分の価値観に合ったベンチャー企業を選ばないと、のちのち「やっぱりブラックだった」と感じかねません。ですから自分の選んだベンチャー企業が入社後も「ホワイトだった」と思えるように、自分の価値観に合ったベンチャー企業を見極めることが大切です。
ブラックベンチャーとホワイトベンチャーを見分けるコツ
先ほど述べたように、志望するベンチャー企業選びでは、自分にとってブラックなのかホワイトなのかを見極めることが重要になります。しかしそれを見極めようにも、何を頼りに、どうやって見分ければよいのか分からない就活生も多いですよね。
そこでここからは、自分にとってブラックなベンチャー企業とホワイトなベンチャー企業を見分けるコツについて解説します。自分にとってのホワイトなベンチャー企業を見つけられるように、しっかり読んでポイントを押さえてください。
自己分析と企業研究から相性を見極める
自分にとってのホワイトなベンチャー企業とブラックなベンチャー企業を見分けるには、その前提として自分と企業に対する深い理解が不可欠です。自分の価値観を把握していなければ、当然その企業が自分にとってブラックなのかホワイトなのか判断できません。逆に企業のことをよく知らなければ、ブラックなのかホワイトなのか判断するための材料がないわけですから、やはり同様に判断がつかないでしょう。
ですから、まずは自己分析と業界・企業研究を徹底して自分と企業に関する理解を深めてください。その上で、そこが自分に合ったホワイトなベンチャー企業なのか、それとも自分には合わないブラックなベンチャー企業なのかを見極められる、明確な就活軸を定めます。それを基に、自分と企業との相性を見極めるのです。
実を言うと自分と企業との相性の見極めは、何もベンチャー企業を選ぶ場合に限った話ではありません。どんな企業を選ぶ際にも、自分と企業に対する理解を深め、相性を見極めることは大事です。しかしベンチャー企業の場合には、一般的にはブラックと判断する人も多い要素を含んでいるので、自分との相性の見極めがより重要になります。
これまでの就活の中でも一通り自己分析や業界・企業研究を済ませているとは思いますが、ここでベンチャー企業を前提とし、改めて自己分析と業界・企業研究をやり直しましょう。ベンチャー企業に就職する上で自分にとって譲れない部分はどこか、どんなベンチャー企業なら自分の強みを活かせそうか考え、相性の見極めに役立つ明確な就活軸を定めてください。
ベンチャー企業の研究や実際の企業探しではココに注目!
自分にとってのホワイトなベンチャー企業とブラックなベンチャー企業を見分けるためには、以下のような点に注目して企業研究を行うと良いです。
【ビジネスモデル】
ブラックなベンチャー企業に引っかからないために研究で注目すべきは、その企業のビジネスモデルです。自分のやりたいことができなかったり、自分の強みを活かした働き方ができなかったりすると、仕事の上での不満がたまり、「ブラックだ」と感じやすくなります。
しかもビジネスモデルが良くないベンチャー企業は仕事と収益の効率が悪く、個人的にも長時間労働の割には大して稼げないし、成長できません。それではせっかくベンチャー企業に就職するメリットが活かせないため、入社後「ブラックだ」と感じる可能性が高くなります。ですからベンチャー企業の企業研究では、まずはその企業の仕事とビジネスモデルに注目しましょう。
またベンチャー企業のビジネスモデルは、その企業が将来的に大企業へと成長する可能性があるか、中小企業のまま終わってしまいそうか、倒産のリスクがどれくらいあるかといったポテンシャルを見極めるのにも役立ちます。ベンチャー企業は基本的に新しいビジネスに挑戦していますから、それが今後いっそう社会で必要とされそうなビジネスなのか、成長に向けて明確なビジョンが描かれているかといった視点でチェックすると良いです。
【会社の規模】
誤って自分にとってブラックなベンチャー企業を選んでしまわないためには、その会社の規模にも注目しましょう。一口にベンチャー企業と言っても、実は意外と幅広い規模の企業があります。なぜなら、本当に出来立てほやほやで、社員も数名しかいない段階のスタートアップと呼ばれる企業もあれば、創業から数年成長を続け、社員数も数十人、数百人と堅実に増えているベンチャー企業もあるからです。
自分の中で思い描いている”ベンチャー企業”のイメージと、その企業の規模が一致しないと、「ブラックだ」と感じやすくなります。実際には思ったより大きな組織になっていて自分のやりたいことができなかったり、逆に自分の予想した以上に経営が不安定だったりすれば、ミスマッチから「ブラックだ」と感じるわけです。
ですからベンチャー企業選びにおいては、その会社の規模をきちんと把握しておくことも大事です。創業からの年数や現在の従業員数、従業員数の経年変化などに注目し、自分のイメージに合うベンチャー企業かどうか確認してください。
【離職率と募集状況】
ベンチャー企業がブラックかホワイトか見分けるには、就職四季報などに掲載されている離職率と募集状況にも注目しましょう。離職率が高いということは、それだけ実際に働いてみて、その企業で働き続けたくない・辞めたいと思った人が多いということです。そのため離職率をチェックすると、その企業がブラックかどうか推測しやすくなります。誰もが辞めたいと思う企業は必然的に離職率が高くなり、必然的に常時人手不足となって、その欠員を補うためにやたらと大量募集しています。
ただしベンチャー企業の場合、大企業に比べると全体的に多少は離職率が高くなるのはやむを得ません。その企業うんぬん以前に、入社後”ベンチャー企業”という枠組みそのものが合わないことに気づいて辞めていく人もいます。またベンチャー企業の経営者には独立に対して理解のある人が多いので、ベンチャー企業である程度仕事や経営について学んだ後、独立のために退職する人も少なくないです。
ですからベンチャー企業の離職率を、大企業のそれと比較してもあまり意味がありません。同じベンチャー企業の同業他社と比べて、極端に高い離職率となっていないかどうかを見るようにしてください。
【社長や幹部役員のバックグラウンド】
ベンチャー企業がブラックかホワイトか判断する上では、その企業を立ち上げた経営陣が、どんな人たちなのか知っておくことも大事です。社長や幹部役員といった会社の経営陣が、会社の方針を決め、その行く末を大きく左右します。つまり会社の方針がどんなものに由来し、どんな根拠に基づいているのかをチェックするわけです。
一般に「優良」と言われるホワイトなベンチャー企業の場合は大抵、社長や幹部のバックグラウンドがしっかりしています。会社を起こす前にもともとどこかの企業やその業界において活躍し、企業経営やその業界の仕事に精通している場合が多いです。そこで学んだノウハウを基にビジネスモデルやビジョンを立てるからこそ、成功率が高くなるのでしょう。しかし社長や幹部がもともと素人だと、会社の経営や仕事の効率が悪くなり、事業に失敗する確率が高くなります。
ベンチャー企業の場合は、新しいビジネスを展開しているからこそ、その根拠となるものが大事です。ですからベンチャー企業の研究の際は、その会社の社長や幹部社員の経歴をチェックしたり、社長が述べている言葉の内容をチェックしたりして、根拠のあるビジネスを展開できているかどうか見極めましょう。
【働く上での待遇面】
そのベンチャー企業が自分にとってブラックかホワイトか見極めるには、仕事そのもののやりがいや経営の安定性だけでなく、その企業が提供する待遇面が自分の価値観に合うかどうかも重要です。社員の研修、退職金、ボーナスなどの制度があるかどうか、昇給のタイミングはいつか、どんな福利厚生があるかといったことも確認しましょう。
ベンチャー企業は創業年数が若く、大企業と違って会社としてまだ完全には成熟しきっていないので、制度や福利厚生などの面で至らない部分がどこかしらあるはずです。その至らない部分が自分にとって重要でなければ問題ないですが、自分にとって重要と感じるものだった場合には、仕事をする上で不満が積もり、「ブラックだ」と感じやすくなります。
しかも、それらは生活が成り立つかどうかや働きやすさ、仕事に対するモチベーションに関わる部分でもあるので、不満を感じると退職につながる可能性が高いです。ですから志望するベンチャー企業を探す際には、研修・退職金・ボーナス・昇給・福利厚生などの面も自分の価値観に合うかどうかきちんとチェックしてください。
【実際に働いている人の声や会社の雰囲気】
ベンチャー企業がブラックかホワイトか見極める上では、実際に働いている人の声や会社の雰囲気なども参考にすると良いです。「類は友を呼ぶ」というように、大抵の会社には同じ価値観を持った人間が集まっていて、それが独特な会社の雰囲気を作り出しています。つまり会社の雰囲気が自分に合わない場合、入社しても職場の人たちと価値観が合わず、人間関係がうまくいかずに「ブラックだ」と感じてしまう可能性が高いのです。
そのため会社の雰囲気(=社風)が、自分に合うか合わないかは働く上で非常に重要になります。実際に職場見学などに参加して自分の目で見て感じ取ったり、OB/OG訪問で職場の雰囲気について聞いたりすると良いでしょう。またネットの口コミなどを見ると、その会社を受けた人や以前そこで働いていた人などの意見を聞くことができ、参考になります。
ここまで述べたように、ベンチャー企業の企業探しでは、大企業とは異なる視点で企業研究を行う必要があります。自分に合わないブラックなベンチャー企業に引っかからず、自分に合ったホワイトなベンチャー企業を見つけるために、じっくりチェックして見極めてください。
就活エージェントに紹介してもらうのが安全!
ベンチャー企業の企業探しをする上では、就活エージェントに紹介してもらうのが一番「安全・確実」です。前述のようにベンチャー企業は見極めるべきポイントがたくさんあるのですが、残念ながらベンチャー企業は大企業と違い、情報収集が難しい側面があります。
ベンチャー企業の場合、会社の雰囲気を知りたくてOB/OGを探そうにも、自分と同じ大学の出身者がいない場合が多いです。ネットや新聞といったメディアで見つけられる情報も少なく、ネットに書かれた口コミが果たして的を得たものなのかどうか判断しかねるケースもあると思います。またベンチャー企業の場合は、会社の経営状態や将来のポテンシャルを知りたくても、大企業と違って新しいビジネスモデルであるため、株価や業界の経済状況はあまりあてにはなりません。自分にとってブラックかホワイトか自力で見極めようとすると、確かな情報を入手できず、行き詰ってしまう就活生もいるでしょう。
しかし就活エージェントに頼れば、そうした情報を簡単に入手できます。就活エージェントは契約企業の実情を把握しているので、その企業の業界での位置づけや、会社のビジネスモデル、雰囲気、経営状態といったものまで一気に分かるわけです。もし把握していない情報があれば、就活生に代わって企業に問い合わせを行い、調査してくれます。ですから就活エージェントに頼れば、自分で苦労して不確かな情報を集めるよりも、ずっと確実に自分にとってブラックかホワイトか判断できるわけです。
しかも実を言うと、就活エージェントに頼れば苦労して自力で企業を探す手間すらありません。ベンチャー企業を志望する就活生はただ、就活エージェントに自分の就活軸や譲れない条件などを伝えるだけで良いのです。就活エージェントがあなたに代わり、あなたの希望にピッタリ合った「あなたにとってのホワイトなベンチャー企業」を、あっという間に探し出してくれます。つまり就活の面倒な部分を全部代行してもらえるので、実際にその企業を受ける以外の手間はほとんど必要ありません。
そのうえ就活エージェントは、紹介してくれたベンチャー企業1社1社の選考傾向まで把握しているのです。その企業でどんな人物が求められていて、どんな質問が多く、どんな回答が好まれるか知っている上で、その企業にピッタリ合った選考対策をアドバイスしてくれます。自力でベンチャー企業の選考に挑むよりも、ずっと楽で確実に内定を獲得できるはずです。
キャリchでも、自分のこだわり条件に合った納得の内定を核としたい就活生を支援するイベント「再就活サポート」を開催しています。イベントの利用は完全無料ですので、ぜひ気軽に活用してください。私たちプロと一緒にあなたにとってのホワイトなベンチャー企業を見つけ、あなたが納得のいくベンチャー企業の内定を二人三脚で獲得しましょう!
こんなベンチャー企業はブラックかも?
ここまで述べてきたように、自分の価値観に合うかどうかが、ブラックかホワイトかの分かれ目です。ベンチャー企業にせよその他の企業にせよ、そのことに変わりはありません。
ただし大企業と比較すると、ベンチャー企業には大半の人にとって「ブラック」と考えられる企業が多いのもまた事実です。大手志望からベンチャー志望に切り替える人には、そういう企業を間違って選んでしまわないか、不安を感じる人もいるでしょう。
そこでここからは、大多数の人がブラックと位置付ける特徴をもとに、「こんな要素があったらブラックな可能性が高いから要注意」というブラック例を挙げておきます。企業選びに失敗しないための参考にしてください。
離職率が高く、やたらと大量募集
同じベンチャー企業の同業他社と比較しても離職率が高く、やたらと大量募集を行っている企業は、いわゆる「ブラック企業」である可能性が高いです。
先ほども述べたように、ベンチャー企業は大企業と比べると、多少は離職率が高くなる傾向があります。そのため大企業に比べてちょっと離職率が高いからと言って、直ちにそれが=ブラックである証拠にはならないです。とはいえ、同じ業界で同じ規模のベンチャー企業と比べても離職率が高いのは、その企業自体に何かしらの問題があると考えざるを得ません。
離職率は入社しても辞めてしまう人の割合ですから、基本的には離職率が高ければ、それだけ多くの人が「辞めたい」と思うような問題がある証拠となります。もちろん離職率が高くなる要因は企業ごとに異なり、それが自分にとって重要なものでなければ支障はないわけです。それでも離職率が高いということは、多くの人が「辞めたい」と思う理由が何かしらあるはずですから、それが何なのか確認してください。
最初に述べたように、それがベンチャー企業かどうかとは無関係ですが、社会の一部には社員に快適な労働環境を提供しようとせず、使い捨ての駒のように扱う企業があるのは事実です。同じくらいの規模の同業他社と比べて離職率が高く、常にやたらと大量募集している企業は、厚生労働省の指摘する「若者の使い捨てが疑われる企業(=ブラック)」に該当する可能性があります。離職率が高い=ブラックというわけではありませんが、その理由はきちんと把握して、社員を使い捨てるようなブラック企業に引っかからないよう注意しましょう。
精神論が横行し、なんだか宗教っぽい
職場で精神論が横行し、「なんだか宗教っぽい」と感じさせるのも、ブラックなベンチャー企業の特徴です。社長や幹部が会社の中で教祖のように絶対的な権力を握っていて、社員を言葉でマインドコントロールしている恐れがあります。
そのような職場だと、仕事の上で社員が全く裁量権を与えられず、ベンチャー企業のメリットである自主性の高い自由な働き方ができません。それどころか理不尽な精神論で無理難題を押し付けられたり、コンプライアンスに反する行為を無理強いされたりして、仕事の上で苦労する可能性が高いです。またそのような職場では、上層部に異を唱えることが許されないため、パワハラなどのハラスメントが常態化していることがあります。
職場見学や企業説明会を通して精神論や宗教っぽい雰囲気を感じたら、そのような職場でないか、よくよく注意して観察してください。会社のリーダーには強いリーダーシップが不可欠とはいえ、過度な先導はブラックのもとになります。
時間外労働が多い
企業研究の中で社員の時間外労働があまりに多いと感じたら、ブラックなベンチャー企業である可能性を疑うべきです。厚生労働省の基準やその他のブラック企業の概念にもあるように、過度な長時間労働を強いるのは、社員の健康状態を考えず使い捨てにする「ブラック企業」の典型的な特徴となっています。
言うまでもないことですが、あまりに長時間労働が続くと、肉体的にも精神的にも良くありません。数年前にはそのような過重労働で追い詰められた某大手企業の若手社員が、自殺によって命を落としたというニュースも話題になっていました。そのようなことにならないためにも、時間外労働が多すぎる企業には注意してください。
ベンチャー企業の場合は成長途中であるため、一般的な大手企業の平均と比べると、時間外労働が多くなる傾向はあります。個人的にもきちんと残業代を支払ってもらえるなら、自己成長のためにも収入を増やすためにも、バリバリ働きたいという人もいるでしょう。それはそれで良いことですが、体調や私生活とのバランスも大事ですので、自分にとって無理のない労働時間かどうか考えておくことも大切です。
おわりに
しつこいようですが、ベンチャー企業はブラックばかりなどでは決してありません。ただし自分の価値観に合わないと「ブラックだ」と感じやすくなるので、自分と企業との相性を考え、自分に合ったベンチャー企業を選ぶことが大切です。
一般的には、社員への待遇や福利厚生が充実していて働きやすい環境が整えられ、社員の自己成長を促すために高い裁量権を与えられているベンチャー企業が、ホワイトなベンチャー企業と考えられます。そのようなベンチャー企業を見つけるためには、ビジネスモデルなどのポイントに注目し、しっかりと企業を見極めなければなりません。
しかしベンチャー企業の場合は、企業を見極めるのに十分な情報を自力で集めることが難しいので、就活エージェントなどのプロの力を借りて、確実にホワイトなベンチャー企業を探してもらうのがオススメです。
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この記事の監修者
廣瀬 舞
株式会社ジールコミュニケーションズ
HR事業部マネージャー
大学卒業後、教育機関を経て入社。7年間、キャリアカウンセラーとして新卒・中途・既卒求職者の就職を支援し、これまでに4000名以上の求職者を担当し内定まで導いている。女性ならではの親切丁寧な対応が定評を呼んでおり信頼度が厚い。
就活支援の得意分野は「面接対策」。特に現代ならではの動画面接、オンライン面接の対策実績は1000社以上、2000名以上を支援してきた実績がある。
また、これらの知見を活かして学校におけるキャリアガイダンス セミナー内容の監修、講師を務めるなど、幅広くキャリア育成に尽力している