内定取り消しはありえる!よくある実例と取り消された時の対処法を解説
2023年3月16日
内定をもらって安心している人は、入社するまでまだまだ油断しちゃダメです。「内定取り消し」って意外と多いんですよ。
キャリアプランナー 平崎
就活生 Aさん
SNSが原因で、内定取り消しになったとはよく耳にします。アルバイトで不適切な投稿をして解雇され、内定取り消しになったとニュースで聞きました。
「自分は大丈夫。」と思っている人は危険です。企業はいつだってあなたのSNSを見ているのですから。
キャリアプランナー 平崎
就活生 Aさん
気をつけないと!SNSの取り扱いには注意したいです。
では今回は内定取り消しについて詳しく解説していきます。不当な内定取り消しもあるので、その対処法についても教えますね。
キャリアプランナー 平崎
目次
そもそも内定取り消しは違法になるのか?
内定をもらった時点ではまだ働いていませんが、卒業後に会社で働くこと、そして入社日が決められていることから、内定を交わした時点で「入社日以降に雇用する」という契約がされていることになります。そのため、内定通知書を受け取った後の内定取り消しは「解雇」と同じ扱いになるのです。
企業は厚生労働省の労働契約の終了に関するルールの「整理解雇」を守らないといけません。
- 人員削減の必要性
→人員削減措置の実施が不況、経営不振などによる企業経営上の十分な必要性に基づいていること - 解雇回避の努力
→配置転換、希望退職者の募集など他の手段によって解雇回避のために努力したこと - 人選の合理性
→整理解雇の対象者を決める基準が客観的、合理的で、その運用も公正であること - 解雇手続の妥当性
→労働組合または労働者に対して、解雇の必要性とその時期、規模・方法について納得を得るために説明を行うこと
上記のルールが守られていないと内定の取り消しは成立しません。ですので、上記以外の理由での取り消しは「不当解雇」ということになります。
ただ現状、内定取り消しのほとんどは「学生側」に問題があり、上記のルールも守られている状態となりますので、不当解雇とはなりません。
では、具体的にどのようなことをすると内定が取り消されてしまうのか。次項より解説します。
内定が取り消される理由を実例とともに解説
内定取り消しが認められるかどうかは「取り消しの内容次第」です。では、具体的にどんな理由だと内定取り消しが認められ、どんな内容だと不当な理由になるのか。
よくある内定取り消しの実例とともに解説します。
よくある内定取り消しの理由と実例
まずは内定取り消しが正当であると判断される場合の実例を解説します。下記のような理由は内定取り消しが正当だと判断されるので、学生側が取り消し無効の申し入れをしても挽回は難しいので、あらかじめ注意しておきましょう。
- まず「学業」に関することで内定が取り消しになるケースです。単位不足や卒論が間に合わず卒業できなかったなどといった理由はもちろん、卒業前に「退学」になってしまえば内定は当然、取り消されます。まれに卒業するまで待ってくれる企業もありますが、たいていは卒業できないと分かった時点で内定を取り消すので、内定が取り消されないようにしっかりと単位取得、卒業までの準備を整えておきましょう。学生の本業は勉学です。
- 次に「入社までの準備」に関する内容での取り消しケースです。上記で言うと「書類の未提出」や「仕事をする上で必要な資格を取得できなかった」などが当てはまります。これらの入社に関する準備が万全でないと入社させることができないのは当然です。提出物の期限を守る、必要な準備をしっかりとしておくことは社会人として、できて当たり前のことですので、気をつけましょう。
- また「違法行為」の発覚も当然内定は取り消されます。警察沙汰になるのはもちろんNGですし、迷惑行為や過去の犯罪歴などの発覚でも内定が取り消される場合があります。さらに、履歴書に書かれた学歴や資格などの詐称もNGです。これらは立派な犯罪行為ですので、入社後に発覚しても退社という形になるでしょう。
- そして近年、内定取り消し事由の代表として挙げられるのが「SNS」です。SNSに会社の悪口や不適切な内容の投稿が理由で内定が取り消されます。なぜSNSに投稿したことがバレてしまうのか。それはSNSをチェックしている企業が近年増え続けているからです。採用活動期間に限らず、内定承諾後もチェックしているので、投稿する内容には注意しましょう。
- さらに「体調面」による内定取り消しのケースもあります。入社に影響が出るほどの大けがをしてしまった、病気になってしまった(持病の悪化も含む)などといった理由や、女性の場合は妊娠発覚により内定が取り消される場合もあります。しかし、業務に影響が出ない程度のものであれば取り消しは不当になりますので、医師から証明書をもらい、企業へ相談してみましょう。
- そして最後に「企業側による事情」が内定取り消しの理由として挙げられます。具体的には「人件費が経営を圧迫してしまうため、既存の社員を確保するために、内定者の契約を取り消す」というものです。整理解雇の「人員削減の必要性」にもあるように、業績不振により取り消されることはあります。
「内定取り消しにならないようにSNSの注意点を知りたい。」と考えている人はぜひ「就活相談サポート」で相談してください。せっかく苦労して内定をもらい、取り消しになったら悲しいですよね?ぜひ気軽に相談してくださいね。
内定取り消しが不当になるケース
整理解雇に当てはまらない理由が「不当な取り消し」ということになります。具体的な内容として下記のような理由が挙げられます。
- 企業と学生との間で内定が承諾されたにも関わらず、「社風に合わない」「印象が良くなかった」など、抽象的かつ主観的な理由での取り消しは不当だといえます。採用時に見極めることができたにもかかわらず、後付けのような理由は認められません。この場合は「不当な取り消し」として対処しましょう。
- 過去の出来事から内定が取り消されるケースがあり、内容次第では不当になる場合があります。先ほどもお話ししたように「犯罪歴があった」などという過去の過ちから正当な内定取り消しとなるケースがほとんどですが、まれに「正当な理由ではない」と認められるケースもあるのです。
記憶に新しいのが、日テレアナウンサーに内定したものの、過去にキャバクラで働いていた過去が発覚し、内定が取りされた事例です。これはのちに和解し、無事に入社しましたため、結果として「不当な取り消し」ということになりました。 - 他にも似たようなケースとして、「企業側の一方的な理由からの取り消し」が挙げられます。整理解雇に基づき、やむを得ない状況では「正当な取り消し」と認められるケースがありますが、採用時に経営不振が予測できたにも関わらず、内定後に取り消してしまうと「不当な取り消し」になります。
これらは企業によってNGラインの線引きが異なるため、一概に「これなら大丈夫」と断言することはできません。ですので、不当か正当かはっきりしない場合は、キャリアセンターや専門家に相談してみましょう。
内定が取り消された時の対処法
やっとの思いで手に入れた内定なのに、それが取り消されてしまうとショックですよね。まして、入社ギリギリに取り消されてしまっては就活をやり直す時間もないですし、最悪の場合、入社先がないまま卒業を迎えてしまう可能性もあります。
では、そんな事態を避けるために、万が一、不当に内定が取り消されてしまった場合どのように対処すればいいのかを解説します。
まずは内定取り消し理由について「文書回答」を求める
明らかに不当な理由から内定を取り消されたと感じた場合は、企業へ内定取り消しの理由を問い合わせましょう。企業側は内定取り消し理由を学生に伝える義務がありますので、申し入れを拒否することはできません。
また理由を求める際は口頭ではなく、文書で答えを求めてください。そうすることで形に残すことができるため、万が一の時に証拠として提示することができます。
また、一度文書に残すことで後々企業は口出しをすることができなくなりますので、必ず形に残る証拠として、文書で取り消し理由を問い合わせてください。
大学に相談+法的な手段も視野に入れ、会社と交渉する
内定を取り消されたらまずは大学へ報告をしましょう。そして、どのように対処すべきなのかのアドバイスをもらいます。大学側がこのようなケースに直面した経験をしているので、その人に適した対処法を教えてくれるはずです。
内定を取り消されたら早急に対応しなくてはならないため、まずはすぐに相談できる大学へ報告をしましょう。
そして次に、直接会社と交渉を行います。不当だと感じた理由や企業からの取り消し理由(文書)を用意し、内定取り消しは不当だと企業へ訴えてください。
話し合いの結果、企業が不当な取り消しと認めればそれでOKですが、一度取り消しを提示した企業があっさり「取り消しは無効」と認めることも少ないので、万が一に備えて法的な手段も視野に入れておきましょう。
- 地位確認の請求
→内定取り消しを無効にさせるための手段。会社に入るため、従業員としての地位の確定を求めます。 - 損害賠償請求
→内定を取り消した会社への入社を諦める代わりに損害賠償金や慰謝料を求める手段。
他にも入社を求める裁判では、職に就いていない裁判期間中の生活費を求める「賃金仮払いの請求」などもあります。これらの法的手段を使う際は弁護士に頼るのが賢明です。お金はかかってしまいますが、個人でやるよりも確実な成果を出せます。
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就活エージェントなどを活用する
弁護士よりもフランクに相談できるのが「就活エージェント」です。就活エージェントはさまざまな企業とつながりがあるため、独自のルートで直接交渉してくれるかもしれません。また大学同様、このようなトラブルを数多く解決してきた実績もあるため、とても心強いです。
キャリchでも内定の取り消しに関するトラブル解決から、就活全般のサポートを行うイベント「就活相談サポート」を開催しています。若いカウンセラーがあなたと向き合い、一緒に就活をしていきます。ぜひ参加してみてください。
内定が取り消されないために気を付けておきたいこと
内定が取り消されてしまう原因のほとんどは「学生側」にあります。ですので、学生は内定を取り消されないないように日ごろから気を付けておく必要があります。具体的に意識しておいてほしいことは下記のとおりです。
- 軽率な行動をしない(特にSNSに注意!)
- 卒業できるように単位を取得する
- 手続きの確認&期限を守る
- 入社のための準備を早めに整えておく(資格取得)
- 体調管理をしっかりとする
内定をもらったことで油断し、羽目を外してしまわないように注意してください。犯罪を起こさないことは大前提ですし、酔いつぶれるなどといった他人に迷惑をかけるような行為もNGです。
さらに特に注意したいのがSNSです。近年、多くの企業が学生のSNSをチェックしていますし、先ほども述べたようにSNSの投稿で内定が取り消されるというケースは多くあります。SNSは常にみられているという自覚をもって、問題となるような発言をしないように注意しましょう。
また、卒業するために必要な単位を取っておくことも大切です。単位が取れず、入社できなかった。は一番恥ずかしい理由です。笑われないよう、しっかりと単位取得をしておきましょう。万が一卒業が難しそうな場合は大学に相談をしましょう。教授によっては単位を補うための課題を提出すればOKとしてくれる場合もあります。すぐにあきらめず、できることは必ずやりましょう。
そして手続きに不備があったり、期限内に手続きができない場合でも内定は取り消されてしまうことがあるので、しっかりと確認をしましょう。期限を守ることは社会人としてできて当たり前のマナーです。
また、入社までに必要な準備がある場合は、早めに用意しておきましょう。書類などはもちろん、「不動産業界に入社予定で、入社までに宅建が必要」などといった資格取得が義務づけられている場合もあるので、しっかりと確認しましょう。
そして体調を崩さないことも重要です。病気にならないために普段から健康に気を付けましょう。また、羽目を外して骨折などをしてしまった、などといった大きなケガをした場合も内定が取り消されることもあるため、内定を持っているという自覚を持って行動しましょう。
おわりに
内定取り消しはまれに不当なものもありますし、不当な取り消しにはしっかりと対処しなければいけません。しかし、内定取り消しのほとんどが「学生側」の問題です。そのため、学生は内定が取り消されないようにするために、内定をもらったという自覚を持ち、問題となる行動をしないようにする必要があります。
苦労し、やっと手に入れた内定にホッとし、つい羽目を外したくなる気持ちもわかりますが、一瞬の気のゆるみが今後の人生をも左右してしまう可能性があるということを覚えておいてください。
内定獲得はゴールではありません。むしろ入社してやっとスタート地点に立てるのです。無事にスタート地点に立てるよう、一人の大人としての自覚をもって行動しましょう。
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この記事の監修者
平崎 泰典
株式会社ジールコミュニケーションズ
HR事業部マネージャー
2016年に入社後、企業向けの採用コンサルティング業務を経て、就職・転職希望者に対する個別就職支援を担当。「キャリチャン」「合説どっとこむ」において年間100回以上の就職・転職セミナーの講師も務める。
主な担当講座に「営業職や種類が適性がよくわかる解説講座」「手に職をつけられる仕事解説講座」などがあり、これまで3,000名以上に対して講座を実施。
就職支援では「自己分析」と「業界研究」を得意として、就活初期の学生や求職者を相手に基礎からサポートを行う。年間1,000名以上の内定獲得を支援。