【21卒3月の就活事情まとめ】内定取り消しの悪夢とオリンピック延期による影響
2022年3月25日
本来であれば、本格化していく就活に向けて動き出している時期。
しかし実際は、ますます新型コロナウイルスによる影響が大きくなっている。最も恐れていた「内定取り消し」まで起きてしまったのだ。
それに加えて3月下旬には「オリンピック約1年の延期」の発表。もともとオリンピックが開催される夏までを目安に採用活動をする予定だった企業・就活生にとってオリンピック延期は混乱を招く事態だった。
実際、現時点で何もできていない人も多くいるのはないだろうか。厳密には「何をすればいいのかわからず動けない」というのは正解だろう。
もちろん何もしないわけにもいかないし、誰かが何かしてくれるのも待っているのもNG。内定が欲しいのであれば、今の状況をしっかりと把握しなければならないのだ。
では3月では一体どのようなことが起き、今後どのような動き出しが必要となってくるのか。確認していこう。
目次
【3/24】「オリンピック延期」による就活への影響
新型コロナウイルスにより、かねてから噂されていた「オリンピック延期」が現実となった。もともとオリンピックが開催するということで混乱を招いていた21卒の就活だったが、「延期」によってさらに混乱している学生も多いだろう。一体これからの就活はどうなるのだろうか。
東京オリンピック約1年の延期を発表
バッハ会長と安倍晋三首相は電話会談で、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界のアスリートたちの大会準備に大きな影響を与えていることに共通の懸念を表明し、「2020年以降、遅くとも2021年夏まで延期しなければならない」との結論に達したとした。
聖火は日本に留まり、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」という名称を維持することも合意した。
国際オリンピック委員会が約1年のオリンピック延期を発表した。新型コロナウイルスによってオリンピック開催が懸念されていたこともあり、多くの人は安どに包まれたが21卒の就活生は違った。
なぜなら21卒はもともと「オリンピックが開催される」ことを前提に動いていたからだ。就活ルールも廃止され、オリンピックが開催される夏前までに就活を終わらせたいという企業の働きに合わせて活動してきた就活生。
しかし、そんな目安となるオリンピックの延期が発表され、企業自体も新型コロナウイルスの影響から採用活動を停止したため、就活生も「どうすればいいのかわからない」状態となっているのだ。
経済状況にも変化があることから、採用活動を継続できない企業なども出てきており、21卒の就活生は「どんな時期であれ、無事に就活ができるのか(内定がもらえるのか)」と不安でいっぱいなのだ。
就活の動きは日に日に変わっていく
オリンピックが延期されることによって経済全体の動きに変化が起き、就活においても大きく乱れが起きている。
オリンピックが開催される夏までに採用活動を終わらせる予定だった企業は、そんな目安となるオリンピックが延期されたとこによって、今後どのような日程で採用活動を行うべきかを考え直さなくてはならない。
また、オリンピックが開催されることで経済効果を期待していた業界や企業にとっても採用プランの変更が必要となるだろう。もともと業績アップを見込んで設定した採用人数を元に戻さなくてはならないのだ。場合によっては採用人数を絞ることもあり得る。
このように、企業によって対応すべき内容は異なり、どのように内容の変更や時期が定められるかはバラバラだ。そもそも就活ルールも廃止され、目安となるスケジュールがなくなったことで、余計に就活の進み方は変わってくるのだ。
そのため就活生は、常に志望する企業の動きを見張っていないといけないことになる。なぜなら就活がどう進んでいくかは企業によって異なるからだ。日に日に変わることに対して常にアンテナを張り、随時チェックしていく。これが今できる就活への対応だ。
【3/18】コロナによって「面接」の概念が変わる
新型コロナウイルスによって次々と合同説明会や就活イベントの中止を発表。そしてオンラインを用いた「Web説明会」が主流化されている。そしてその流れから面接においても「Web面接」を行うとしている企業が増えているのだ。
学生にとって不慣れなWeb面接だと思うが、実は就活生にとって対面面接よりも「Web面接」の方が力を発揮しやすいかもしれないのだ。
面接とは「盛った学生を面接官が見破る」という仕組み
就活面接とは、言ってみればいい人材を選び抜きたい企業と、選ばれるために少しでもよく見せたい学生との真剣勝負の場です。その戦場が、いきなり対面から非対面のオンライン空間に移ることに、不安を隠せないのでしょう。
(引用:東洋経済)
新型コロナウイルスから「Web面接」に切り替わる動きによって、「面接」への見方が見直された。上記の記事によると、面接は「よく見られたい学生」と「それを見破り、いい人材を採用したい」という真剣勝負の場だというのだ。
実際、採用されたいと必死な学生と、「選ぶ立場」にいる企業とでは企業側の方が上の立場という関係性が否めない。そのため学生は必死に自分を売り込もうと、企業から選ばれるための人間を繕うようになるのだ。
それに過度な緊張から思うように実力を発揮できないこともあり、余計に学生は仮面をかぶることとなる。そうなれば企業側は見抜くことが困難になり、面接はやがて“よく見られたいと盛った学生を面接官が見破る “という仕組みになっていったのだ。
ただこれはあくまで「対面」で行う面接だからこそ懸念されていた問題。実際に会う事のない「Web面接」においてはこの面接の仕組みが変わってくるというのだ。
SNSに強い学生がWeb面接を制する
東洋経済より、Web面接を経験した学生がこのように言っていた。
「リアルな面接の場だとガチガチに緊張してしまうけど、オンラインの動画だとあまり硬くならずにすんだ。ちゃんと自分を出せて納得のいく面接ができました」
リアルな面接の場よりも、Web面接の方が本領を発揮しやすかったというのだ。もともとよく見られたいと繕うのに必死だった学生が緊張から解放されることによって、さらに自分を繕いやすくなったのだ。
とくに近年はSNSを生活の一部として当たり前のように利用していることから、オンラインコミュニケーションに長けた学生が多く、上手に「盛る」ことができるようになったのだ。
そうなると大変なのは企業だ。もともと対面面接において盛った学生を見抜くのが大変だったのに、さらに「盛り」をされることによって余計に見抜くにくくなる。
それに、学生が本領を発揮しやすい=「素」を引き出しているわけではないため、余計に見抜きにくいのだ。
こうしてオンラインに強い学生はWeb面接の方がよくなり、企業側が面接への対策をしていくという流れができ、「面接」の概念が変わっていったのだ。
今後は「AI」が面接を行う事になる?
これまでの話から、Web面接化が進めば学生の方が有利に働くと思いがちだが、そうとも言い切れない。なぜなら企業側を手助けする協力助っ人が存在するからだ。その助っ人こそが「AI」だ。
Web面接システムにAIを搭載することによって、学生の表情や微妙な変化を読み取ることができ、評価に生かす技術や音声解析によってメンタル発症率などを見抜くというのだ。
これまで“会った印象 “から評価をしていた面接だが、入社後の活躍と相関しないというデータが示されたことから、アメリカではAIに任せた方がいいのではないかという考えた主流になりつつあるくらい、AI化が当たり前になってきているのだ。
そうなれば学生側も「盛り」だけでは通用しなくなり、学生側と企業側とが対等に面接を行う事ができるという仕組みだ。
今後いつコロナウイルスが消息するかわからない以上、ますますWeb面接の需要は上がり続けることが予想されるため、「AIに判断されてもいいような対策」が必要となるだろう。
キャリchでもWeb面接の対策法を紹介している記事があるので、ぜひ参考に対策していただきたい。
【3/12】呼び出された先には「選考」が待っている
近年「売り手市場」であることから、企業は学生を確保するのに必死だ。企業の過度なPRから学生を囲い込むための「オワハラ(就活終われハラスメント)」などが横行している中、面談などとの名目で呼び出し、実際は採用選考をしている「だまし面接」が一般化されているようだ。
一般化される「だまし面接」の実態
新卒採用の正式なスケジュールは「3・6・10」。3月=採用広報開始、6月=採用選考開始、10月=正式内定式という流れだ。しかし、この数年の採用活動を見ていると、3・6・10は有名無実化し、実質的な選考が夏のインターンシップ直後から行われている。
こういう採用プロセスの変化によって登場したのが、「だまし面接」だ。学生との接触は3年生の夏から始まるが、大企業では翌年3月までは堂々と「面接」と言えないので、違う言葉で学生を呼び出しているのだ。
(引用:東洋経済)
21卒より就活ルールが廃止され、就活スケジュールによる縛りがなくなかったことから全体的な就活の前倒しが起きている。それもこれも「優秀な学生」を確保するためだ。
もともと守られていなかった就活ルールではあったが、経団連に所属している大手企業は「3月=採用広報開始、6月=採用選考開始、10月=正式内定式」という枠組みを完全無視するわけにもいかない。
ただし、これらを守っているようでは他の企業に優秀な学生が取られてしまうということで、「面接」とは断言せずに、学生と接触する機会を設け、“選考 “を行っているのだ。
多いのは「面談」と称して学生を呼び出すことだ。これは“優秀 “だと判断された学生が他の企業へ目移りしてしまわぬよう、面談と称して頻繁に学生を呼び出し、囲い込みをしているという仕組みだ。
「面談」と称して呼び出す学生、すなわち「優秀な学生」を発掘する場は主に“インターンシップ “。インターンシップは就業体験を通して学生の能力が見極めやすいことから、囲い込むための学生を探す場として重宝されている。
もちろんインターンシップの他にも、OB訪問やリクルーター接触によって学生は見極められており、学生は“いつ選考が行われてもいいように “意識しておく必要があるようだ。
どんな時でも“完璧な就活生 “を演じるのがベター
学生の確保に必死な企業はインターンシップを中心に、OB訪問やリクルーターを通して優秀な学生を探しだし、「面談」と称して学生を呼びだし選考をしている。
これは既に常態化していることから、学生自身も“いつ選考が行われてもいいように意識 “しておく必要があるのだ。つまり、いつどんな時においても「完璧な就活生」を演じておく必要があるというわけだ。
とくにインターンシップにおいては、「インターンシップは本選考と直接的に関係ありません」などとうたっている企業が多くあるがこれを信じてはいけない。実際は「インターンシップは本選考で有利になる」という噂の方が真実なのだ。
インターンシップはもちろんOB訪問やリクルーター、そして「面談」と称して呼び出された場合には“選考を受けている “という意識のもと、上手に関わっていこう。
【3/10】恐れていたことが…。コロナによる「内定取り消し」の悪夢
新型コロナウイルスによって様々な影響が出ている21卒の就活。そこで最も恐れていた事態が起きた。「内定取り消し」がついに起きてしまったのだ。
まだまだ終息する気配のない新型コロナウイルス。これからも内定取り消しは増えてしまうのだろうか…。
リーマンショックの再来「内定取り消し」の悪夢
新型コロナウイルスの感染拡大で、業績悪化を懸念した企業から内定を取り消されるケースが相次いでいる。
新生活のめどが立たず、就職活動中の学生らから悲鳴が上がり、政府も実態把握に動きだした。
(引用:Yahoo!ニュース)
3月10日、就活生を驚愕させるニュースが飛び出した。新型コロナウイルスによって「内定取り消し」が起きてしまったのだ。
かねてより企業説明会中止などといった新型コロナによる影響が出ていたが、ついに「内定取り消し」にまで事態が発展。次は自分ではないとビクビクする就活生が大勢いるのだ。
Yahoo!ニュースによると、ウェディング会社への就職が決まっていた女子短大生が「コロナの影響で仕事がなく、新卒を雇う余裕はない」と突然電話で内定取り消しを告げられたそうだ。
他にも、携帯電話の販売代理店への転職が決まった数日後、「感染被害削減」を理由に採用を撤回された。就活生だけでなく、転職者にも内定取り消しの被害は広がっているのだ。
そして3/18にはテレ朝newsにて、コロナが原因で内定が取り消された人は12社で20人と発表。これはもう他人事とは言えない数字だといえるだろう。
救済に乗り出す企業も増えてきている
新型コロナウイルスによって内定が取り消され、路頭に迷う就活生がいる中、いくつかの企業が救済に乗り出した。内定取り消しされた学生のために、緊急採用選考を実施したのだ。
そんな緊急採選考を実施している企業の一部をご紹介しよう。
企業が直接的に採用活動を行うほかにも、就活支援企業においても内定取り消しになった学生を支援する働きが出ている。
当サイトのキャリchでも、内定が取り消しになった学生を支援するためのイベント「再就活サポート」を開催。マスク着用やアルコール消毒など、徹底した管理のもとイベントを開催し、学生を支援している。
学生自身も「内定取り消し」を覚悟しておく必要がある
新型コロナウイルスはいつ終息するかわからない。就活生にとっても新型コロナによる様々な影響は痛手だが、企業にとっても大打撃だ。
学生が欲しくても事業が安定しなければ人を雇えない。業績が下がれば今いる社員よりもこれから入社してくる「新入社員(=内定者)」を切ってしまうのも仕方ないのだ。
だから就活生は、「内定が取り消されることもあるかもしれない」ということを頭に入れておかなくてはならないのだ。残酷な宣告ではあるが、こればかりは仕方ない。
あらかじめ多めに内定を取っておいたり、内定先の経営状況を把握し、将来性を見越して採用活動をしていくなどの事前対策をしておこう。
おわりに
3月もまだまだ新型コロナウイルスによる被害は大きい。内定が取り消されるという悪夢だけでなく、オリンピック延期も決まり、さらに混乱を招くこととなった。
困惑する気持ちもわかるが、そのまま時が解決してくれるのを待っているようでは就活を無事に終えることはできない。就活ルール廃止にオリンピック延期、そして新型コロナウイルスと最悪な状況だとしても、21卒として就活をしていく以上は状況を把握し、適切な行動が必要だ。
そして今現在、志望企業が採用活動を停止しているなどといったことから身動きが取れ倍場合には「今できること」をしよう。
自己分析や企業研究、志望動機の練り直しや面接練習などは今の状況でもできる。就活は面接を受けるだけがすべてではなく、これらの下準備があってこその内定だ。何かしてくれるのを待つのではなく、「今できること」をしよう。
再就活サポートに参加しよう!
この記事の監修者
平崎 泰典
株式会社ジールコミュニケーションズ
HR事業部マネージャー
2016年に入社後、企業向けの採用コンサルティング業務を経て、就職・転職希望者に対する個別就職支援を担当。「キャリチャン」「合説どっとこむ」において年間100回以上の就職・転職セミナーの講師も務める。
主な担当講座に「営業職や種類が適性がよくわかる解説講座」「手に職をつけられる仕事解説講座」などがあり、これまで3,000名以上に対して講座を実施。
就職支援では「自己分析」と「業界研究」を得意として、就活初期の学生や求職者を相手に基礎からサポートを行う。年間1,000名以上の内定獲得を支援。