既卒者の就活は新卒と何が違う?就職活動成功のコツを紹介
2023年4月24日
浮かない顔ですね。どうかしましたか?
キャリアアドバイザー 廣瀬
就活生 Aさん
内定が出たんですが、わたしには合わない気がして……。でも内定が出ている企業がここだけなので、辞退して既卒になってしまうのも不安です。
なるほど。でも、既卒になったら就活が全然できなくなるわけではありませんよ。新卒よりは選択肢が狭まるのは確かですが、既卒も新卒と同様に受け入れている企業もあります。
キャリアアドバイザー 廣瀬
就活生 Aさん
本当ですか?でも友だちはみんな就職を決めたので、1人で就活をするのは不安です。
それは心細いですよね。このコラムでは、既卒者の就活の進め方や成功のコツを紹介しています。不安なく就活を進めるポイントも説明しているので、ぜひ参考にしてください。
キャリアアドバイザー 廣瀬
既卒は就活に不利にならない!?
既卒は就活に不利になることがあります。既卒の場合はすでに卒業しているため厳密にいえば新卒ではないですし、かといって社会人経験もないので、中途採用で求められるスキルも持ち合わせていないからです。
しかし政府の要請に従い、新卒採用枠に既卒も募集できるようにしている企業も多数あります。まずは、既卒を取り巻く就活状況について確認していきましょう。
新卒として受け入れる企業もある
厚生労働省では、事業者が取り組むべき措置として「卒業者が少なくとも3年間は新卒として応募できるようにすること」を掲げています。
厚生労働省の報告によれば、実際に新卒採用枠に既卒者も応募可能とした事業所は2019年には70%でした。そのうち、応募条件として卒業後の経過期間が2年超もしくは上限なしとした企業は75%です(参考:厚生労働省|「今後の若年者雇用に関する研究会」報告書~コロナ禍を受けて社会・産業構造が変化する中での若年者雇用の当面の在り方について~)。
この報告からも、卒業後3年以内の既卒者を新卒採用枠に入れている企業が多いことがわかります。ただし、既卒者を新卒採用枠に含めていても、実際に既卒者の採用実績があるかは別物です。応募先の実績も確認しておく必要があります。
就活に取り組む既卒者は、まずは就職を希望する企業の新卒応募要項を確認してみましょう。卒業年度によっては新卒採用枠で応募できます。
就活でお悩みの既卒者は、「就活フェア」への参加もオススメです。プロのキャリアアドバイザーが個別で面談し、希望に合う条件の企業を厳選して紹介します。
イベント終了後には、企業説明会の日程調整や選考対策などのサポートも利用可能です。どのように就活を進めるか迷っている人はもちろんのこと、早く内定を獲得したい人も気軽に利用できます。
既卒は中途採用でも応募できることがある
企業によっては、中途採用も実施しています。新卒採用とは異なり、中途採用では応募のための条件を細かく定めていないことが多いので、一般的には既卒者も応募が可能です。
場合によっては、中途採用枠・新卒枠の両方で応募できることもあります。ただし中途採用では、即戦力となれるスキルを持った人材が求められることが多いです。未経験者も歓迎の求人かどうか確認した方がよいでしょう。
就活に出遅れて既卒になった人は、「出遅れ就活サポート」への参加がオススメです。就活に出遅れた人だけでなく、就活をやり直したい人も参加できます。利用は無料。就活のプロがマンツーマンで企業探しや選考対策をサポートします。
そもそも既卒とは?
既卒とは、内定のない状態で学校を卒業し、就職経験のない人を指します。ただし、就職経験がなければ誰でも既卒というわけではなく、卒業後3年以内が一般的です。
なお、内定が出ても辞退して既卒になる人もいます。既卒になり、就活の期間を延ばすことで、より自分に合う企業が見つかるかもしれません。
新卒との違い
新卒とは、まだ学校を卒業していない学生のことです。既卒は卒業済みですが、新卒は卒業前の状態で就活するところが異なります。
企業によって異なりますが、新卒採用された人は学校を卒業した年の4月入社が一般的です。そのため、既卒者が新卒枠で採用されると、就活が終わってから最初の4月に入社します。
第二新卒との違い
第二新卒とは、卒業後一度就職し、3年経たずに離職した人です。最終学歴となる学校を出てから3年経たない点は既卒と同じですが、社会人経験を持つことが異なります。
卒業から3年経っていない人を新卒採用で受け入れている企業では、既卒か第二新卒かは問われません。そのため、第二新卒も新卒採用枠で応募できることがあります。
また、第二新卒枠があるケースも多いです。新卒や既卒とは異なり社会人経験があるため、入社前研修や研修期間が短くなる傾向があります。
中途採用との違い
中途採用とは、新卒採用枠の条件に該当しない人の採用です。中途採用では、新卒採用のように卒業年度による応募条件を決めていないことが多いですが、特定の業務経験などのキャリアの条件を定めていることがあります。
たとえば営業経験のある人や、コンサルティング業務に3年以上携わった人のように、キャリアの条件があることも多いため注意が必要です。新卒採用も中途採用も、企業によって独自に条件があるため、ご自身が該当するのか確認をしてください。
既卒になった理由
既卒になった理由としては、さまざまな状況が考えられます。新卒のときに就活をしたものの、どこからも内定が出なかったケースや、就職したいという気持ちになれず就活をしなかった人もいるでしょう。そのほかにも以下の3つの理由があります。
就活が遅れた
就活を始めるタイミングを逃したことで内定がもらえず、就職ができなかった場合です。
たとえば論文が思うようにはかどらず、就活に時間を取れないまま時期を逃してしまうケースもあるでしょう。単位不足で朝から晩まで授業や実験があり、就活の時間を取れないケースも想定されます。
就活に遅れたときは、単に「就活のタイミングを逃した」というだけでは、採用担当者に言い訳のように聞こえるため注意が必要です。次の例も参考に、詳しい状況を話してポジティブな理由として説明します。
卒業論文のためのフィールドワークに3年の4月から出ていました。フィールドワークの内容は、保健所とNPOで療育相談のサポート業務をしつつ、利用者のニーズを探ることです。
NPOでは、不測の事態に備えるためにも時間を決めずに対応することがモットーで、思わぬ時間に呼び出しが来ることが多くありました。誠実に対応するためにも、3年からはアルバイトやサークルも辞め、研究一筋の姿勢を貫いています。
就職活動と学業は本来であれば両立しなくてはいけないところ、フィールドワークに専念することを選択しました。地道に続けた結果、学科で賞をいただき、わたしにとって自信にもなっています。
このような事情から、就職活動を十分にできず、既卒として応募することになりました。最後まで諦めないこと、精度の高い結果を出すことはフィールドワークにより獲得できたわたしの長所です。ぜひ御社でこの能力を発揮したいと思います。
内定を受けた企業に就職しなかった
内定後にミスマッチが判明したときは、そのまま就職しても早期離職する可能性があります。内定を辞退し、ほかの就職先を探すことも1つの方法です。
内定を辞退したタイミングによっては、すでに希望する企業の採用選考がすべて終わっていることがあります。新卒から既卒に切り替え、就活を進めていく必要があるでしょう。
既卒になった理由を面接で尋ねられたときの答え方を紹介します。
新卒のときに2つの企業から内定通知をいただきました。どちらもわたしが選んで応募した企業でしたが、面接が進むなか、企業の文化や社風に触れる機会が増え違和感を覚えることも増えました。
企業研究により業務内容についてはしっかりと把握しているつもりでしたが、社風などはデータがなく、採用選考で何度か足を運ぶまでわからなかったのが本当のところです。
違和感を覚えたまま入社をしても、早期に離職することになり企業に迷惑をかけてしまうと判断し、辞退を決意しました。悩みましたが、そのときの決断により、御社に出会えたことは間違った選択ではないと考えます。
納得できる選択をするためにも、内定辞退が必要になることもあります。
内定辞退をするか迷ったときには、「再就活サポート」を活用ください。キャリアアドバイザーが個別に状況を把握し、内定辞退をする方がよいのかや内定辞退の手続きをアドバイス。再就活まで完全無料で一貫したサポートを行います。
個人的な事情で卒業後すぐに就職できなかった
個人的な事情により、卒業後すぐに就職できない人もいます。たとえば家族の介護や自分自身の病気・ケガ、授業料の納付が遅れて既定の時期に卒業できない人もいるでしょう。
また、単位を落として卒業が遅れ、内定が取り消されることもあります。以下の例を参考に、面接時には事情がわかるように説明することが必要です。
就職活動を始めようと思ったときに、一人で暮らしている父方の祖父が病気になり、介護が必要になりました。祖父は施設に入ることを望んでいましたが、希望する施設に空きがなく、比較的時間に余裕があったわたしが介護をすることになりました。
ようやく先月、空きが出たため、入所できました。1年という短い期間でしたが、今まであまり祖父と話す機会がなかったため、わたしにとっては実りある時間でした。そのため就職活動が遅れ、既卒として応募しております。
既卒者の就活が厳しいといわれる理由
既卒者も新卒と同じように、新卒採用枠に応募できることも多いです。また中途採用枠に応募できることもあるため、場合によっては採用の間口は広がるでしょう。
しかし、以下の4つの理由から就活が厳しくなる可能性があります。
採用窓口が不明瞭なことがあるから
企業によっては、既卒を応募対象者として明記していないことがあります。新卒採用や中途採用の応募要項に卒業年度の条件が記載されていないことや、「〇年4月から勤務できること」としか記載されていないことも少なくありません。
しかし、既卒について明記されていなくても、新卒として問題なく応募できることがほとんどです。また新卒採用枠に応募できなくても、中途採用枠や第二新卒枠で応募できます。
情報を共有する仲間が減るから
新卒で就活するときは、友人たちとも一緒に取り組むため、情報を共有することが可能です。企業説明会や就活生向けのセミナーなどの情報も、仲間が見つけてくれることがあります。
しかし、多くの就活生は在学中に就職先が決まるため、既卒となって活動する就活生は少ないです。自然と就活仲間が減り、情報収集も1人ですることになります。
また、1人で1年間の就活をすることは精神的にもダメージを受けるかもしれません。心が折れて、就活を続ける気力がなくなることもあります。
スキルが身につかないから
就職して第二新卒として転職する場合であれば、就職先でビジネススキルが身につくため、時間は無駄になりません。しかし、既卒者は就職しているわけではないため、ビジネススキルを身につけるのはなかなか難しいです。
就活の1年間を有意義に過ごすためにも、資格勉強に取り組んだり、パソコンやプログラミングのスキル習得を目指したりすることができます。勉強やスキルアップに励むことで、選考でのアピールポイントになるでしょう。
空白期間について説明を求められるから
学歴や職歴の空白期間が長くなればなるほど、採用担当者はマイナスイメージを持ちやすくなります。「仕事に対して前向きな気持ちがあるのか」「就職をしても会社に馴染めるのか」「すぐ辞めてしまわないか」などと不安に思うためです。
しかし、資格取得のためや、病気などやむを得ない場合などは、きちんと説明することで不安は解消されるでしょう。面接時に質問される場合があるため、採用担当者が納得できる説明を用意しておいてください。
既卒になった理由が納得できるものであれば、就活が不利になることもないです。また、既卒になってから取り組んだ勉強やスキルアップの取り組みも、履歴書や面接でアピールできます。
既卒者の就活の進め方
既卒者は新卒とは異なり、学校の仲間など、横のつながりを活かした就活は難しいと考えられます。そのため、既卒者に適した方法で就活を進めることが必要です。次の手順で就活を進めていきます。
1.就活情報サイトで情報を収集する
既卒者の就活は、就活情報サイトで情報収集することから始めます。近年は新卒者も就活情報サイトを活用することが多いため、新卒者の就活と基本的には同じです。
就活情報サイトでは、企業の合同説明会や就活セミナーなどの情報を提供しています。また、エントリーシートや履歴書作成マニュアルや、個別相談会などを利用できるサイトもあるため、確認してみてください。
2.求人に応募する
就活情報サイトでは、求人案件も紹介しています。就活情報サイトによっては、キャリアアドバイザーが条件に合った求人案件を紹介してくれることもあり、効率的に就活を進めることが可能です。
希望する条件を満たす求人案件のなかから、応募条件を満たしているものを選んで応募します。スムーズに応募できるように、提出する書類をそろえておくことが大切です。
3.採用試験・採用面接
求人に応募すると、採用選考のスケジュールが届きます。新卒採用枠で申込んだ場合は、新卒者と同じスケジュールで採用選考の過程を進めることが一般的です。
既卒者は新卒者とは異なり学校を卒業しているため比較的、時間的に余裕があります。上述でも記載をしましたが、採用試験のテストの準備や資格取得、スキルアップなどに時間を使いましょう。
既卒者が就活に成功するコツ
採用面接のとき、周囲が新卒ばかりだと、少し気後れしてしまうこともあります。しかし、既卒だからといって不利になることはありません。以下の5つのコツを実施することで、既卒者も就活成功が可能です。
既卒であることをポジティブに捉える
既卒であることを欠点のように捉えてしまうと、採用担当者にもネガティブな思いが伝わります。就活にもよい影響をもたらさないので、欠点だとは考えないことが大切です。
既卒者には以下のようなメリットがあることを理解し、ポジティブに就活を進めていきます。
- 時間に余裕が生まれ、就活に集中できる
- 丁寧に企業研究を行える
- インターンやボランティア活動ができる
- 就職後に必要なパソコンなどのスキルを獲得できる
- 語学や資格取得の勉強に専念できる
明るい気持ちで採用面接に臨むことで、採用担当者にも好印象を与えることが可能です。常にポジティブな気持ちを心がけましょう。
履歴書にインターン歴も盛り込む
既卒者は、最終学歴の学校卒業以降の期間、履歴書では空欄になってしまいます。履歴書の職歴欄にインターンなども盛り込み、空白期間をできるだけなくし、社会経験をアピールすることがポイントです。
また、卒業後、応募先と関連する業種でアルバイトをしている場合は、アルバイト歴も職歴として記載できます。アルバイトで実践的なスキルを身につけることで、即戦力となることをアピールすることも可能です。
履歴書のなかでも、採用担当者が注目するポイントとして志望動機の欄が挙げられます。インターンやアルバイトの経験が志望動機につながる場合は、経験も含めて志望動機の欄を仕上げることがオススメです。
既卒者の志望動機は、新卒との違いを意識して作成することが必要です。下記のコラムでは、既卒者の志望動機の書き方について説明しています。ぜひ参考にして、採用担当者に好印象を与える志望動機に仕上げてください。
関連コラム
【既卒の志望動機】新卒との違いと好印象を狙うための書き方をご紹介
面接対策を丁寧に行う
面接時には、既卒である理由を尋ねられると想定されます。慌てずに落ち着いて答えられるように、事前に文章で書き出しておくことが必要です。
「どこからも内定が出なかったのは、何か問題があるからではないだろうか」「怠けぐせがあるのだろうか」と採用担当者に疑念を抱かせる回答では意味がないと考えられます。採用担当者がなるほどと思えるような、適切な回答を準備しておくことも大切です。
既卒である理由以外にも、さまざまな質問が想定されます。考えられる質問をリストアップし、適切な答えを準備して面接対策を進めておきましょう。
面接の際に、自己PRの時間が設けられることも多いです。何をPRしてよいか迷ったときは、下記の自己PRマニュアルが役立ちます。ぜひダウンロードして活用ください。
自己PRは履歴書にも記載するため、丁寧に準備することが求められます。履歴書の自己PR欄と面接の自己PRが矛盾しないよう、自己分析により自分を深く知り、アピールできるポイントをまとめておくことがオススメです。
【就活対策資料】
自己PRマニュアル
新卒採用以外にも目を向ける
新卒採用以外にも応募できるのは、既卒者の強みです。中途採用や第二新卒の求人も調べ、自分に合う仕事を探していきましょう。
企業によって新卒採用枠や中途採用枠の定義が異なるため、それぞれの求人案件を詳細に調べて、応募条件を満たしているのか確認しておきます。
また、正社員以外の雇用にも目を向けることも1つの方法です。まだ自分に合う仕事やしてみたい仕事が見つからないときは、パートや派遣社員として働いて、幅広い仕事にチャレンジし、本当に自分に合う仕事を見つけることもできます。
就活情報サイトを活用する
就活仲間がいない状況でも、就活情報サイトを活用すれば十分な情報を得られます。なるべく早い時点から就活情報サイトを活用し、就活セミナーや合同説明会などのイベントに参加できるようにしておきましょう。
キャリアアドバイザーによる個別相談が利用できる就活情報サイトなら、オーダーメイドの就活サポートを受けられます。利用できるサポートサービスを積極的に活用し、就活スキルを身につけることが既卒の就活を成功させるポイントです。
就活情報サイトを選ぶときは、既卒情報に強いかどうかも確認しておきます。既卒者向けの情報やイベントが多い就活情報サイトなら、1人での就活も不安なく進めることが可能です。
就活情報サイトを味方につけよう
就活情報サイトを味方につけることで、既卒者も不安なく就活することが可能です。キャリアアドバイザーから1対1のサポートが受けられる就活情報サイトなら、自分に合うペースで就活を進められ、希望に合う就職先も見つかりやすくなります。
「既卒だから……」とネガティブな気持ちで就活をすると、採用担当者にもネガティブな気持ちが伝わり、好印象を持ってもらえなくなることがあります。既卒ならではのメリットを活かし、ポジティブな気持ちで就活に取り組むことが大切です。
また、企業研究を丁寧に行うことや面接対策をすること、適切な履歴書を作成することも大事なポイントとなります。ぜひ紹介した内容を参考にして、既卒の就活を成功させてください。
「出遅れ就活サポート」に参加しよう!
この記事の監修者
廣瀬 舞
株式会社ジールコミュニケーションズ
HR事業部マネージャー
大学卒業後、教育機関を経て入社。7年間、キャリアカウンセラーとして新卒・中途・既卒求職者の就職を支援し、これまでに4000名以上の求職者を担当し内定まで導いている。女性ならではの親切丁寧な対応が定評を呼んでおり信頼度が厚い。
就活支援の得意分野は「面接対策」。特に現代ならではの動画面接、オンライン面接の対策実績は1000社以上、2000名以上を支援してきた実績がある。
また、これらの知見を活かして学校におけるキャリアガイダンス セミナー内容の監修、講師を務めるなど、幅広くキャリア育成に尽力している