大学院を辞めたい|就活への影響や対処法、注意点も徹底解説
2024年10月29日
就活生 Aさん
大学院を辞めたいと考えているのですが、就活への影響はありますか?
大学院を辞めると就活に影響を及ぼす場合があります。大学院を辞めると既卒として就活をしていくことになるので、新卒枠とは異なるのです。
キャリアアドバイザー 平崎
就活生 Aさん
そうなんですね。他にはどのような影響がありますか?就活への影響次第で大学院を辞めるかどうか決めたいです。
わかりました。今回は大学院を辞めた際の就活への影響について詳しく解説していきます。大学院を辞めたいと悩んだ時の対処法も合わせて解説するので、参考にしてください。
キャリアアドバイザー 平崎
目次
大学院を辞めたい!就活に及ぼす影響とは
大学院を辞めたいと思っているけど、就活への影響があるのではないかと不安を感じている人も多いと思います。では実際、大学院を辞めることで就活に影響は出るのでしょうか。
大学院を辞めたことによる、就活への影響は以下の通りです。
就活への影響について詳しく解説していきます。
大学院卒としての応募資格がなくなる
大学院を辞めてしまうと、「大学院卒」としての応募資格がなくなり、その分応募先の選択肢が減ることになります。
せっかく途中まで学んでもその資格がなくなるのはもったいないです。
また大学院卒の場合、基本給が高い場合がありますが、大学院を辞めてしまうとそれらの資格もなくなってしまうでしょう。
新卒枠で就職活動ができない
大学院を辞めてしまうと「既卒」として就活を行うことになります。既卒とは、学校を卒業しているものの、社会人としての経験がない人のことを指します。
既卒は新卒よりも求人数が少ない傾向にあるため、十分に対策しないと苦労します。さらに中途採用者などがライバルになる場合もあり、社会人経験のない既卒者は不利になる場合があるでしょう。
社会人経験がないうえ、”大学院を途中でやめている”ため、企業によっては悪い印象を抱かれるかもしれません。
既卒でもやり方次第で十分就活を成功させることはできますが、やり方を考え、対策を十分に行わないと苦労してしまうでしょう。既卒の就活について詳しく知りたい人は、以下のコラムも合わせてチェックしましょう。
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「既卒の就活」の流れと成功させる方法。内定獲得のための秘訣を伝授
企業からの印象が悪くなる場合がある
大学院を辞めた理由によって企業からの印象が悪くなる場合があります。
経済的、身体的(病気など)による理由なら仕方ありませんが、疲れたからといった曖昧なものや、つらかった・厳しかったなどといったものは印象が悪くなります。
また、大学院まで通っている人に対して「特定の分野に長けている」といった好印象を持ちますが、途中で辞めてしまうと継続力がない・入社してもすぐ辞めそうと思われてしまうので、より印象が悪くなるでしょう。
理系の場合、就活で不利になりやすい
理系の場合、研究内容が仕事に直結する場合が多いことから、大学院を中退してしまうと就活で不利になりやすいです。
実際に、大手企業の専門職では、大学院卒が応募条件になっている場合も少なくありません。
また、研究職になるためには「修士卒業」が必要になる場合が多いですが、大学院を辞めてしまうと修士卒業の資格がなくなるため、研究職の夢も経たれるでしょう。
理系の人で大学院を辞めたいと考えていたり、今後の就活への不安を抱いている人はキャリチャンの就活支援サービス「理系就活サポート」に参加するのがオススメです。大学院を辞めるべきかどうかを、辞めた後の影響から一緒に考え、理系ならではのサポートを行います。それに応じた求人の紹介も行っているので、ぜひ頼ってみてください。
大学院を辞めたいと感じる理由
頑張って受験し、時間とお金をかけて入学した大学院なのに「辞めたい」と感じてしまうのはなぜなのでしょうか。
ここではそんな大学院を辞めたいと感じてしまう理由について解説していきます。
上記のような理由から、大学院を辞めたいと感じる人が多くいます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
目的なく進学した
目的なく大学院へ進学した場合に、途中で辞めたいと感じてしまうことがあります。
多くの人は、将来こうなりたい、こんな研究をやりたい、この研究から社会でこう貢献したいといった目的から大学院進学を選びます。
しかし、「すぐに就職したくないから」「就職で有利になりそうだから」といった曖昧な目的のまま進学した人は目標がないため、辞めたいと感じやすいです。
目的がないと興味のない研究に対しても嫌気をさしやすく、大学院にいる意味が見出せなくなるでしょう。
教授と合わない
教授と合わない場合にも、大学院を辞めたいと感じてしまうことがあります。
大学院では教授に手伝ってもらったり、教えてもらう機会が多いため、研究に集中するためには教授との関係が重要です。
そんな長い時間関わることになる教授との相性が大事な中、合わないと感じると「大学院を辞めたい」と思ってしまうのです。
教授も人なので、相性は少なからず影響します。相性が悪い場合には研究室にいることがストレスになるので、辞めたいと感じるのは当然のことでしょう。
金銭的に厳しい
金銭的に厳しくなった場合にも、大学院を辞めたいと感じることがあります。
大学院には膨大なお金が必要です。国公立大学の大学院の場合、平均して約138万円くらいかかります。
奨学金制度を利用している人からすると、将来的な返済のめどを考えたときに厳しさを感じることもあるでしょう。厳しさを感じたとき、「辞めたい」と思ってしまう人は少なくありません。
また、大学院が充実せず膨大なお金を払う価値がわからなくなることで「こんなにお金を借りてまで行く意味があるのか」となってしまう人もいます。
研究内容に興味がなくなった
研究に興味がなくなってしまうと、大学院を辞めたいと感じてしまいます。
基本的に大学院は特定の分野を極めるために進学します。そしてその研究が生活の中心となります。そのため、そんな研究に対して興味が持てなくなると、大学院に行く意味が見出せなくなるのです。
はじめは興味があったけど、徐々に気持ちが薄れていき、早く就職した方がよいのではないかと考えるようになることで、大学院を辞めたいと思ってしまいます。
想像より厳しかった
大学院での生活が想像以上に厳しかったと感じた場合、早々に辞めたいと感じてしまいます。
大学院では研究の他にも講義の受講、修士研究、TAや授業の手伝い、研究室の雑務などもこなさなくてはなりません。生活のためにバイトなどもしなくてはいけないこともあるでしょう。
そんな生活に対して大学とのギャップを感じたり、想像以上の忙しさ・厳しさを感じると辞めたくなるのです。
周りが就職していることが不安になった
周りが就職している中、自分だけ学生でいることに不安を感じてしまうと、大学院を辞めたいと思ってしまうことがあります。
大学院に進学した場合、大学時代の同級生は一足先に社会人となり、充実しています。
自分が研究に明け暮れている中、同級生は社会人として充実した生活を送っていたり、金銭的余裕のある生活をしており、そんな姿に憧れを抱くこともあるでしょう。
そしてその憧れから、「なんで自分は研究ばかりしているんだろう」「早く社会人になりたい」と思うようになり、大学院を辞めたいと感じるようになるのです。
将来的に今やっていることが仕事や就活に活きるとわかっていても、周りの状況から焦りを感じてしまうことはよくあることです。
大学院を卒業することで得られるもの
大変で忙しい大学院ですが、大変だからこそ大学院を卒業すると得られるものが多くあります。得られるものは今後の就活にも活かされるものばかりのため、大学院中退を選択する前にチェックしておきましょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
学歴
大学院を卒業すると、大卒より高い学歴を得ることができます。
大学院卒は、最高学歴「博士課程修了」の次に位の高い「修士課程修了」を得られます。「修士課程修了」という学歴を得られれば、民間企業への就職の他に、博士課程の道も選べるため、選択肢が広がります。
また、大学院を卒業すれば、これまでの勉学について評価・期待されるため初任給や給料が高くなる傾向にあります。
大学 | 大学院 | |
---|---|---|
男 | 22万9,700円 | 27万1,900円 |
女 | 22万7,200円 | 25万6,900円 |
男女計 | 22万8,500円 | 26万7,900円 |
厚生労働省が発表している「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」からも、大学院卒者の給与の高さがわかります。
大学院を辞めてしまうとこの高い給与も手放すことになり、これまでにかけてきた時間とお金を無駄にすることになるでしょう。
就職幅の広さ・選択肢の多さ
大学院を卒業すると、就職の幅が広がり、選択肢も多くなります。
大学院で特定の分野について学ぶことで、それらを活かせる企業に重宝されます。また、特定の仕事でなくても大学院で学んだことは幅広い企業で重宝されるため、選択の幅が広がるでしょう。
さらに、大学院を卒業すると応募資格「大学院卒」にも該当するため、大学生よりも選択肢が多くなります。選択肢が増えると仕事選びも楽しくなるし、就活もしやすくなるでしょう。
大学院卒ではどんな求人があるのか、具体的にどれほど選択肢が広がるのか知りたい人は、キャリチャンの就活支援サービス「就活相談サポート」に参加しましょう。大学院を卒業した人ならではの企業を紹介します。
仕事で役立つスキル
大学院を卒業すると、仕事で役立つスキルを得ることができます。大学院では専門的なことを学ぶために時間が割かれるため、卒業する頃には必ずスキルが身につきます。
学んだことが専門職で活かされるのはもちろん、多くの企業においても得たスキルは重宝されるため、多くの企業で役立つでしょう。
事前にスキルを持ち合わせていることは強みとなるため、選考においても有利に働きます。
研究職という職業
大学院を卒業すると、「研究職」になるための権利を得ることができます。
研究職とは、公的機関や民間企業で、様々な研究に従事する職種です。研究職はある程度の知識や経験がないとできないので、大卒で1から育てるといったことはありません。つまり、大学院卒だからこそなれる職業なのです。
これからもずっと研究をしていきたいと考える人にとっては、卒業することが大きな財産となります。
大学院を卒業することで失うもの
大学院を卒業すると様々なものを得ることができますが、実は人によって「失うもの」がある場合もあります。
具体的には以下の通りです。
必ず失うわけではないものの、人によっては大きな損失を感じる場合もあるので、チェックしておきましょう。
社会人としての経験
大学院を卒業すると、同学年と社会人としての経験や差が生まれます。大学院で学んでいる間に同級生は社会人になっています。
大学院にいる期間によっては、同級生と社会人との差が2〜7年生まれる場合があります。自分が社会人になったとき同級生はすでに2〜7年社会人としての経験を積んでいることになるのです。
学力やスキル面では優れていても、差の開いた2〜7年分の社会人としての差を埋めるのは大変です。状況や企業によっては役職などで差を感じるかもしれません。
視野の広さ
大学院を卒業することで、視野の広さを失うことがあります。大学院では研究が中心の生活となることから、「大学院卒業=研究職」となってしまいがちです。
研究職に自分の希望に合う企業があれば、とくに問題ありませんが、そうでない場合には視野の狭さが仇となるでしょう。
就活では自分に合う企業を見つけることが大切なため、視野が狭まってしまう恐れがあるのは大きなデメリットです。研究職に限らず、どのような仕事が自分に向いているのかを考えるようにしましょう。
大学院を辞めたいと悩んだ時の対処法
周りが社会人になっていることへの焦りや、大学院に不安を感じることで「大学院を辞めたい」と考える人は多くいます。しかし、就活への影響を考えると、すぐに辞める選択をするのではなく、一度踏みとどまることをオススメします。
ここではそんな、大学院を辞めたいと悩んだ人のための対処法を解説していきます。一度踏みとどまった際にしてほしいことを紹介していくので、チェックしてみてください。
大学院を辞めたいと悩んでいる人は、上記の対処法を実践してみると、気持ちが変わるかもしれません。
まずは自分の中で辞めたい気持ちを整理する
大学院を辞めたいと悩んだ時は、まずは自分の中で辞めたい気持ちを整理してください。
中途半端な気持ちのまま辞めたり、一次的な感情で判断すると、後で後悔する可能性があります。なので、なぜ辞めたいと思っているのか、一時的な感情ではないかなどを考えるようにしましょう。
また、気持ちを整理するために、冷静に考える時間を十分に設けることが重要です。そうすれば、一時的な感情に惑わされず、考えることができるでしょう。
大学院を辞めた後の就活や生活について考える
大学院を辞めたいと悩んだ時は、辞めた後の生活について考えてみてください。
大学院を辞めると就活へ様々な影響を及ぼします。それらが自分の将来のプランおいてに影響がないか、大学院をやめてもいいと思えるものなのかを考えることが重要です。
さらに大学院を辞めたあと、就職が決まるまでの金銭面などの問題もあります。金銭面を含めた生活面についても考えた上で、すぐに大学院を辞めるのと卒業するのと、どちらがいいのかを考えましょう。
休学を考える
大学を辞めたいと悩んだ時、いきなりやめることを選択するのではなく、休学することも視野に入れてみてください。
大学院をいきなり辞めると、次にやることを決める時間がありませんが、休学すれば自分を見つめ直す時間ができます。
時間に余裕を持つことで、まだ大学院で勉強したいのか、それとも就職したいのかを明確にすることができるでしょう。
キャリアアドバイザーに相談する
大学院を辞めたいと悩んだ時は、キャリアセンターや就活エージェントのキャリアアドバイザーに頼ってみてください。キャリアアドバイザーに頼ると、大学院をやめるべきかどうかを一緒に考えてくれます。
また、大学院を辞めた後の就活の流れなどを教えてくれるので、どう動くべきか判断しやすくなるでしょう。
他にも、大学院を辞めた人でも応募できる求人を紹介してくれたり、面接対策を手伝ってくれるため、終始心強い存在となります。
大学院を辞めたいと悩んでいる人は、キャリチャンの就活支援サービス「就活相談サポート」に参加しましょう。キャリアアドバイザーが大学院を辞めるべきかどうかを一緒に考えてくれます。また辞めた後の企業探しなどもサポートし、求人紹介も行います。
どうしても辞めたい!大学院中退後の就活での注意点
就活への影響も考えたうえで、それでもやっぱり大学院を辞めたいとなった場合、いくつか注意すべきことがあります。具体的には以下の通りです。
それぞれ詳しく解説していきます。
不利にならない大学院中退理由を伝える
大学院中退を選択する場合、選考で不利にならない中退理由を伝えられるようにしておいてください。
大学院を辞めると、必ず中退理由を聞かれるので、悪い印象を与えないための答えを用意しておく必要があります。
しっかりと考えたうえで、中退という結論を出したにも関わらず、「自分を見つめ直すため」など、曖昧な理由などを中退理由として述べてしまうと印象が悪いです。
また、「疲れたから」などといった自分に甘い理由も印象が悪いです。このような理由では「仕事も疲れたらすぐやめてしまうのでは?」と思われてしまいます。
ですので、それぞれの理由に対して面接官を納得させることのできる答えを用意しておきましょう。そのためにも、なぜを繰り返し、理由を深堀してください。
なぜ自分を見つめ直すために中退したのか、なぜ疲れたという理由で中退したのかなどを考えることで、自分の中で理由が明確になるでしょう。
【就活対策資料】
自己分析ワークシート
悪い固定概念があることを覚悟する
大学院中退による、悪い固定概念があることを覚悟してください。大学院を中退したという事実があるだけで、すぐ辞めそう、何事も長続きしないというイメージを持たれるかもしれません。
そのため、悪いイメージを挽回するための対策をするようにしてください。中退した理由や、中退を選んだ決断理由、中退したことで得たことなども合わせて述べられるようにしておきましょう。
中退する時期によって就活のスケジュールが変わる
中退する時期によって就活のスケジュールが変わることを覚えておきましょう。中途半端な時期に中退すると、就活スケジュールが複雑になります。
たとえば、11月に大学院を中退した場合は、すぐに入社しようとしても自分の希望する企業が求人を出していない場合があります。
6月に中退した場合にも、翌年4月採用しか行っていない企業の場合、1年近くのブランクができます。
このように就活をスムーズに行えない場合もあるので、中退する際は自分の希望する企業の求人情報をあらかじめチェックしておくようにしましょう。
大学院を辞めたい人は就活への影響を把握しておこう
大学院を辞めたいと考えたとき、その後の就活における影響を考えることが大切です。また、中退を選択すると就活のやり方は異なってきますので、影響と合わせて確認するようにしましょう。
さらに、将来のキャリアプランを考えたうえでの行動も大切です。大学院を辞めても将来思い描くキャリアプランを実現することができるのか、キャリアプランの変更が必要になるのかなども考えましょう。
たくさん考え、最後には後悔のない決断ができるようにしてください。
「就活相談サポート」に参加しよう!
この記事の監修者
平崎 泰典
株式会社ジールコミュニケーションズ
HR事業部マネージャー
2016年に入社後、企業向けの採用コンサルティング業務を経て、就職・転職希望者に対する個別就職支援を担当。「キャリチャン」「合説どっとこむ」において年間100回以上の就職・転職セミナーの講師も務める。
主な担当講座に「営業職や種類が適性がよくわかる解説講座」「手に職をつけられる仕事解説講座」などがあり、これまで3,000名以上に対して講座を実施。
就職支援では「自己分析」と「業界研究」を得意として、就活初期の学生や求職者を相手に基礎からサポートを行う。年間1,000名以上の内定獲得を支援。