フレックスタイム制とは?就活のプロがどこよりもわかりやすく解説します!
2023年3月22日
なんだか浮かない顔をしていますね。どうしたんですか?
キャリアプランナー 平崎
就活生 Aさん
実は、志望する企業がフレックスタイム制を導入しているそうなんです。でも、この制度がいまいちよくわからなくて……。
フレックスタイムは、簡単にいえば出社・退社時間を自分で自由に決めることができる制度のことですね。取り入れる企業も増えています。
キャリアプランナー 平崎
就活生 Aさん
出社や退社時間を自分で決められるなんて、自由度が高くて嬉しいかも!寝坊しても大丈夫そうですね。
待ってください!しっかり理解しないと、仕事に支障が出ますよ!
フレックスタイム制の仕組みとそのメリット・デメリットをわかりやすく紹介するので、一緒に確認しましょう。
キャリアプランナー 平崎
フレックスタイム制とは?仕組みと導入企業
「変形労働時間制」の一つであるフレックスタイム制。このフレックスタイム制を取り入れている企業は近年増え続けているので、就活生ならしっかりと仕組みを理解しておかないといけません。
ここからはそんなフレックスタイム制の仕組みをわかりやすく解説していきます。さらにフレックスタイム制を導入している企業や、導入している目的なども合わせて解説します。
フレックスタイム制の仕組み
フレックスタイム制とは、労働者自身が日々の労働時間の長さあるいは労働時間の配置(始業及び終業の時刻)を決定することができる制度。(Wikipediaより)
つまり、9:00~17:00などと労働時間が決められているのではなく、労働者自身が出社・退社時間を自由に選ぶことができる制度です。
ただ本当に何時に出社・退社してもOKとしてしまうと会社に来る人がいなくなってしまうため、ほとんどの企業がフレックスタイム制を設ける際は「コアタイム」と「フレキシブルタイム」を設定しています。
■「コアタイム」と「フレックスタイム」
「コアタイム」とは、必ず働かなければいけない時間帯の事です。上記の労働スケジュールを例にすると、10:00~12:00、13:00~15:00の時間帯は仕事をしなくてはならない時間帯、つまりどんなに遅くても10時までには出社し、15時までは仕事をしなくてはいけないということになります。ちなみにこのコアタイムは必ず設定する必要はありません。
このコアタイムを設定している理由は、「情報の共有」や「会議を行う」ためです。情報の共有や会議は社員がそろわないとできないため、コアタイムを設定することで社員全員が揃う時間を作っているのです。
他にも、社員同士のコミュニケーションを図ることを目的にコアタイムを設定している企業もあります。コアタイムの設定は義務付けられていませんが、このような理由から多くの企業がコアタイムを設定しています。
「フレキシブルタイム」とは、その時間帯の中であればいつ出社、退社してもよい時間帯のことです。上記の例だと6:00~10:00の間に出社、15:00~19:00の間に退社するイメージです。
コアタイムをしっかり挟めば「10:00~15:00」と短い労働時間でもOK。もしコアタイムが設定されていない企業であれば1日数時間といった短時間勤務でもOKということになります。
■1日の労働時間と週の労働時間
労働基準法による労働時間は1日8時間、週40時間(10人未満の商業などは週44時間)が原則のため、ほとんどの企業は「9:00~18:00×週5+(残業時間)」で働いていることになります。
しかしフレックスタイム制は変形労働時間制のため、この「1日8時間」は例外となります。基準は清算期間(最大1か月)を平均して週40時間以内に収まっていればOKということです。
清算期間は最大1か月となるため、基本的には「週40時間×4週間=160時間」が総所得労働時間となります。単純に160時間を4分割した週40時間を基準にすれば、上記のような割り振りになるイメージです。
しかし、基本的には月160時間で収まればOKなので、週40時間に縛る必要はありません。1ヵ月を基準にした時、上記のように40時間未満の週もあれば、週40時間を超える週があってOKということになります。
つまり、月に160時間以内に収まれば、1日4時間しか働いていない日があってもよし、週40時間を超える時があってもよしということです。
■残業代との関係性
フレックスタイム制は時間が自由な分、残業代が発生しないというイメージがありますが、それは誤解です。フレックスタイム制でもしっかりと残業代は発生します。
たとえば、総所定労働時間が週40時間、月160時間としている企業があったとしましょう。週40時間で収めた週もあれば、40時間を大幅にすぎた週があったとして合計、月に180時間働いたとします。
実際に働いた時間180時間-総所定労働時間160時間(週40時間×4=160時間)=20時間
上記のように、実際に働いた時間-総所定労働時間を引くことで出た数字(20時間)が“残業時間”ということになり、企業がこの時間分の残業代を支払う必要があります。
■フレックスタイム制を導入する条件
フレックスタイム制はどの会社でも自由に導入できるわけではありません。フレックスタイム制を導入するためには下記の条件を満たさなくてはなりません。
- 労働組合との間で労使協定を締結(下記5点)
・対象労働者の範囲を定める
・清算期間と決算日を定める(清算期間は最大1か月)
・清算期間における総所得労働時間を定める(基本的には週40時間または44時間)
・基準となる1日の労働時間の長さを定める
・コアタイム・フレキシブルタイムの開始・終了時刻を決める - 就業規則の規定
就業規則にフレックスタイム制が適用されること、そして始業・終業時刻を労働者の決定に委ねることを定める
このように、自由な制度ではありますが、導入するには厳しい条件が課せられます。これら条件を一つでも満たしていない場合は違法となりますので、企業選びをする際にしっかりと見極めておきましょう。
■フレックスタイム制のまとめ
最後にフレックスタイム制についてまとめておきます。
- 始業・終業時間を自由に決めることができる制度
- 「コアタイム」と「フレキシブルタイム」がある
・コアタイム:必ず働かなければならない時間帯(設定しなくても可)
・フレキシブルタイム:決められた時間内であればいつ出社・退社してもよい時間 - 清算期間は最大1か月=総所得労働時間は基本的に160時間(週40時間×4週間)
- 160時間以内であれば1日短時間、週40時間越え労働も可
- 総所得労働時間を過ぎた分は残業代が出る
- フレックスタイム制導入には条件がある
フレックスタイム制を始め、企業はさまざまな働き方制度を取り入れ始めています。自分にあった働き方を求める場合、より最新の企業情報をチェックする必要があるでしょう。
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フレックスタイム制を導入している業界
フレックスタイム制を導入している業界は下記のとおりです。
- IT
- マスコミ
- 広告
- コンサルティング
- メーカー etc…
上記の業界はフレックスタイム制を導入している傾向があります。これら業界がフレックスタイム制を取り入れている理由は「時間や場所にとらわれずに仕事ができる」のと、「役割分担がはっきりしているため、個人で業務を進めることができる」からです。
これらの仕事のほとんどはPCでの作業となるため、わざわざ会社に出向かなくても仕事をすることができますし、社外の人との関わりが少なく、約束などを取り付けることが少ないため時間の融通が利くのです。
反対にお客さんやクライアントなどといった社外の人と頻繁に会う営業職などは、出社、退社時間を変動させるわけにはいかず、フレックスタイム制が適応されない場合がほとんどです。
ちなみにフレックスタイム制を導入している企業が最も多いのは「ベンチャー企業」です。理由は単純に、上記のような業界(主にIT)が多いからです。
フレックスタイム制を導入している企業かどうかは業務スケジュールや就業規定に記載があるので、面接時に業務スケジュールを確認する、または募集要項をチェックしてみましょう。
フレックスタイム制のメリット
フレックスタイム制には企業側にとっても学生側にとってもたくさんのメリットがある素晴らしい制度です。では、具体的に具体的にどのようなメリットがあるのか。今回は“学生側”のメリットをご紹介していきます。
自分の仕事に合わせて時間を調整できる
フレックスタイム制の最大のメリットは何といっても「時間が自由」だということでしょう。出社・退社時間を決められることはもちろん、自分の仕事に合わせて時間を調整できるので、無駄がなく、効率的に仕事をしていくことができます。
通常の企業はどんなに暇でも朝9時には出社し、18時まで会社にいます。しかし、これって暇だととっても時間を無駄にしていることになりますよね?
しかしフレックスタイム制なら暇だとわかっている日はゆっくり出社できるし、早く退社することも可能なので、とても有効的に時間を使うことができるのです。また、反対に忙しい日は一日に集中して仕事をすることができるため、効率が良いです。
このように、自分の仕事や状況に合わせて労働時間をコントロールできるのはフレックスタイム制ならではの最大のメリットです。
また、寝坊や二日酔いでなかなか起き上がれない時があってもコアタイムまでに間に合えば問題ないので、このような面でも時間が自由なのは嬉しい制度ですね。
残業を軽減できる
フレックスタイム制は自分の仕事に合わせて時間を調整できるため、無駄な残業をしないで済みます。先ほどもお話ししたように、時間の調整が効く分、あらかじめ忙しいとわかっているときには長時間労働することが可能なのです。
そして労働した分、他の日は短時間労働が許されているため、通常企業のようにダラダラと時間を過ごすことはありません。
通常企業は残業が必要ない日でも定時までは原則会社にいなくてはいけないため、フレックスタイム制の企業よりも長く会社にいることがほとんどです。
残業が必要なほど忙しい日はあえて長時間労働をし、残業が必要ない日は短時間勤務できるという時間の融通が利くのがフレックスタイム制の魅力です。
通勤・帰宅ラッシュを避けることができる
フレックスタイム制は出社・退社時間を自分で決めることができるため、通勤・帰宅ラッシュを避けることができます。
通勤ラッシュはこれから仕事をするにあたって大きなストレスとなります。しかも毎日ぎゅうぎゅうの電車になるのは心身ともに疲れてしまいます。また、仕事が終わってもぎゅうぎゅうの電車に乗るのもきついですし、せっかく仕事が終わってもリラックスできないですよね。
しかし、フレックスタイム制なら出社時間を遅らせることができる、また早くに退社することができることから通勤・帰宅ラッシュを避けることができるのです。
通勤・帰宅ラッシュは大きなストレスの要因となりますので、フレックスタイム制によってストレスが軽減できるのはメリットといえるでしょう。またストレス軽減は仕事の効率化を図れますし、モチベーションアップにもつながるため、企業側にとってもメリットだと言えます。
役所や銀行などに行くことができる
出社や退社の時間をコントロールできることから、役所や銀行、病院などに行くことが可能です。
役所や銀行窓口などは平日の朝から夕方までしか対応してくれません。社会人として働いている以上、土日休みの人たちはほとんど行くことができないのです。もしどうしても役所や銀行、病院などに行く必要がある場合は「有給」を使わざるを得ません。
こんなことで貴重な有給を使ってしまうのってなんだかもったいない気がしますよね。しかしフレックスタイム制なら有給を使わずに済みます。なぜなら出社・退社時間を自分でkメレルから。つまり、仕事の時間だけでなく、プライベートの時間もコントロールできるというわけです。
仕事だけでなく、プライベートの時間もコントロールできるのは、フレックスタイム制の大きなメリットです。
自己成長のために時間が使える
フレックスタイム制は時間を自由にコントロールできることから、自己成長のために時間を使うことが可能です。
たとえば、自己啓発のための学校へ通えたり、資格取得、さらには自動車の教習所など、通常なら土日に時間を充てることになるようなことも、フレックスタイム制なら平日に仕事をしながら両立することができるのです。
土日がつぶれる、有給がなくなるといったことがなく、しかも仕事と両立したうえで自己成長のために時間を使えるのはフレックスタイム制ならではの大きなメリットです。
フレックスタイム制のデメリット
メリットからフレックスタイム制はいいこと尽くしのようにも感じますが、残念ながらデメリットも発生してしまいます。
フレックスタイム制を取り入れる企業はこれからどんどん増えていくことが予想されますので、いつフレックスタイム制が導入された企業へ入社してもいいように、あらかじめデメリットも確認しておきましょう。
自己管理が大変
フレックスタイム制は時間が自由とはいえ、きちんと決められた規定時間が存在します。清算期間を1ヵ月とした時、総所得労働時間はだいたい160時間(週40時間×4週間)ですので、1か月でこの160時間と上手に付き合っていかなくてはいけません。
仕組みでもお話ししたように、月160時間以内に収まれば、1日短時間でも可、週40時間を超える週ができてもOKですが、これらの時間管理をしっかりできないと無駄に働きすぎてしまう、もしくは時間が足りずに減給といったことになってしまいます。
ですので日々、時間を計算しながら仕事をしなくてはいけないのです。自由な分、他で苦労することになるので、自己管理が苦手な人はフレックスタイム制に向いていないかもしれません。
スケジュールが乱されることがある
フレックスタイム制は時間が自由なゆえに、スケジュールを乱されることが度々あります。たとえば取引先やクライアントとの連絡です。
自分の中でスケジュールを組んでいたとしても、取引先やクライアントはあなたの事情を知らないため、勤務時間外に仕事の連絡をしてくることがあるのです。たとえ勤務時間外だとしても仕事のためにはしっかりと対応しなくてはいけないため、結果として勤務時間外労働を強いられることになります。
ほかにも社内の出勤状況にバラつきがあることから、連絡を取り合いたい人と会えなかったり、引継ぎなどがうまくできないことなどもあります。
そうなれば結果的に会社に残ることになるため、自分が予定していたスケジュールが崩れてしまうことになります。
このように、自分でもともと立てていたスケジュールが周りの状況によって乱されてしまう可能性があるため、その都度、時間の調整が必要となります。ですから、これらの作業をめんどくさいと思う人は大きなデメリットと感じるでしょう。
社内コミュニケーションがとりにくい
フレックスタイム制は従業員の出社・退社時間にバラつきがあることから、社内コミュニケーションがとりにくいというデメリットがあります。
コアタイムを設けている企業なら社員全員が集まるタイミングがあるものの、コアタイムを設けていない企業の場合は全員が集まるタイミングがないため、コミュニケーションが取りづらいです。
また、たとえコアタイムがあったとしても退社時間にバラつきがあるため、仕事後の交流なども他企業に比べたら少ないかもしれません。
このように、フレックスタイム制は自分を中心とした生活はしやすいですが、周りの人との生活が難になるというデメリットがあります。
フレックスタイム制での注意点
- 総所得労働時間を過ぎた分の残業代は支払われる
- 総所得労働時間より短い場合はその分給料がカットされる
- フレックスタイム制の細かなルールは企業によって異なる
フレックスタイム制の仕組みでもお話ししましたが、時間が自由なフレックスタイム制だとしても残業代はしっかりと支払われます。まれに「出社・退社が自由だから残業代はでない」としている企業もありますが、総労働時間を過ぎた分が残業として認められるため、企業は残業代を払う義務があります。
もし給料が思っている以上に少ない、労働時間と見合わないと感じたらすぐに企業に確認しましょう。もし企業が取り合ってくれない場合は、消費者センターまたは弁護士に相談してください。
また、残業代以外にも“総労働時間よりも働いた時間が短い場合”も注意しておくことがあります。
それは、”基本的に総労働時間よりも働いた時間が短い場合はその分、給料がカットされる”ということです。しかし、足りなかった時間分を次の週や月に繰り越して動かすことは違法ではないので、対応してくれる場合もあります。
しかし、残業代があるからといって残業代を翌月、ただ働きさせることは違法ですので注意しましょう。
他にも、フレックスタイム制のルールや仕組みは企業によって異なるということも覚えておいてください。仕組みでもお話ししたように「コアタイム」を設けていない企業もあれば、総労働時間の設定が異なる企業などもあります。
細かな違いも自分自身の働きやすさに影響するため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
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おわりに
フレックスタイム制は出社・退社の時間を自由に選ぶことができ、自分の都合で仕事をしていくことができるため、とても働きやすい制度だといえます。近年、このフレックスタイム制を導入している企業も増えていますし、学生の中でも人気が高いです。
しかし、フレックスタイム制にはメリットばかりではないことを理解しておいてください。いいことばかりに目を向けるのではなく、時間管理は難しさや、社外の人とのコミュニケーションが取りづらいといったデメリットもしっかり把握しておきましょう。
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この記事の監修者
平崎 泰典
株式会社ジールコミュニケーションズ
HR事業部マネージャー
2016年に入社後、企業向けの採用コンサルティング業務を経て、就職・転職希望者に対する個別就職支援を担当。「キャリチャン」「合説どっとこむ」において年間100回以上の就職・転職セミナーの講師も務める。
主な担当講座に「営業職や種類が適性がよくわかる解説講座」「手に職をつけられる仕事解説講座」などがあり、これまで3,000名以上に対して講座を実施。
就職支援では「自己分析」と「業界研究」を得意として、就活初期の学生や求職者を相手に基礎からサポートを行う。年間1,000名以上の内定獲得を支援。