内定を待ってもらうにはこう連絡しよう!悪い印象を与えない連絡方法教えます
2022年5月24日
就活生 Aさん
念願の内定をもらえました!でも他社の選考結果が出る前に内定承諾期限が迫っていて、どうすればいいか迷っています。その企業自体は結構志望度が高めの企業なんですけど、この決断が今後の人生を左右すると思うと、他社の結果も見ずに簡単には決められなくて。もう少し期限を延長して、返事を待ってもらうわけにはいかないのでしょうか。
分かります。就活生は平均20~30社程度の選考を受けるのですから、その全ての結果が同時に出そろうなんてミラクルはあり得ません。比較的志望度の高い企業から内定をもらえたものの、それと同じかもっと志望度の高い企業の結果がまだ出ていなければ、他の選考結果が出そろってから決めたいと考えるのは当然ですよね。ケースバイケースですが、短期間であれば内定の返事を待ってもらえる場合もありますよ。
キャリアプランナー 平崎
就活生 Aさん
そうなんですね!でも私の場合は、そのケースに当てはまるのかな??それに内定の返事を待ってもらいたいなんて言ったら、印象が悪くなってしまいそうで怖いです。もし本命に受からなかった場合には、その企業に入社したいので。
分かりました。では、どんな状況なら内定の返事を待ってもらえるかと、悪印象を与えずに返事を待ってもらうための連絡方法について解説します。「内定の返事を待ってほしい」と伝える際の例文と、そのリスクも合わせて掲載しておきますので、参考にしてください。
キャリアプランナー 平崎
目次
内定を待ってもらうことは可能?いつまで待ってくれる?
「内定の返事を待ってもらいたい」と考える就活生が一定数いるのは間違いないですが、そんなこと自体そもそも可能なのでしょうか。内定の返事に期限を設けるのは、辞退された場合に他の候補者に内定を出したり、再募集をかけたりする時間的な都合があるためです。内定の返事を待ってもらうということは、提示された採用枠を自分のために確保したまま、入社するとも辞退するとも答えないことになります。
企業側にとってはそれに応じた次のアクションが決められないわけですから、内定を断られるよりもっと困る返事でしょう。たとえ待ってもらえるにしても、たった一人の就活生に合わせていつまでも待ち続け、採用枠を空けたままにしておくなんて無理なのは明らかです。
そこでコラムの初めにまずは、内定の返事を待ってもらうことが可能なのかどうかと、どんな状況なら待ってもらえるのか、いつまでなら待ってもらえるのかについて解説します。企業への連絡方法を考える前に、内定保留に関する一般的な考え方を知り、自分がお願いしたい内容が許容される範囲内なのかどうか見極めてください。
内定を待ってもらうことは可能!
ケースバイケースではあるものの、一般的に言えば、内定の返事を待ってもらうこと自体は可能です。企業側に再選考などの都合があるのと同様、就活生の方にも複数の選考があり、それぞれの都合があることは企業側も分かっています。就職は就活生にとって人生における重大な決断ですから、一方的に「〇月〇日までに内定の返事をしてください」と告げても、それまでに決められない就活生が多少出ることは企業側も織り込み済みです。
実際、企業の採用選考においては、内定の返事を保留したいと申し出る就活生が毎年一定数は出ます。ですから「内定の返事をもう少し待ってもらいたい」とお願いすること自体は、企業側にとってさほど驚きには当たらず、全く非常識で許しがたい行為と憤るほどでもないわけです。相手は企業と言っても結局は人間ですから、20代の若者が今後の人生をかけて、これまでの人生で最大の決断をしようというときに迷うのは企業側も理解できます。事前にある程度は予測している事態なので、大抵の場合は丁寧にお願いすれば「仕方がない」と受け留め、少しだけなら返事を待ってもらえることが多いです。
ただし先ほども述べたように、「内定の返事を待ってもらいたい」という申し入れが企業側にとって、一番困る返事であることには違いありません。内定を断るなら断るでそう言ってくれれば、代わりにまだ結果を通知していない他の候補者に内定を出すなり、再募集をかけるなりといった次の手が打てます。しかし回答を保留されると、採用枠を他の誰にも与えられないまま時間だけが過ぎていき、最終的に辞退された場合、代わりを探そうにもすでに採用すべき対象が残っていない手遅れの状態になる恐れがあるのです。
そのため、内定保留の申し入れは、一定の理解を得られる可能性が高いとはいえ、必ずしも待ってもらえるのが当たり前ではないということも理解しておいてください。実際に内定の返事を待ってもらえるかどうかは、それぞれの企業の考え方や事情のほか、申し入れ時の状況と就活生の頼み方にもよります。内定承諾の期限はあらかじめ決められているわけですから、正しいやり方で申し入れをしないと、待ってもらえない可能性があるので注意しましょう。
時期にもよるが、1週間程度待ってもらえる
申し入れの時期にもよりますが、内定の返事は1週間程度であれば待ってもらえることが多いです。先ほど述べたように、内定の返事を待ってもらえるかどうかは、それぞれの企業の考え方や事情を除けば、申し入れ時の状況と就活生の頼み方によります。その中でも、内定の返事を待ってもらえるかどうかを左右する最も大きな要因は、それを申し入れた時期と保留期間の長さです。企業側はあらかじめ提示しておいた内定承諾期限の時点で、辞退者が何人出たかを集計し、再募集などの方針を立てます。就活生から内定保留を申し入れられた際、企業側がまず考えるのは「さんざん待たされたうえで辞退されたら、その時点で代わりの人間を探せるだろうか」ということです。
つまり「そんなに待ったら再募集が難しくなる」と判断されれば保留を断られる可能性が高く、「その程度なら返事を待っても再募集に差し支えない」と思われる保留期間を申し入れれば、待ってもらえる可能性が高くなります。1週間程度の遅れであれば、再募集の状況はもともと予定していた日程とさほど変わらないでしょうから、大抵の企業は理解のある態度を示してくれるはずです。
しかしそれが2週間の遅れ、3週間の遅れとなると、話が違います。そんなに再募集が遅くなったら、優秀な人材が他社に取られてしまって思うような人材の確保が難しくなるため、難色を示す企業が多くなるわけです。ですから内定の返事を待ってもらう際は、1週間程度の保留期間で打診するようにしてください。もし他者の内定出しなどの都合でもっと長い日数が必要だと思う場合は、いったん内定を承諾したうえでゆっくり検討した方が良いです。内定承諾後でも、法的には入社日の2週間以上前までなら辞退可能なので、「承諾したら絶対そこに入社しないといけないのでは」などと心配する必要はありません。
もちろん承諾前に自分の態度を決められればそれに越したことはないですが、検討の結果そこに入社する可能性もあるのなら、いま無理を言って企業側の反感を買うよりマシです。ただし、すでに大方の就活生が入社先を決め、質の高い人材を確保しにくくなっている時期には、企業側も再募集が必要かどうか結論を急いでいます。内定式も過ぎた卒業間際の時期の内定保留となると、1日の遅れが採用活動に大きく響きますから、「1週間も待てない」と言われてしまう場合もあることを覚えておきましょう。
内定を待ってもらいたい理由とは
就職先の決定は学生にとって大きな決断ですから、すぐに決められなくても不思議はありません。企業側もそれは承知しているので、卒業間際の時期でなければ、1週間程度なら待ってもらえることが多いです。とはいえ、内定承諾の期限はあらかじめ決められているわけですから、企業側は何の説明もなしに誰かれ構わず期限の延長を認めるつもりはないでしょう。内定の返事を待ってもらうには、決められた期限を守れない理由を説明し、企業側の理解を得る必要があります。
ところが自分の中でも理由が漠然としていて、一体どんな風に述べれば企業側を納得させられるのか、分からない就活生も多いですよね。そこでここからは、内定の返事を待ってもらいたい就活生によくある理由について紹介します。企業側へ明確な説明ができるよう、自分の気持ちを整理するための参考にしてください。
他の企業の選考結果を待ちたい
内定の返事を待ってもらいたい就活生には、同時に選考が進んでいる他の企業の選考結果を待ってから、最終的な決断を下したいと考える人が多いです。絶対そこに受かるとも分からないのに、初めから志望を1社だけに絞り込み、1社しか受けない就活生はほとんどいません。大抵の就活生は複数の企業を同時に受け、内定をもらえた中から最終的にどこへ入社するか選ぶものです。
実際、一般的な就活生は就活の開始から入社先を最終決定するまでの間に、滑り止めも含めて平均20~30社程度の選考を受けます。その中の1社から内定をもらえたとしても、その時点でもっと志望度の高い本命企業の合否が判明していなければ、その結果を待ってから結論を出したいと考えるのは当然でしょう。また内定をもらえた企業自体が志望度の高い企業だったとしても、同じくらいの志望度の企業が複数あれば、他の企業の結果が出てから比較検討したいと考えるのも自然なことです。
新卒の学生は働くこと自体が初めてですから、複数の業界・職種を受け、内定をもらえた中から自分の適性を見極めたい人もいると思います。そうした就活生たちは、その企業自体が気に入らないわけではないけれども、他の選択肢も考慮したうえで、自分にとって最良の決断を下したいわけです。
前述のように、内定の返事を待ってもらえる常識的な期間は1週間程度ですから、内定出しの時期が全然近くなければ諦めるしかありません。内定承諾後に辞退すると相手企業に迷惑がかかるのは承知の上で、とりあえず承諾し、その内定を確保しておく必要があります。
しかし1社の内定承諾期限を迎えるときに、もう少しで他の企業の結果も分かりそうなら話は別です。承諾後に辞退する羽目になって迷惑をかけないためにも、内定の返事を少し待ってもらいたいと考えるのは、それほど悪いことではないでしょう。企業側としても承諾後に辞退されては意味がないですから、すぐに他社の結果も出そうなら無理に決断を迫るより、受かった中から自社を選んで承諾してもらいたいと考えるはずです。
本当にこの企業でいいのか今一度考えたい
内定の返事を待ってもらいたい就活生には、他社の選考結果は出そろっているけれども、「本当にこの企業でいいのか」今一度じっくり考えたい人もいます。内定出しから承諾までの期限が短かったり、そもそも受けた企業が少なく、内定が1社しかないため比較材料がなかったりといった場合によくあるケースです。内定出しから承諾までの期限が短いと、よほど以前から入りたいと熱望していた企業か、さっさと入社先を決めて早く就活を終わらせたいのでない限り、迷いが生じる就活生が多くなります。内定先への理解を深め、自分の中で「この企業で間違いない」と納得するためのプロセスを踏む時間が足りないのです。
就活生にとって今ある内定から入社先を決めることは、今後の人生を左右する重大な決断であり、これまでの人生で最大の岐路だと言っても過言ではありません。その大きな決断を前にすれば、のちのち後悔しないようもっと多くの時間をかけ、「本当にこの企業に入社していいのか」「本当にこの企業が自分にとって最良の選択なのか」慎重に判断したいと考えるのは無理もないことです。特にコロナ禍の就活生は、職場を見学したり仕事を体験したりといった直接的な情報を得にくい状況でしたから、いざ決断を迫られると不安になって、入社への確信が持てない人が多くなっています。
また、そもそも受けている企業が少なく、内定がその1社しかない就活生の場合は、他の選択肢がないため同様に確信が得にくい状況です。他にも選択肢があれば「A社よりB社の方が魅力的」といったことから自分の気持ちを把握しやすいのですが、比較対象がないと果たして本当にその企業に入社したいのか、選択の余地がないから仕方なしにそこへ入社するのか判断が付きにくくなります。他の選択肢を考慮しないまま、今ある内定で満足してしまってよいのか、自信が持てなくなるわけです。
そうした就活生がのちのち後悔しないために、決断のプロセスにもう少し時間をかけたいと願うのは、ごく自然なことだと言えます。企業側としても自分の中で迷いを感じたまま入社され、結局早期退職になっても困りますから、再募集に支障が出ない限り短期間なら待ってもよいと考えてくれるはずです。
内定を待ってもらう際の連絡方法とポイント
前述のように、内定の返事を待ってもらいたいと考える就活生は多いですが、そのためには正しいやり方で丁寧にお願いする必要があります。就活生から内定保留を申し入れたとしても、それを認めるかどうかは企業次第なので、待ってもらえるのが当たり前だと思ってはいけません。下手なお願いの仕方をすると、相手企業に悪印象を与えてしまう恐れもあるので注意しましょう。
そこでここからは、内定の返事を待ってもらう際の正しい連絡方法と、悪印象を与えないためのポイントについて解説します。検討の結果によっては結局、返事を待ってもらった企業に入社する可能性もあるわけですから、悪印象を与えない適切な方法で内定保留を申し入れてください。
連絡方法は電話→メールの順で連絡
内定の返事を待ってもらいたい場合は、まず初めに電話でその旨を連絡し、その後メールでも同様の連絡を入れます。あらかじめ決められている内定承諾の期限を延長し、実際に内定の返事を待ってもらえるかどうかは企業次第であって、就活生の側が一方的に決められるものではないです。状況によっては、こちらから申し入れた通りには待ってもらえず、保留の日数を話し合う必要が出てくるかもしれませんし、全然待ってもらえないかもしれません。
ところが内定保留をメールで申し入れると、すぐには気付いてもらえないうえ、結論が出るまでメールのやり取りをくり返している間に相当な時間がかかってしまいます。自分の希望通りにはいかない場合もあることも考えると、承諾期限が近づいているならなおさら一刻も早く企業と直に連絡を取って、どのくらい待ってもらえるかハッキリさせる必要があるのです。ですから内定の返事を待ってもらいたい場合まずは、すぐにアポイントが取れ、その場で話し合いのできる電話から連絡しましょう。
ただし電話だけだと何の証拠も残らず、忙しさに紛れてその約束自体を忘れられてしまったり、言葉遣いの曖昧さなどによって双方の理解が食い違ったりする恐れがあります。自分の方は〇月〇日まで待ってもらえると思っていたのに、企業側はそうは思っておらず、知らぬ間に期限切れになってしまう危険性があるわけです。そうなってから抗議したとしても、証拠がなければ「こう言ったはず」「いや言っていない」と水掛け論になってしまいます。
のちのちのトラブルを回避するためにも、いつまで待ってもらえるという約束を取り付けた証拠として、メールの文面も残しておくべきです。電話での連絡・交渉が終わったら、そこで合意した結論をもとに、再度メールで内定保留の連絡をしてください。そうしておけば、メールの文面によって互いの理解内容を再確認でき、のちのちトラブルが起きてもスムーズに対処できます。
いつまでに返事をするのか“具体的な日程”を伝える
電話にしろメールにしろ内定保留を申し入れる際は必ず、いつまでに返事をするのか、具体的な日程を明確に提示することが大切です。企業側が就活生の事情に一定の理解を示してくれたとしても、だからといって承諾するかしないか分からない返事を、永遠に待っていられるわけではありません。内定の返事を待ってもらうということは、その採用枠を誰にも譲らず、自分のために空席のままにして欲しいということです。
しかし企業側は来年度の採用枠を確実に埋めなければなりませんから、待った挙句に結局内定を断られた場合に備え、再募集の都合を考えておく必要があります。漠然と「内定の返事を少し待ってもらえますか?」などと聞いても、その”少し”が具体的に何月何日までを指すのか分からないと、OKともダメとも答えようがないでしょう。それに”少し”といった曖昧な表現はいかようにも解釈できるので、自分と企業側で解釈が異なれば、トラブルになる恐れもあります。「1週間待ってください」「今週いっぱい考えさせてください」といった表現も同様です。それらは”少し”などと違って一見すると明確な期限を提示しているように思えますが、人によって解釈に数日の誤差が生じる可能性があります。
たとえば、もともとの期限が水曜で「1週間待ってください」と言った場合、次の火曜まで待てばいいのか、水曜までか、木曜までか分からないわけです。「今週いっぱい考えさせてください」と言った場合も、金曜までに返事が来ると思う人もいれば、土日も含めると思う人もいますし、翌週の月曜に返事が来ると思う人もいます。そのような曖昧な表現は、人によって異なる解釈を生み、トラブルのもとになるので良くないです。
電話やメールの中でそうした言葉を一切使ってはいけないわけではありませんが、その際も必ず、「〇月〇日までに返事をする」という具体的な日にちを明言してください。そうすれば、その通りに内定の返事を待ってもらえるか、もっと短い日数ならOKなのか、全然ダメなのかといった中身の話へ移ることができ、その後のトラブルも避けられます。
「内定承諾意思」あることと保留理由とを伝える
内定保留を申し入れる際は、具体的な返答期日のほかに、内定承諾の意思があることと、返事を待ってもらいたい理由も伝えましょう。内定を待ってもらえるかどうか決める要素は、日程的にそれが可能かどうかだけではないです。1週間程度なら再募集の上でさほど大きな支障はないとはいえ、それでさえ、そもそも自社の内定を承諾する可能性の低い就活生の返事を待つ義理はありません。承諾意思のない内定候補者にはさっさと見切りをつけ、早く再募集を始めた方が、それだけ優秀な人材を確保できる可能性が高まります。
それでも企業側が1週間程度なら待ってくれる場合があるのは、就活生自身が不安を振り払い、きちんと納得したうえで、入社へ向けた決意をしっかり固めてもらうためです。内定承諾の際に「この企業に入社しよう」という気持ちが少しでも揺らいでいると、結局あとで迷い始め、再募集も難しい時期になって「やっぱり辞退します」と言い出す恐れがあります。それよりは、万一辞退されても再募集が難しくない今のうちに、入社に向けた決意がしっかり固まるのを待ってあげた方が得策だという判断なのです。
つまり企業側にとって内定の返事を待つのは、その就活生が内定承諾に前向きな意思を持っていることが大前提となります。もちろん企業側は待った挙句に辞退された場合に備え、再募集のことも考えてはいますが、それはあくまで想定される最悪の事態を回避するための安全策です。基本的に企業側は、自社の内定を承諾する気のない就活生を待つつもりはありません。
ですから内定保留を申し入れる際は、企業側に自分の返事を待つ意味があると納得してもらえるよう、自分がなぜ内定の返事を待ってもらいたいのか理由を説明する必要があります。理由そのものは簡潔な説明で構いませんが、自分が内定承諾に前向きであると付け加えておくことが大切です。当然のことながら、「本命次第で決める」「承諾するか分からない」といったスタンスだと印象が悪く、保留を断られたり、最悪は内定を取り消されたりする場合もあります。自分の中では現時点でかなり迷いがあるにせよ、それはなるべく悟られないようにし、「今すぐ決意表明はできないまでも内定承諾には前向き」という気持ちを伝えてください。
【例文】電話・メールによる内定保留の伝え方
【電話による伝え方】
就活生:「お世話になっております。○○大学の○○○○です。先日は内定のご連絡を頂き、ありがとうございました。」
採用担当者:「ああ、○○さんですね。こんにちは。今日はどうしました?」
就活生:「お忙しいところ突然お電話を差し上げて恐縮です。本日は内定通知のお返事の件でご相談させて頂きたく、ご連絡いたしました。今お話しさせて頂いても構いませんか?」
採用担当者:「いいですよ。」
就活生:「ありがとうございます。実は勝手なお願いで申し訳ないのですが、内定承諾書の提出を◯月◯日までお待ち頂くわけにいかないでしょうか。 第一志望の御社から内定を頂けたことは大変嬉しく、今すぐ承諾したい気持ちもあるのですが、今後の人生を左右する重大な決断ですので、不安の残らないようもう少し時間をかけてそのことと向き合い、入社への決意を固めた上でお返事させて頂きたいのです。」
採用担当者:「そうですか。〇月〇日までですね。承知しました。良いお返事をお待ちしております。」
就活生:「ご理解いただき、ありがとうございます。よろしくお願いします。」
内定保留の電話をする際は、電話をかける時間帯に注意が必要です。内定先の営業時間内に電話することはもちろんですが、忙しい始業直後や終業間際の30分と、昼休みの1時間は避けます。相手にとって喜ばしくないお願いをするからこそ、余計な悪印象を与えないよう、きちんとマナーを守るべきです。内定先に電話をしたら、通常通りの挨拶と自分の氏名を名乗った後、内定を頂いたことへの感謝を述べます。自分が伝えたい要件が何にしろ、自分のことを評価して内定を出してくれたわけですから、そのことへの感謝を忘れては失礼です。
そうすると向こうも何かしら挨拶するはずですので、忙しい相手に気遣いつつ要件の概要を伝え、話し始めてもよいか確認します。本題に入ったら「申し訳ないですが」「恐縮ですが」などと前置きしてから、「〇月〇日まで返事を待ってもらいたい」と、具体的な延長の期日を切り出してください。ただしそれを認めるかどうかは企業次第なので、自分の保留意思を一方的に通告するのではなく、あくまでお願いや相談という体裁を取ります。
内定を待ってもらいたい理由を説明し、理解を求めましょう。承諾するかしないか決めかねているのではなく、「そもそも承諾する意思はあるけれど、決意を固めるためにもう少し時間をもらいたい」という旨を述べることが大切です。相手が内定承諾を待ってもいいと承知してくれたら、そのことに対する感謝を述べて話を締めくくります。
【メールによる伝え方】
株式会社◯◯
人事部 採用担当 ◯◯様
お世話になっております。
◯◯大学◯◯学部の○○○○です。
先日は内定のご連絡を頂き、ありがとうございました。
第一志望の貴社から内定を頂きましたことを、心より嬉しく思っております。
しかしお電話でもお話しした通り、誠に勝手なお願いで恐縮ですが、内定へのお返事を◯月◯日までお待ち頂きたいと思っております。
貴社への入社を念頭に置いておりますが、将来に関わる重大な決断ですので、時間をかけてしっかり向き合い、揺るぎない決意を固めた上でお返事したいためです。
(※電話で保留の了承を取り付けている場合)
○○様には、格別なご配慮により、このような申し出をご了承下さったことに深く感謝致します。
ご多忙の折ご迷惑をおかけしまして大変申し訳ありませんが、お約束した〇月〇日までには、必ずご連絡する所存です。
(※電話では保留できるかどうか未定だった場合)
ご多忙の折ご迷惑をおかけしまして大変申し訳ありませんが、貴社への入社を前向きに考えている故の申し出であることをご理解頂けますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
____________
◯◯大学◯◯学部◯◯学科
名前
tel:xxx-xxx-xxx
mail:xxx@xxx.com
_____________
電話で内定保留の申し入れをした後は、その日の営業時間内にメールで内容を確認します。件名は「内定承諾に関するご相談」などといった形がよいです。本文に記載する内容は電話で話したこととほぼ同じですが、相手が読みやすいよう話のまとまりで区切り、簡潔な伝え方を心がけましょう。
まずはビジネスメールのフォーマットに則って宛名を記載し、挨拶と氏名の後に、内定を頂いたことへの感謝を述べます。内定保留はあくまで企業にお願いするものなので「誠に勝手ながら」などと前置きしたうえで、内定保留したい旨と明確な返答期限、保留理由、承諾の意思を伝えることが大切です。その上で、電話ですでに内定保留の了承を取り付けている場合は、そのことに対する感謝を述べ、相手に配慮した締めの挨拶を記載します。
ただし、あらかじめ決められた期日を延長するのは会社にとっても簡単ではないので、電話で申し入れた際、内定を待ってもらえるかどうかその場で回答がもらえるとは限りません。その場合は(※)の部分を、内定承諾に前向きな姿勢と理解を求める文章に変え、重ねてお願いしてください。メールの最後にはビジネスメールのフォーマット通り、サインも忘れずに記載します。
内定保留後の対応も適切に
内定承諾を待ってもらった場合は、その後の対応も適切で丁寧に行わなければいけません。先ほども述べたように、あらかじめ決められた内定承諾の期限を延長するのは、企業にとっても簡単なことではないです。自分の都合を認めてもらえたことに満足し、その後の対応がおろそかになると、自己中心的で非常識な人物だと思われてしまいます。企業側はあなたに入社してもらいたいと思い、特別に寛大な配慮をしたわけですから、その誠意にはこちらも誠意を込めて対応しましょう。延長してもらった期日を確実に守って期限内に内定の返事をすることはもちろん、その期日より早く結論が出たのであれば、ギリギリまで先送りにせずなるべく早く連絡します。
特に待ってもらった挙句やっぱり内定辞退すると決めた場合は、企業側にも再募集の都合があるので、可能な限り連絡を急ぐべきです。ただし、企業側は保留の申し出を断り、とっとと再募集を始めることも可能だったにもかかわらず、あなたが入社することに期待し、わざわざ再募集しにくくなるリスクを冒してあなたのために採用枠をキープしていてくれました。それなのに内定を辞退するのですから、ただ「辞退します」と言うだけでは不十分です。
保留後の辞退では、返事を待ってもらって迷惑をかけたうえ、挙句の果てに期待に反して辞退してしまうことに対し、しっかりと謝罪を述べてください。そうした誠意ある態度が見えないと、企業側を憤らせ、トラブルに発展する恐れもあります。
また、内定保留後に承諾する場合も、内定承諾書にサインして送り返すだけでは失礼です。自分の事情に配慮してくれた寛大さや返事を待ってもらったことへの感謝を述べ、「入社後もお世話になります」「ご期待に沿えるよう頑張ります」といった意気込みを伝えましょう。せっかく自分に期待し、リスクを冒して待っていてくれたのですから、待って正解だったと思われるような、気持ちの良い対応を心がけることが大切です。
内定を待ってもらうことによるリスク
前述のように内定の返事を待ってもらう場合、企業側は待っている期間が長くなればなるほど、再募集がしにくくなるというリスクを負います。しかし内定保留をお願いすることによるリスクは、企業側だけに発生するものではないです。就活生がいくら返事を待ってもらいたいと思っても、企業側がそのリスクを避けようとする場合もありますし、就活生には別のリスクが発生する可能性もあります。
だからといってリスクを避け、自分の気持ちが固まっていないのに結論を急ぐべきではないですが、逆に出せる結論を先延ばしにし、軽い気持ちで待ってもらうことをお願いするべきでもないのです。ここからは内定保留を申し出ることによるリスクについて解説しますので、きちんと把握したうえで慎重な判断をしてください。
「保留できない」と言われることもある
きちんと事情を説明し、内定の返事を待ってもらいたいと丁寧に頼んでも、「保留できない」と断られる場合があります。その理由は企業側が、内定の返事を待つことによって発生する、再募集へのリスクを避けたいからです。特に就活シーズンの後半になればなるほど、就活を続ける質の高い候補者が減ってくるため、内定の返事を待ってもらえないケースが多くなります。しかし内定承諾の期限はあらかじめ決められているのですし、再募集の都合も考えれば、それは仕方のないことです。そもそも、内定の返事を待ってもらえることは決して、当たり前のことではありません。
むしろ、再募集の都合などを考えて企業側が設定した承諾期限があるにもかかわらず、それを曲げて「リスクがあるのは知ってるけど、私のためだけに枠をキープして待っていて」と無理をお願いしているわけです。重大な決断を迫られている就活生に理解を示し、短期間なら待ってくれる企業が多いとはいえ、企業側の都合を考えない就活生のわがままと見る人もいます。つまり結局のところ、内定保留を認めるかどうかは企業の判断次第です。
時期的に十分な余裕があっても、企業によっては保留を断られる場合があります。その際はしっかりと理由を説明し、誠意をもってお願いすることで交渉しましょう。それでもダメな場合は仕方がないですから、諦めてもとの承諾期限内に何らかの結論を出してください。
企業側からNOと言われているのに、あまり駄々をこね続けたら、他社の結果次第では実際に入社するかもしれない企業に悪印象を与えてしまいます。内定承諾後も法的には入社2週間以上前までなら辞退可能ですから、とりあえず承諾しておいてもいいですし、「そんな理解のない企業は嫌だ」と考えるなら、思い切って辞退してしまうのも1つの手です。
保留期間が短くなる場合もある
「内定の返事を〇月〇日まで待ってください」とお願いしても、その通りに認めてもらえるとは限りません。完全に「ダメ」と断られる場合があるほか、待ってはもらえるものの「3日だけ」など、自分が提示したより保留期間が短くなってしまう場合もあります。前述のように、企業側にも様々な考え方や再募集の都合などがあるので、こちらの希望通りにならない場合があっても仕方がないことです。むしろ完全にNGではなく、「3日だけなら」などと短い保留期間を指定してくる企業の場合は、本当は待たない主義か待つのが難しい状況なのだけれども、就活生側の事情に配慮し最大限譲歩してくれた末の提案だと考えられます。
一般的には再募集が難しくなさそうな時期であっても、企業の求める人材の種類や質、応募者が集まりやすい業界・企業かどうかなど、それぞれの企業で事情は異なるのです。それなのに、そうした企業側の好意も事情も一切無視し、無理やり自分の主張を押し通そうとすれば、ワガママと受け留められてしまうでしょう。自己中心的で協調性に欠ける人物だと思われ、仮に入社しても周りとうまくやっていけないのではないかと不安を抱かせてしまい、内定を出したこと自体を後悔させてしまうことになります。
ですから、保留を申し入れた際に自分の提案より短い期間を指定された場合、基本的には延長を交渉するのでなく、企業側の提案に従ってください。ただし、短期間でも待ってもらって迷惑をかけたうえ、さらに内定承諾後の辞退で迷惑を上塗りするのは避けた方が良いです。
「あまりに身勝手だ」と企業側を憤らせ、トラブルとなるリスクが高くなります。内定承諾後でも法的には入社2週間前まで辞退が可能とはいえ、それ以前に短期間でも返事を待ってもらった場合は、後で気が変わることないようしっかり考えて結論を出すべきです。
最悪の場合「内定取り消し」になることも
「内定の返事を待ってください」とお願いすることで、最悪は内定取り消しになる場合もあります。確立としては高くないですが、実際そういう事例もゼロではないです。採用基準は企業ごとに異なるので、自社に対する志望度や熱意の度合いを何より重要だと考えている企業や、軍隊のように指示されたことに疑問を挟まず素直に従うことが重要だと考える企業も中にはあります。それに、そもそもどんな事情があるにせよ、あらかじめ決められた期限を守れないことを「重大な欠点だ」「失礼だ」と考える企業もあるわけです。
しかも「内定の返事を待ってください」とお願いした段階では、就活生側の意思確認が取れていませんから、厳密に言うと”内定”という契約はまだ成立していない状態にあります。企業側が労働契約を結びましょうと打診し、就活生がそれを承諾することによって初めて、法的に認められる”内定”という契約状態になるのです。ですから企業の考え方や就活生の申し入れ方によっては、「返事を待ってください」とお願いした時点で企業側が自社の採用基準に合わないと判断し、内定の打診を撤回することも可能性としては十分あり得ます。大抵の企業は就活生に逆恨みされ、悪い噂を流されたくないので、実際には内定保留の申し入れを理由に内定取り消しを行うことは少ないです。
しかし内定の返事を待ってもらいたいと考えている就活生は、保留の申し入れをすることによって、内定が取り消されるリスクがゼロではないことも頭に入れておく必要があります。万一そういう事態になった場合は考え直してもらうよう交渉もできますが、企業側の事情もありますから、成功するかどうかは何とも言えません。ともかくお互いの感情がこじれ、これ以上大きなトラブルに発展しないよう、落ち着いてよく話し合うことが大切です。
それに加えて、就活生が内定の返事を待ってもらいたいと申し入れると、企業側から「保留するなら内定を取り消す」と脅されることもあります。これは「保留を申し入れたら内定が取り消されるかも」という就活生の恐怖心を突いた、いわゆるオワハラです。そういう場合は、今すぐ入社を決めてほしいために脅しているだけなので、誠意をもって「待ってほしい」と交渉すれば説得できる可能性はあります。
あるいは、内定承諾後でも法的には入社日より2週間前までなら辞退可能ですから、とりあえず承諾しておくというのも1つの手です。とはいえ、そのようなオワハラを行う企業は、就活生に対するのと同様に自社の社員に対しても個人の自由意思を尊重しない傾向があると思われます。会社側と意見がぶつかるたびに、減給や降格といった処罰を盾に脅され、やるべきでないことを強要されるかもしれません。入社しても苦労する可能性が高いので、内定契約を結ぶ前に辞退することも考えた方が良いでしょう。
おわりに
ケースバイケースではあるものの、一般的には1週間くらいなら内定の返事を待ってもらえることが多いです。ただし内定の返事を待ってもらうと、それだけ辞退した場合に再募集が難しくなり、企業にとってはリスクがあります。そのため内定の返事を待ってもらえるかどうかは、その企業の置かれている状況や時期、企業ごとの考え方にもよるので、必ずしも希望通りにいくとは限りません。全然待てないと断られることもあれば、希望より保留期間が短くなることもありますし、最悪は「待ってほしい」とお願いしたために内定を取り消されたりオワハラを受けたりする場合もあります。
現在「内定の返事を待ってもらいたい」と考えている就活生は、そうしたリスクも踏まえたうえで慎重に判断してください。もし内定保留を申し入れる場合は、待ってもらいたい理由を説明し、マナーを守って丁寧にお願いすることが大切です。
とはいえ内定保留にせよ何にせよ、就活生にとって企業と交渉を行うというのは簡単ではないですよね。どんな風に説明すれば失礼にならないのか、果たして企業の理解が得られるのか、自信がない就活生もいると思います。
そんな就活生には、就活エージェントに頼るのがオススメです。就活エージェントは普段から就活生と企業との間に入って交渉を行っているプロですから、企業側に受け入れられやすい申し入れのやり方や交渉のやり方をアドバイスしてくれます。もし企業側の事情でどうしても保留できなかったとしても、就活エージェントは就活生と企業の相性を見極めるプロでもあるので、承諾すべきか辞退すべきか素早く判断する手助けをしてくれるでしょう。それに就活エージェントを味方につけておけば、万一トラブルに発展した場合にも、経験と法的知識に基づく適切な対処法を教えてもらえますし、内定取り消しやオワハラにあったら、もっと良い企業を紹介してもらえるので安心です。
キャリchでも、就活に関することなら何でも相談できる無料の就活イベント「就活相談サポート」を開催していますので、ぜひ活用してください。このイベントでは、プロのキャリアプランナーがマンツーマンで相談に乗り、就活生の悩みを解決へと導きます。内定保留の申し入れは様々なリスクを伴う難しい交渉ですから、一人で無理をしないで、私たちプロと一緒に進めましょう!
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この記事の監修者
平崎 泰典
株式会社ジールコミュニケーションズ
HR事業部マネージャー
2016年に入社後、企業向けの採用コンサルティング業務を経て、就職・転職希望者に対する個別就職支援を担当。「キャリチャン」「合説どっとこむ」において年間100回以上の就職・転職セミナーの講師も務める。
主な担当講座に「営業職や種類が適性がよくわかる解説講座」「手に職をつけられる仕事解説講座」などがあり、これまで3,000名以上に対して講座を実施。
就職支援では「自己分析」と「業界研究」を得意として、就活初期の学生や求職者を相手に基礎からサポートを行う。年間1,000名以上の内定獲得を支援。