就活倍率の高い企業の特徴と高倍率でも内定を勝ち取る方法
2023年3月3日
22卒の就活解禁が近づいてきました。具体的な業界研究や企業選びの時期になると、学生の間では「この業界は倍率が低いらしい」「この企業は倍率が高いから難しい」といった、就活の倍率に関するさまざまな噂が飛び交います。
そんな倍率の噂に惑わされて、業界・企業選びに迷っていませんか?
確かに、食品メーカーなど一部の業界・企業に学生の人気が集中し、倍率が高くなる傾向はあります。
しかし、倍率が低い業界や企業だからといって、必ずしも受かるとは限りません。では、そもそも就活倍率とはどういうもので、どの程度参考にすべきなのでしょうか。
このコラムでは、就活倍率とは何か、高倍率・低倍率企業はどのような企業なのか解説しています。
倍率に左右されずに内定を獲得する秘訣についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
食品は人気が高い!高倍率企業の特徴
就活倍率とは、簡単に言い換えると「内定(競争)倍率」のことです。大学受験の際にも倍率があったように、就活にも、同じような倍率を表す数字があります。
受験の際の倍率は、合格者枠に対して志願者が何倍いるかで表されました。それと同様に、就活での倍率は、内定者枠に対して何倍の応募者がいるか、つまり内定者数の何倍の本エントリーがあったか、で表されます。
就活倍率=内定競争倍率=本エントリー数÷内定者数
エントリーする人が多ければ多いほど、分子(割られる数)が大きくなり、倍率が高くなるわけです。したがって、大手企業や有名企業のように、全国からたくさんの学生がエントリーする企業は自動的に倍率が高くなります。
しかし、大手だったらどこでも倍率が高いというわけではありません。では、具体的にどのような企業が倍率が高いのでしょうか。倍率が高い企業の特徴を掲載しますので、参考にしてください。
食品メーカーは倍率が高い
一般的に、衣食住に関わる仕事は、仕事内容のイメージがつきやすいので、志望する学生が多い傾向があります。その中でも、食品関連の企業は学生にたいへん人気です。
食べることが嫌いな人はいないので、食品業界は学生にとって身近なのでしょう。
その中でも特に人気なのが食品製造の大手メーカーです。大手食品メーカーは経営が安定していますし、知名度もあって待遇もいいので、学生の人気が集まり、倍率が高くなっています。
ただし、全ての食品が人気なわけではありません。同じ食品の中でも接客や夜中勤務のイメージがあることから飲食業は不人気です。
- [衣類]
アパレル=販売職のイメージから希望者少なめ - [住宅]
不動産=ゴリゴリの営業(稼ぎたい学生のみ人気)
建築=現場仕事、資格取得大変そうというイメージから人気薄 - [食品]
飲食=接客や夜中勤務は不人気
食品メーカー=大人気で高倍率!
【衣食住】
衣食住というと衣類・住宅・食品ですが、衣類関係であるアパレル企業や、住宅関係の不動産や建築企業は、食品関連企業ほど倍率が高くありません。
なぜなら、アパレル企業は立ち仕事、シフト勤務といった販売職のイメージが強く、また不動産や建築企業は、どちらも外回りの営業や現場作業で汗を流す「キツイ仕事」というイメージがあり、食品ほど人気が集まらないからです。
高倍率企業の特徴
食品業界も含め、就活倍率が高くなる企業には、以下の3つの特徴があります。
- 業界・職務内容がイメージしやすい(身近)
- 福利厚生がしっかり確保されている
- 募集人数が少ない
【高倍率企業の特徴】
まず、食品業界のように、業界や職務内容がイメージしやすい身近な企業は、自然と学生が集まり、倍率が高くなります。
なぜなら入社してからどんな仕事をするのか想像できる方が、志望しやすいからです。
また、給料が高い、年間休日日数が多い、育児休暇が取りやすいなど、福利厚生がしっかり確保されている企業は当然、希望する学生が多いので倍率が高くなります。
大手企業の倍率が高いのは知名度の面もありますが、福利厚生が整っている企業が多いというのも理由の一つです。
逆に小さい企業でも、募集人員自体が少なければ、その分倍率は上がります。そうした企業に学生が集まると、少ない椅子を大勢で取り合う形になるので、実際の人気度以上に高倍率となるのです。
「食品メーカー」以外に上記の特徴が当てはまる業界としては、「化学メーカー」「商社」「鉄道」「航空」「銀行」「出版」「広告」「ブライダル」などあり、どの業界も例年、高倍率の傾向にあります。
こうした傾向は2020年卒の就活でも変わらず、同じ業界の高倍率が続くでしょう。
“銀行”はこれから倍率が上がる?
キャリchでは、銀行業界はこれから、さらに倍率が上がる可能性が高いと予想しています。その理由は、銀行業界では近年、業務のAI化によって人員削減が進んでいるからです。
その証拠に、銀行業界の2019年卒の採用枠は、2018年卒に比べおよそ半数程度に減少しています。
もともと人気の高い銀行業界ですが、今後は募集人員の削減によってますます倍率が上がり、さらに競争が激しくなっていきそうです。
小売や運送業界は低倍率?倍率の低い企業の特徴
大手企業や人気企業では、就活倍率が100倍を超えることもざらですが、世の中には、就活倍率が一ケタ台の低倍率企業も存在します。
ここからは、どのような業界・企業の倍率が低いのか解説していきます。
小売や運送業界は倍率が低い
小売業界や運送業界は、就活倍率が低い企業が多い傾向があります。その理由は小売業界の場合、私生活の確保が難しいというイメージがあるからです。
取り扱う商品や職種によっても異なりますが、量販店やアパレルは勤務時間が長く、残業が多くなりがちです。
また、店舗勤務になると休みがシフト制になり、土日祝日やお盆、年末年始といった一般的な企業が休みの時には休めないので、友人や家族と余暇を過ごすのが難しくなります。
閑散期には休みが多く取れますが、売り上げが高い繁忙期には休みが少なくなるなど、休日が偏る企業も多いため、私生活を重視したい学生には不人気なのです。
運送業界の倍率が低い理由は、重労働・人手不足というイメージがあるからです。もちろん同じ業界の中でも職種は様々なのですが、基本的に運送業界は大型車を運転して、重たい荷物を上げ下ろしし、汗をかくという肉体労働が主な業務となります。
慢性的な人手不足で、休日や休憩時間の確保が難しい業界であることは、ニュースなどでも話題になりました。
また、国内物流は今後AI化が進むと見られているため、将来性を加味して、敬遠する学生が多いのです。
しかし小売業界や運送業界でも、全ての企業の倍率が低いわけではありません。小売業界の中でも、外資を含む特定のブランドにはホワイト企業が多く、福利厚生が確保されているので、倍率が高くなることがあります。
運送業界でも、対グローバル企業であれば「語学を活かせる」という理由から、企業によっては倍率が上がることもあります。
小売り・運送は、全体としては低倍率の企業が多いですが、一部倍率が低くない企業も存在するので、注意してください。
倍率の低い企業の特徴
小売り・運送も含め、就活倍率が低い企業には、以下の4つの特徴があります。
- 残業が多いというイメージ
- シフト制
- 給料が低い
- 離職率が高い
【低倍率企業の特徴】
仕事の忙しさは部署や職種によっても異なるので、実際にどの程度忙しく、残業が多いのかは、働いてみなければ分かりません。
しかし本当のところはどうでも、「残業が多そう」というイメージがある業界は、人気が低く、低倍率になります。
また、小売り店舗のようなシフト制で休みが固定されていない業界や、年末年始などの一般的な休日にこそ働く業界は、休みたいときに休めず、私生活の充実が難しくなるので不人気です。
さらに、企業を選ぶ要素として重要な、給与面が低ければ当然、学生の人気は集まりません。一部の企業でなく、業界全体として給与水準の低い業界や、給与が頭打ちで伸びにくい業界は、低倍率になります。
加えて、離職率が高い業界も、学生には敬遠されがちです。大量募集を行っていたり常に求人が出ていたりする業界は、慢性的な人手不足の可能性があるので、注意深く見極める必要があるでしょう。
「小売り」「運送」以外に、上記の特徴が当てはまる業界として、「飲食(接客)」「建築(現場作業員)」「介護」があり、いずれも就活での倍率が低い傾向となっています。
就活倍率は気にした方がいい?
大学受験の際は、模試で自分の学力を見極め、大学の偏差値と倍率を頼りに志望校を考えたと思います。
就活でも、大学受験の時と同様に倍率を重要視すべきなのか、疑問に思っている学生もいるでしょう。
そんな疑問を解決するために、ここからは就活での倍率を、どの程度気にするべきなのか解説していきます。
参考にする程度でOK
就活での倍率は、大学受験と違い、参考にする程度でOKです。「倍率が低いから受ける」「倍率が高いからやめる」など、倍率だけで企業選びをするようなことはやめましょう。
就活は、企業研究によって自分に合う企業を探し、自分のやりたいことを軸として行うべきです。倍率ばかりを気にして企業選びをしていたら、借りに内定をもらえたとしても、自分のやりたい仕事はできなくなってしまいます。
そんな企業に就職しても、興味のない仕事に熱意を感じることは難しいですし、仕事の大変さが、より大きな苦痛にも感じるでしょう。その結果、働くことが嫌になってしまうのでは、せっかく就職しても長続きしません。
「知名度が高い企業で働きたい!」というのが自分の就活の軸なのであれば、高倍率の企業ばかりを受けても構いません。
しかし、基本的には倍率よりも、あくまで自分のやりたい仕事をすることの方が大切です。
“倍率が低い”からといって必ず受かるとも限らない
そもそも、あえて倍率の低い企業を選んだからといって、必ず受かるとも限らないのです。
企業の倍率に関係なく、どの企業も「自社にとってメリットとなる人材」を求めています。たとえ倍率が低い企業であっても、誰でもいいから来てほしいわけではないのです。
倍率を基準に企業を受けても、社風に合わない人や、自分の強みを活かせないような企業では、相性が悪いので受かる可能性は低いでしょう。
そして、倍率が低い企業だからと言って手を抜き、採用試験対策をしっかり行わなければ、当然受かることはありません。
就活での倍率は、「選んだ企業がたまたま高倍率だった、低倍率だった」くらいの気持ちで、参考程度に留めましょう。倍率が高くても低くても、就活では、事前の対策が重要です。
倍率に左右されない!内定を獲得するための秘訣を紹介
高倍率でも低倍率でも、採用試験に受かって内定を獲得するためには、しっかりした事前の対策が欠かせません。
ここからは、倍率に関係なく内定を獲得するために、具体的にどのような対策が必要なのか解説します。
自分を売り込むための下準備をする
就活の対策で必要なことは、企業に自分を売り込むための下準備をすることです。
まず第一に、企業研究・業界研究・自己分析を、徹底して行いましょう。そうすることで、自分に合う企業、自分の将来のビジョンとリンクする企業を、見極めることができます。
企業研究・業界研究・自己分析は、面接での質問に対する回答を準備するのにも重要となります。そして、それらの研究・分析と、回答の準備がしっかりできていれば、自信をもって面接を受けられるはずです。
次に、緊張感のある面接練習を行いましょう。面接は何度受けても緊張するものですから、面接練習では、実際の面接を受けているのと同様に緊張した状態で行うことが重要です。
緊張した際の表情や口調など、細かいことも意識して練習しておく必要があります。
「緊張感のある面接練習」を行うには、家族や友人よりも、大学のキャリアセンターの職員や就活エージェントといった、普段関わりの浅い他人と練習するのがオススメです。
また、志望度の低い企業の面接を受けることでも、「緊張感のある面接練習」ができます。
業界研究のコツを就活のプロが解説!押さえるべき4つのポイントとは
“逆質問”こそが内定獲得のカギ
面接の終わりにはたいてい、「それでは最後に、〇〇さんから当社に質問はありますか?」とたずねられます。この「逆質問」こそが、内定獲得の重要なカギです。
なぜなら、企業は学生からの「逆質問」によって、その学生の熱意や本心を探っているからです。
また「逆質問」は、学生にとって最も自分をアピールしやすい質問なので、特に力を入れて対策しておくべきでしょう。
それなのに、「質問はありますか?」と聞かれて「特にない」と答えるのは、「別にこの企業にそこまで興味も関心もないから質問もないよ」といってるのと同じ意味になります。そんな学生に、企業が内定を出してくれるはずもありません。
ですから、「質問はありますか?」と聞かれたら、その企業への関心や熱意をアピールする逆質問をしましょう!
- 「活躍している先輩の特徴や共通点はありますか?」
- 「入社までにしておくべきことは何でしょうか?」
- 「仕事のやりがいはなんですか?」
- 「詳しい業務内容を教えてください」
【オススメ逆質問例】
キャリchのオススメは、上記のような「入社をイメージした質問」です。
就活エージェントに頼ると就活が楽になる!
倍率に左右されずに就活を成功させるには、就活のプロに頼るのがオススメです。
就活エージェントなら、企業側の意見も踏まえた豊富な知識から、学生の自己分析や業界・企業研究をサポートしてくれます。
キャリchでも、高倍率企業からの内定を狙うためのイベント「再就活サポート」を開催しています!確実に内定を狙うための志望動機を一緒に作成したり、企業の紹介や面接練習など様々な面からサポートしていきます。完全無料ですので、ぜひ気楽にご参加ください。
おわりに
高倍率企業の特徴は…
- 業界・職務内容がイメージしやすい企業
- 福利厚生がしっかり確保されている企業
- 募集人数が少ない企業
低倍率企業の特徴は…
- 残業が多いイメージの企業
- シフト勤務の企業
- 給料が低い企業
- 離職率が高い企業
しかし低倍率の企業だからといって、必ず受かるとは限りません。どの企業であれ、全力で挑むことが大切です。
就活倍率に左右されるのでなく、「やりたいこと」に基づいた就活を目指しましょう。