コネ入社の面接は楽勝?面接を受けるメリット・デメリットと成功の秘訣を解説
2022年6月23日
面接も後半戦ですが、順調ですか?
キャリアプランナー 岡田
就活生 Aさん
全然ダメです。面接が苦手で上手く話せなくて…。
でもコネ入社で採用面接を受けた友人は、面接なんて形だけで、楽勝だったって言ってました。それが本当なら、自分もコネ入社に切り替えようかなぁ。あまり希望にあった企業じゃないけど、1社だけ当てがないこともないんです。
うーん…。コネ入社の面接が楽勝とは、一概に言い切れないですね。それにコネ入社の面接には、メリットだけでなくデメリットもありますよ。今から別の企業にコネを作る方法がなくもないですが、利用するかどうかはデメリットも踏まえたうえで判断すべきです。
今回は、「コネ入社の面接が本当に楽勝なのかどうか」「コネ入社の面接のメリット・デメリット」「コネ入社の面接を成功させる秘訣」「今からコネを作る方法」などについて解説しますので、参考にしてください。
キャリアプランナー岡田
コネ入社の面接は本当に楽勝か?
自分の面接がうまくいっていないのに、コネ入社の面接なら楽勝らしいなんて聞くと、冒頭の就活生のように「自分もコネで入社できないだろうか」と思うのは自然なことです。今すでに何らかのコネを持っている人であれば、なおさら今うまくいっていない一般応募から、コネ入社の方へ方向転換しようかと考えると思います。
しかし、「コネ入社の面接は楽勝」という甘い話を鵜呑みにし、実態のよく分からないものにいきなり飛びつこうとするのは危険です。就活の方針を大きく変更する前に、まずはその噂が本当かどうか、きちんと検証しましょう。
コラムの初めに、そもそもコネ入社とはどういうものなのかと、コネ入社の面接が本当に楽勝なのかどうかについて解説します。すでにコネ入社の面接を受けようとしている人も、これから方向転換しようとしている人も参考にしてください。
コネ入社にもいろいろある
結論から言うと、「コネ入社の面接は楽勝」とは一概に言い切れません。その理由は、一口にコネ入社といっても、いろいろな種類のコネがあるからです。コネ入社の面接であっても、形だけの楽勝な面接となる強力なコネもあれば、そうではないコネもあります。
そもそもコネ入社とは、人的なコネクションを利用した縁故採用のことです。コネ入社と言うとまず思い浮かべるのは、自分の親や親せきがその会社の役員だったり、取引先の役員だったりといった、血縁関係のコネだと思います。そこまで直接的なコネなら、確かに面接は形だけで、楽勝かもしれません。それに近いものとして、親や親せきの知り合いにそれらの役員がいるという場合もあります。その場合は、親や親せきとその役員との関係性がどの程度強く、役員がどのくらい人事に口をきいてくれるかによって、面接の難易度が変わってくるでしょう。
その他のコネ入社としては、研究室・ゼミの教授や講師陣が持っているコネを利用する方法もあります。教授や講師陣がその企業と密接な関係にあればあるほど、採用面接は形だけの楽勝なものになる可能性が高いです。ただしそれも、教授や講師陣がどのくらい強いコネや信用をその企業から得ているのか、利害関係が絡むのか単なる交友関係かといったことによって、面接の難易度が左右されます。
そうした他力本願のコネのほかに、自分自身がインターンやアルバイト、集客イベントなどで作ったコネで入社する人もいます。その場合、普通は役員などと知り合う機会はあまりないので、必然的に繋がっているのは人事や現場の担当者といった一般社員になるでしょう。楽勝と思えるほど簡易的な面接になるかは、自分のその人の評価をどれだけ勝ち取れているかと、その人の社内での影響力次第です。
そのように、一口にコネ入社と言ってもいろいろなので、コネ入社だからといって必ずしも面接が楽勝とは限りません。今コネ入社の面接を受けるかどうか検討している就活生は、その辺りの事情もきちんと把握しておく必要があります。
企業がコネ採用をする動機
企業側がコネ採用を行うのには、いろいろな種類の動機があるということも、コネ入社の面接が一概に楽勝とは言い切れない理由の1つです。その企業がコネ採用を行おうとしている動機が強く、どんな人物であれほとんど採用を決めている状態で面接するなら、面接は形だけの楽勝なものになります。ところが企業側がコネ採用をしたい動機が弱ければ、その人物をよく知って採用するメリットとデメリットを天秤にかける必要があり、面接は期待したほど楽勝なものではなくなるわけです。
そもそも企業側がコネ採用をしたがる動機は、コネを使って応募してくる人物を採用すると、採用活動の際や入社後に企業側にとって以下のようなメリットがあるためです。
【コネ採用を行う企業側のメリット】
採用活動の手間とコストが省ける
紹介者を通して人柄がよくわかり、相性を見極めやすい
紹介者を通して連絡が取れるので、連絡不能にならない
紹介者に迷惑がかかるので、内定辞退の可能性が低い
紹介者とのコネクションを今後の取引に活かせる
上記の、コネ採用を行う企業側のメリットを見ても分かるように、企業側がコネ採用を行うのには、さまざまな動機があります。コネを使って一人採用すれば確かに、募集や選考にかかる手間とコストを少しだけでも減らせるはずです。また人柄がよく分かれば入社後のミスマッチのリスクを減らすことができますし、連絡不能や内定辞退の可能性が低いのも、採用活動の手間とコストを削減するのに役立ちます。
ただしコネ採用を行う企業側のメリットをもっと注意深く見てみると、どうしても面接をした”その人物”を採用したくなるメリットは、最後の「紹介者とのコネクションを今後の取引に活かせる」コネだけです。”その人物”が、企業の取引先や商品開発に役立つ研究機関、PRに役立つメディアといったものにコネを持っていれば、その人物自体の能力や人柄に関係なく入社後も利益をもたらしてくれます。しかもそんなコネを持つ人物は希少であり、他の人物ではダメなので、面接を受ける前から企業側もほとんど採用するつもりで面接します。
しかし、それ以外の上4つのメリットは、面接を受けている”その人物”でなければもたらすことのできないメリットではないです。確かにそのコネを持った人物を採用すれば採用活動のリスクが減るでしょうが、その程度のメリットをもたらせる人物は他にも大勢います。つまり「どうしてもその人物でなくてはならない理由がない=面接してみて気に入らなければ、無理に採用する必要はない」のです。
そのため上の4つのコネで面接を受ける場合は、紹介者とのコネクションを活かして利益をもたらせる希少なコネを持った人物と違い、楽勝というほど形式だけの面接では済まされないことも結構あります。現在コネ入社の面接を受けるかどうか検討している就活生は、期待しているほど形式だけの面接ではなく、採用メリットの方が大きい人物かどうか(採用メリットを帳消しにするほどデメリットの大きい人物でないかどうか)しっかり評価される場合もあることを理解しておいてください。
コネ入社の選考方法の特徴
コネ入社の面接は楽勝というほど形式的なものばかりとは限りませんが、少なくとも一般応募の選考より楽であることは確かです。
先ほども述べたように、コネ採用を行う企業の動機には、採用活動の手間とコストを軽減したり、内定者を確実に確保したり、入社後のミスマッチを予防したりといった、採用活動に関するメリットが多くなっています。もう少し簡単に言えば、コネ採用を行う企業は正直なところ、一般応募の選考より楽して内定者を決めたいと思っているわけです。そのためコネ入社の選考方法は、一般応募の選考より簡素化されています。
書類選考はそれこそ形だけの場合が多く、むしろ事前にESや履歴書、適性検査などをやり取りする手間も省いて、いきなり面接となるケースもあるくらいです。また、コネ採用の選考を受ける人は限られていますから、大人数が必要なグループワークなども省かれることが多いでしょう。つまりコネ入社の選考では一般的に、面接以外の選考ステップがほとんど免除され、面接前の足切りを避けることができます。
それだけでなくコネ入社の選考では、面接回数も一般応募より少ないです。コネ入社の選考では候補者そのものが初めから限定されているため、そもそも対象人数が少なく、集団面接などは大抵省かれます。コネ入社の選考では、途中をすべて飛ばしていきなり最終面接か、個人面接と最終面接の2回の面接となる場合が多いです。
面接中の雰囲気も、コネ入社の場合は一般応募に比べると和やかで、就活生が言葉に詰まるような難しい質問も少ない傾向があります。そのためコネ入社の面接では、一般応募の面接ほどひどく緊張せず、難問に頭を悩ませることもありません。実際に面接の合格率も、一般応募に比べるとずっと高い傾向にあります。そういう意味でコネ入社の面接は、一般応募に比べれば、確かに楽な面接だと言えるでしょう。
しかしコネがあっても面接に落ちる可能性は十分ある
確かにコネ入社の面接の合格率は一般応募に比べると高いですが、「合格率が高い=落ちない」ということではないです。コネがあっても、面接に落ちる可能性は十分あります。
くり返し述べているように、コネ入社だからといって、面接が形だけのものとは限りません。自分が持っているコネの強さや企業側がコネ採用をしようとしている動機、企業の方針などによっては、コネは就活生を評価する要素の1つに過ぎず、コネ入社の人もしっかり面接で評価される場合があります。
言ってみればコネ入社の面接を受ける人は、コネがあることによって、一般応募で受ける就活生よりも、評価に下駄をはいたような状態にあるわけです。その下駄が高いか低いかはコネの種類によりますが、いずれにせよ自分自身も評価の対象となり、そのコネがもたらすメリットと天秤にかけられます。そして面接の結果、コネがもたらすメリット以上にこの人物が入社することによるデメリットの方が大きいと判断されれば、コネ入社の面接に落ちることも決して珍しくないのです。
たとえば「面接での態度が悪い」「仕事のスキルがやたら低い」「準備不足でまともな受け答えができない」といったことが、コネ入社の面接に落ちる原因となります。もちろんコネ入社の面接ではコネがもたらすメリットと天秤にかけられるのですから、自分の持つコネが弱い=履いている下駄が低い場合には、それらマイナス評価の度合いがさほど大きくなくても落ちる可能性が高いです。
つまりコネ入社の面接でも、よほど強力なコネを持っていない限り、面接対策は必須となります。コネ入社の面接であろうと、何の対策もなしに、素の状態で受かるほど楽勝ではないわけです。今コネ入社の面接を受けるかどうか検討している就活生は、そのこともしっかり頭に入れておいてください。
面接&入社後のメリット・デメリットから紐解くコネ入社の実態
コネ入社の面接は一般応募に比べると合格率が高いとはいえ、落ちる可能性があることには変わりなく、一般応募からコネ入社へ切り替えたからと言って、面接対策が不要になるわけではないです。それを知って、コネ入社の面接を受けるべきかどうか、余計に迷ってきた人もいるかもしれませんね。
ここからは角度を変えて、コネ入社の面接を受けるメリットとデメリットから考えてみましょう。コネ入社には面接の際にも入社後にも、一般応募とは異なる独特なメリット・デメリットがあります。どちらもきちんと理解したうえで、今後の就活方針を見定めてください。
コネ入社のメリット
コネ入社で受ける場合のメリットは以下の3つです。
【面接時のメリット】
内定をもらうハードルが低くなる
面接で緊張しない
多少のミスは許される
【入社後のメリット】
紹介者によっては出世しやすくなる場合がある
ここまでにも説明してきたように、コネ入社の面接ではコネがもたらす企業側へのメリットによって、自分に対する評価に下駄をはいたような状態になっています。そのため合格基準が甘くなり、一般応募に比べると受かりやすいわけです。
コネ入社の面接を受ける就活生にはそうした安心感もありますし、企業側も採用に対して前向きで、一般応募の就活生に対するよりは態度を軟化させます。面接の雰囲気も比較的和やかになり、緊張感が少ないはずです。面接対策が不可欠とはいえコネ入社の面接の場合、言葉遣いを間違える、ノックの回数を間違えるといった多少のミスは、笑って許してもらえるかもしれません。
また入社後のメリットとしては、紹介者の協力によって、出世しやすくなる場合があります。紹介者も自分が紹介した手前、コネ入社の人の入社後の働きぶりに多少なりとも責任を感じるのでしょう。そのためコネ入社だと紹介者が仕事のやり方を教えてくれたり、仕事上の便宜を図ってくれたりなど、紹介者の協力で仕事がスムーズになり、その実績によって出世しやすくなるわけです。
コネ入社のデメリット
メリットが多いように思えるコネ入社ですが、もちろんデメリットもあります。
【面接時のデメリット】
紹介者に迷惑がかかるので、内定辞退が難しい
【入社後のデメリット】
妬みなどで職場の人間関係がうまくいかない可能性がある
期待に対するプレッシャーが大きい
実力が伴わない場合には、業務についていけない可能性がある
同期や先輩から冷たい目線を浴びることがある
良く調べずに入社して、のちのちイメージとのギャップを感じやすい
ミスをしたとき紹介者にも影響を及ぼす可能性がある
紹介者に依存してしまう
紹介者に迷惑がかかるため、転職が難しい
コネ入社のデメリットとして何と言っても見逃せないのは、「紹介者に迷惑がかかる」と遠慮することによって、内定辞退や退職が難しくなることです。コネ入社は確かに一般応募より合格率は高いですが、同時にそのしがらみに選択の自由を奪われるということでもあります。面接を受けた時に自分がその会社を気に入らなくても、内定辞退すると紹介者に迷惑がかかるため、その会社に入社せざるを得ません。
またコネ入社の場合、面接時はデメリットの数よりメリットの数の方が多いですが、入社後のデメリットはメリットの数を大きく上回ります。コネを使って入社したという事実は、自分が望まなくても周りに知られてしまうものです。会社を構成する人間の大多数は一般応募による入社ですから、「コネを使って入社した」というだけで妬みや嫉みの対象になり、職場の人間関係がうまくいかない可能性があります。
その冷たい視線を跳ね返すためにも仕事で実力を発揮しなければならないですし、ミスをすると自分だけでなく紹介者まで批判を浴びてしまうので、コネ入社の人は仕事に対するプレッシャーが大きく、人一倍仕事を頑張らなければなりません。ただしコネ入社の人は面接の際に仕事の能力をきちんと審査されず、甘い合格基準で入社しているので、社風に合わなかったり実力が伴わなかったりといったケースも少なくないです。そして頑張っても仕事についていくことができず、周りからも孤立し、後悔することがあります。
しかしたとえ入社後に後悔しても、紹介者に迷惑がかかるため、コネ入社の人の退職は難しいです。職場が辛くても他にやりたい仕事ができても、少なくとも入社後数年間は、その会社に縛られると覚悟しておくべきでしょう。
コネ入社を利用するかどうかの判断は慎重に
今のところまだコネ入社の面接を受けるかどうか迷っている人には、慎重に判断することをオススメします。その理由はもちろん、コネ入社を利用することによるデメリットが大きいからです。
ここまで述べてきたように、確かにコネ入社の面接は一般応募の面接よりは楽ですし、評価に下駄をはいているので合格率も高くなるといったメリットがあります。とはいえコネ入社であろうと、会社によほどのメリットをもたらす強力なコネでない限り、落ちる可能性は否定できません。結局はコネ入社の面接でも、一般応募と同様に面接対策が不可欠となります。
それなのにコネ入社の場合、受かれば受かったで問題が山積みです。詳しい内容は前章を読めば分かりますが、コネ入社の最も注意すべきデメリットは、自ら人生を選択する自由を奪われるという点でしょう。その会社が気に入らなくても辞退はできず、職場でうまくいかなくても他にやりたいことがあっても退職できず、その会社とコネに自分の人生を縛られることになります。
そのため、就活の手間を省きたいばかりにコネを使って入社したことを、のちのち後悔する人も少なくないです。現在コネ入社を利用するかどうか迷っている人は、メリットとデメリットを比較し、本当にそれでも利用したいのか慎重に判断する必要があります。目下の就活だけでなく長い目で見て、自分の人生にとってプラスかどうか、きちんと考えるようにしてください。コネを使って入社できそうなその会社が、自分に合った社風かどうか、自分の適性に合った仕事かどうか、事前に見極めることも大切です。
コネ入社の面接を成功させる秘訣
先ほどコネ入社を利用するかどうかの判断は慎重にすべきだと述べましたが、もちろんコネを使って入社した人のすべてが後悔するとは限りません。その会社の社風や仕事が自分に合っていて、周りの人もコネ入社に理解があれば、とんとん拍子に活躍できる場合もあります。
とはいえ最初に述べたように、コネ入社の面接でも、全く審査されないわけではないです。要は評価に下駄をはいたような状態なので、その下駄以上に面接での評価が悪ければ、落ちる可能性も十分あります。ここからはコネ入社の面接を成功させる秘訣について説明しますので、面接対策の参考にしてください。
コネがあるからといって面接をナメてかからない
コネ入社の面接を受ける上で最も気を付けるべきことは、コネがあるからと言って面接をナメてかからないことです。
くり返し述べているように、コネ入社の面接といっても、誰でもどんな状態でも受かるというわけではありません。コネ入社の場合、一般応募の面接より合格のハードルが下がるのは事実ですが、だからと言って全く審査されないわけではないですし、「=落ちない」というわけでもないのです。
利用しようとしているコネの種類や企業の方針にもよりますが、大抵の場合、コネは水戸黄門の印籠のように誰もがひれ伏す万能の武器ではありません。コネは面接での評価に下駄をはかせてくれる、踏み台のようなものに過ぎないのです。コネがはかせてくれた下駄の高さ以上に、自分自身が面接官の評価を下げてしまえば、当然落ちる可能性も十分あります。
これからコネ入社の面接に挑む就活生は、そのことをしっかり頭に入れておきましょう。コネがあることに慢心し、大して努力しなくても受かるだろうと高をくくっていると、足をすくわれてしまう恐れがあります。せっかくコネを利用するのですから、そんな悲しいことにならないよう、しっかりと対策して面接に挑んでください。
基礎的なマナーと身だしなみ、定番質問への対策が重要!
コネ入社の面接に対する対策としては、基本的なマナーと身だしなみ、それに定番質問への対策が重要になります。なぜなら、コネ入社の面接で見られているのは主に、就活生の人柄だからです。
一般応募の面接の場合、企業側は就活生の一挙手一投足を鋭く観察し、全ての言動に評価をつけようと身構えています。どんな企業も自社にとって役立つ人間が欲しいですから、その就活生がそれに当てはまるのかどうか厳しくチェックするためです。就活生の言動に見え隠れする才能や、あるいは逆にダメな部分などの兆候を、1つも見逃すまいと目を光らせているわけです。対応力や自社に対する熱意の度合いなどを見るために、就活生が答えにくいような、鋭い質問を投げかけることも結構あります。
しかし前述のように、コネ入社の面接では就活生が答えに詰まるような難しい質問はほとんどありません。コネ入社の面接の場合は、企業側も一般応募の時と違って採用に向けて前向きな気持ちを持っており、できることなら採用したいと思いながら面接しています。ですから就活生の隠れた才能やダメな部分をわざわざあぶり出すような、難しい質問はしないのです。簡単な質疑応答の中で受ける印象によって、採用しても問題ない人柄かどうかを判断します。
とはいえ、できることなら採用したいと言っても、その就活生が企業側の求める最低ラインをクリアしていなければ、当然内定を出すわけにはいきません。難しい質問はないですが、簡単な質疑応答として行われる定番質問にもまともに答えられないようでは、最低ラインをクリアしていないと思われ、落ちる可能性が高いです。また質疑応答の内容以前に、見た目やマナーで相手に不快感を与え、企業イメージを損なうと思われる人物も、当然内定を出すわけにはいかないでしょう。
ですから、これからコネ入社の面接に挑む就活生は、自分がその企業で求められる最低ラインをクリアしていると示せるように対策してください。話す前から第一印象で不快感を与えないよう身なりを整え、言葉遣いや立ち振る舞いなど、面接の基本マナーを身に付けておくべきです。その上で、志望動機や自己PRといった定番中の定番の質問に、きちんと答えられるよう対策します。
自己分析と業界・企業研究を行い、面接でのアピールポイントを考える
コネ入社で面接を受ける人も、具体的な面接対策を始める前に、自己分析や業界企業研究をきちんと行ってください。コネ入社の面接では難しい質問がないから大丈夫だろうと高をくくり、自己分析や業界・企業研究を怠ると、自分の中の何をアピールすれば良いのか分からず、面接がうまくいかないです。
聞かれる質問自体は定番ではあるものの、それに対する答えから好印象を与えるには、自己分析や業界・企業研究が不可欠となります。自分の強みがどんなもので、その企業ではどんな人物が求められており、自分の中の何について述べれば面接官の心に響くのか分からなければ、見当違いなアピールをしてしまう可能性が高いです。そして見当違いなアピールをしていたら、面接官に「本当にうちの会社で働く気があるのかな?」と思われ、評価が下がってしまいます。
ところがコネ入社の面接では、難しい質問がなく合格率も高いということに慢心し、自己分析や業界・企業研究を怠って、自分についてもその企業についても良く知らないまま面接を受けてしまう人が少なくありません。いくらコネで会社にメリットを与えられる人物だとしても、そもそも企業できちんと働く気のない人に内定を出すほど面接は甘くないです。そんな人を雇い入れたら、入社後まともに働いてくれず、メリットどころか企業に損害を与えるだけのお荷物になります。
それに自分のことも企業のこともよく知らないまま入社されると、入社後結局ミスマッチを起こし、後悔する可能性が高いです。それは企業にとっても就活生にとっても、お互いに不幸な結果になります。そのためコネ入社の面接では難しい質問はないものの、その企業の仕事についてきちんと理解できているか、入社後どんな風に働いて行こうとイメージしているかなど、その就活生が自分と企業・業界について理解を深められているか見ている企業が多いです。
ですから面接を成功させるためにも、うっかり自分には合わない企業に入社してしまい、のちのち後悔する羽目にならないためにも、事前にしっかり自己分析や業界・企業研究をしてください。自分と企業に対する理解を深め、自分の適性ややりたいことが明確になっていれば、自然と適切なアピールができると同時に、ミスマッチも防止することができます。
コネの話には触れないこと
たとえコネ入社の面接であっても、面接でコネの話には触れない方が良いです。面接官の方から話を振られれば答えて構いませんが、自分の方からコネの話に触れるのはやめておきましょう。
コネ入社の面接と言っても、実際に面接を担当する面接官の全員が、コネ採用の話や誰が紹介者であるかを把握しているとは限りません。コネ入社の面接は一般応募よりは簡素化されていますが、面接官が一人ではなく、複数いる場合ももちろんあります。面接官にもいろいろな人がいるので、自分がコネを持っている紹介者に対して面接官の全員が好意的とは限りませんし、コネ入社そのものに対しても好意的な面接官ばかりとは限らないのです。
それなのに面接でコネ入社の話や紹介者の話に触れてしまうと、好意的でない面接官たちに余計な先入観を与え、かえって評価が下がってしまう恐れがあります。もともと紹介者に対して悪感情を抱いている面接官なら、無意識にそれを就活生に投影し、長所も短所に見えるかもしれません。紹介者を困らせたいがためだけに、紹介された就活生が合格できないよう、意識的に邪魔をする可能性もあります。
それにコネ入社そのものに対して好意的でない面接官が一人でもいれば、求められてもいないのに自分からコネの話を持ち出すことを、快く思わないでしょう。「コネの話を持ち出すことで適正な評価を逃れようとするズルい人間」「他人の力で入社できると思っている甘い人間」などとうがった見方をされ、評価が下がる恐れがあります。
ですからコネを使って面接を受けるにしても、基本的に面接中はそのことに触れず、一般応募の就活生と同様に振舞うのが適切です。自分からあえて言葉に出さなくても、それを知るべき人はちゃんとコネの件を把握しているので心配いりません。またコネを利用させてもらったことにお礼を述べたいなら、面接後や入社後など面接とは離れたところでするべきです。その方法が分からない人は、コネを利用させてもらった紹介者に相談し、いつ誰にどうお礼を述べるのがベストか教えてもらうと良いでしょう。
コネのない人が今からコネを作る方法
コネ入社にはデメリットも多いものの、それは主に他の企業への選択肢が断たれるという部分が大きいですから、入社後に後悔しそうもない「自分に合った企業」のコネを持っている人を利用させてもらえれば良いわけです。
しかし、そもそも「自分に合った企業」にコネを持っていなければ、利用しようがありません。そこで、自分に合った企業にはコネがないけれど、どうにか今からでもコネを作って面接を楽にする方法はないだろうかと考える人もいますよね。
前述のようにコネにもいろいろな種類がありますから、自ら作り出すことも不可能ではないです。ここからは、そんな「自分に合った企業」にコネを持たない就活生が、今からコネを作る方法について解説します。
親戚、知人、学校関係者などに聞いてみる
「自分に合った企業」にコネを持っていない就活生が今からコネを作る方法の1つは、親戚、知人、学校関係者などにコネを持っていないか聞いてみることです。自分の見知った人たちの中にも、意外なところにコネを持っている人がいないとも限りません。まずは自分の身近なところから当たってみましょう。
「自分の身の回りには、そんな強い権限を持った人はいない」と思う就活生もいると思いますが、心配はいりません。別にその人自身が会社の役員や人事といった強い権限を持っている必要はなく、そういう権限を持った人たちにお願いを聞いてもらえそうな、強い信頼関係や利害関係を持っている人ならいいわけです。そういう意味で言えば、普通の会社の普通の社員でも、どこかしらの企業にコネを持っている可能性はあります。
ただし漠然と「どこかにコネがない?」と聞いても相手は答えようがないですから、その前提としてどんな企業に入社したいのか、自分の中で明確にしておく必要はあります。その上で「○○業界の○○な会社にコネを持ってない?」「○○を活かした仕事ができる企業にコネを持ってない?」と聞けば、「持っている」「持っていない」「少し違ってもいいなら…」といった何らかの回答を得られるはずです。
自分の親や親戚とその知り合い、自分自身の友人知人などのほかにも、頼れるツテはあります。具体的に言えば、大学の研究室やゼミの講師陣とOB/OG、サークル活動やボランティア活動で知り合った人とそれらのOB/OGなどです。自分と直接的な知り合いでなくても口をきいてもらえる可能性はありますので、まずは自分がどんな会社に入社したいのか明確にした上で、身の回りの人に声をかけてみてください。
アルバイトやインターン、就活イベントなどでコネを作る
「自分に合った企業」にコネを持っていない就活生が、今からコネを作るもう1つの方法は、アルバイトやインターンなどを通して自力で企業とつながることです。
アルバイトやインターンなら、働きながら自分の能力・人柄・仕事に対する姿勢を知ってもらうことができます。それを気に入ってもらえれば、特別に目をかけてくれる人も出てくるでしょう。その会社か、あるいは周辺の会社での働き口を紹介してもらえる可能性は大いにあります。しかもアルバイトやインターンで自力で作ったコネなら、自分の能力や人柄や仕事に対する姿勢などを知ってもらった上で推薦してくれるので、その人たちの言葉が面接において強力な追い風になるわけです。
ただし23卒に関しては、すでに就活シーズンも後半を迎えていますから、今からアルバイトやインターンでコネを作るのは難しいかもしれません。そんな場合は就活イベントなどに参加して、企業の人と交流を深めると良いです。
誰が誰だか分からなくなってしまうような大規模なものではなく、少人数制で、直接企業の人とじっくり話ができるようなイベントに参加すると良いでしょう。仕事における能力を直に見せることはできなくても、話をした印象から、コミュニケーション能力や人柄を知ってもらうことは可能です。それを気に入ってもらえれば、一般応募の選考とは別の、特別選考に招待してもらえる可能性はあります。
コネ入社にこだわらずとも面接が楽になる方法はある!
実を言うとそれほどコネ入社にこだわらなくても、一般応募よりずっと面接を楽にし、面接の合格率を格段に上げる方法はあります。それは「就活エージェント」などの、就活のプロに頼ることです。就活エージェントに頼れば、面接がそれほど厳しくない企業を選んで紹介してもらうこともできますし、就活のプロによる面接対策の指導を受けることもできます。
今から自力でコネを作ることも不可能ではありませんが、そのために割かなければならない時間も手間も、正直言ってもったいないです。しかも、その努力をしたからと言って、必ず望むようなコネが得られるとも限りません。そんな無駄骨になるかもしれないことに力を注ぐくらいなら、就活エージェントに頼った方が、確実に面接を楽にすることができます。
就活エージェントは、コネ入社と一般応募の中間くらいに当たり、両方の「イイトコどり」です。就活エージェントからの紹介はコネ入社とは違うので、単純に紹介してもらって受けるだけなら、確かに合格率はコネ入社には敵わないでしょう。しかしその分、就活のプロがあなたの面接力が上がるように指導してくれます。しかもただの面接指導ではなくて、紹介した企業の求めている人物像や、その企業の面接傾向なども把握した上で的確な対策をしてくれるので、普通の一般応募よりもずっと面接の合格率は高いです。
それだけでなく就活エージェントは、もちろんコネ入社と同様にあなたの人柄を保証し、相手企業に推薦してくれます。それでも就活エージェントなら、コネを利用させてもらった人に迷惑がかかる心配はないので、自分の人生の選択肢を奪われることがありません。就活エージェントから紹介された企業の面接を受けてみて、気に入らなければ辞退することもできますし、入社後ほかにやりたいことが見つかったら退職することもできます。
そしてもっと良いのは、就活エージェントを利用すると、コネ入社のように非常に限られた狭い選択肢の中からではなく、幅広い企業の中から自分に合った企業を探せることです。たとえすでに何らかのコネを持っている人でも、そのコネを利用して受けられる企業は1社か2社でしょう。しかし就活エージェントに頼れば、そのエージェントが契約する何百何千という企業の中から、自分に合った企業を探せます。自分がコネのある1社2社の企業がたまたま自分に合っている確率は限りなく低いですが、何百何千という企業の中からなら、必ず入社後後悔しない自分に合った1社を見つけられるはずです。
しかも就活エージェントの場合、一般応募のように自分自身が時間をかけてそれを探す必要はありません。「○○な企業に入社しない」と言えば、就活エージェントがあなたに代わって、希望に合った企業を探し出してくれます。それでも面接に不安を感じる人は、就活エージェントに「○○な仕事ができて、面接が厳しくない企業」とリクエストしてください。就活エージェントは契約企業の面接傾向を把握しているので、コネ入社と同様にあまり難しい質問がなく、和やかな雰囲気で面接を行う企業を紹介してくれます。
キャリchでも、面接を楽にしたい就活生を応援するオンラインサービス「面接サポート」を行っていますので、ぜひ活用してください。あなたの企業に合った企業の中から、面接が楽な企業を探し出し、その企業の面接にピッタリ合ったピンポイントの対策をお手伝いします!
おわりに
コネ入社の面接は、一般応募に比べると楽ではありますが、必ずしも楽勝というほど簡単に内定がもらえるわけでもありません。コネ入社を目指す場合にも結局、面接対策は必須となり、それが不十分だとコネ入社でも面接に受からない場合があります。
それに対してコネ入社には、入社前も入社後もずっと紹介者および紹介で入社させてくれる企業への恩義がつきまとい、人生の選択肢を奪われてしまうという重大なデメリットがあります。もしもコネ入社を利用するつもりなら、面接を受ける前に自分に合った企業がどうかきちんと見極め、入社後に絶対後悔しないという確信を得るべきです。
しかしコネを利用できる数少ない企業が、たまたま自分に合った企業だという確率は決して高くありません。そんな風にこれから先の長い人生を危険なリスクにさらさなくても、就活エージェントに頼れば確実に面接を楽にし、合格率も高めることができますよ。コネで楽に入社できそうだからと言って安易に飛びつくのではなく、メリット・デメリットを把握し、その他の可能性も検討したうえで、慎重に判断してください。
面接サポートに参加しよう!
この記事の監修者
岡田 章吾
株式会社ジールコミュニケーションズ
HR事業部マネージャー
2014年に入社後、人材業界に10年間携わる。企業向けの採用コンサルティングを経て現在に至る。これまでに大手企業含めた150社の採用支援と、3,000人以上の就職支援を担当。
就活支援の得意分野は「書類・動画選考の添削」。特に大手企業のエントリーシートや動画選考に強みを持つ。これまで大手企業を中心に、「1,000名、150社以上」の書類・動画選考突破を支援した実績を持つ。
またこれらの知見を活かして学校におけるキャリアガイダンス セミナー内容の監修、講師を務めるなど、幅広くキャリア育成に尽力している。