「インターンシップは意味ない」という意見が出るわけとは?

 2023年3月9日

よく就活生からインターンシップに参加すべきか迷うといった質問をもらいます。インターンシップって実際興味ありますか?

キャリアプランナー 岡田

就活生 Aさん

なんとなくインターンシップに行った方が就活に有利なのかな、という気がしています。でも、本当にインターンシップって意味あるんですかね?

インターンシップに参加するメリットをイメージできていないと、参加すべきかどうかを判断するのは難しいかもしれませんね。

キャリアプランナー 岡田

就活生 Aさん

たしかに、インターンシップに参加していなくても内定をもらえる人はもらえるイメージがあって、必須じゃないのかもと感じています。

では、インターンシップは本当に意味ないのかについて解説するので、自分にとって必要かどうか改めて考えてみましょう。

キャリアプランナー 岡田

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インターンシップとは

インターンシップとは

インターンシップとは、学生が企業の雰囲気を見たり、実際に業務体験をすることをいい、参加学生もインターンシップ実施企業も共に増加の一途を辿っています。 インターンシップには学生側、企業側それぞれに目的があり、学生側は実際に企業に触れることによる企業選びや企業分析の情報収集、企業側は企業自体の宣伝、商品や製品のアピール、マーケティングなどです。 また、優秀な学生に就活シーズンが始まる前に接触したいという目的もあります。 基本的に大学3年生が多く参加するインターンシップですが、参加規程がなければ大学1、2年生や大学院生でも参加することが可能です。

インターンシップの2つの種類

インターンシップの2つの種類

インターンシップには基本的に2つの種類があります。

種類1:短期インターンシップ

短期インターンシップとは、1日から1週間、長くても2週間程度の期間で実施されるものを言います。 1日のみのインターンシップは主に企業説明会のような形式か職場見学のようなものを行うことが多く、1週間以上になればインターンシップ用のプログラムを行うことがほとんどです。 インターンシップ用のプログラムでは、学生同士でグループを作り、共同で課題の解決や発表を行うことがメインのため、実際の業務に触れることはできません。 企業説明会や実際の業務を体験できない短期インターンシップでは給料が出ることはほとんどありません。

種類2:長期インターンシップ

長期インターンシップとは、1カ月以上から無制限の期間で実施されるものを言います。 1カ月以上のインターンシップは実務に関われることが多く、給料が出ることがほとんどです。 実務ではインターンシップ先の社員から指導を受けながら、様々な業務に触れることが可能になっています。 また、企業によっては交通費やインセンティブが出るところもあります。

企業がインターンシップを行う3つの目的

企業がインターンシップを行う3つの目的

企業がインターンシップを行うのにはどのような目的があるのでしょうか。

目的1:企業PRや商品告知、マーケティング

企業がインターンシップを行う目的の1つは企業PRや商品告知、マーケティングなどです。 企業PRには、企業そのものをPRする場合と事業内容についてPRする2つのパターンがあります。 企業そのものをPRする場合は、就活時の応募者の増加や知名度を上げることを目的としている場合があり、事業内容についてPRをする場合は、比較的企業の知名度はあるけれど、どのような事業を行っているかが知られていない場合や事業内容が勘違いされている場合に、誤解を解くことを目的としている場合があります。 また、商品の告知やインターン生を使ってマーケティングをすることを目的の1つとしている企業もあります。 そのようなインターンシップは社会に対して開かれた組織であるというアピールにもなります。

目的2:ミスマッチの防止

企業がインターンシップを行う目的は、ミスマッチを防止するためです。 新入社員の30%は3年以内に退職しており、その多くは「こんな企業だと思っていなかった」「こんな仕事だと思っていなかった」というミスマッチが原因です。 このようなミスマッチを防ぐためにもインターンシップに参加してもらい、企業の状況を知ってもらうことで学生の勘違いを減らせると同時に、企業側も「こんな学生だと思っていなかった」という誤解を減らすことができます。 企業は採用に多くの時間と経費、人材を使って採用者の選定を行っていて、その採用者が3年以内に退職してしまうと多くの労力が無駄になってしまいます。 退職者を少しでも少なくしたいというのは多くの企業にとって課題です。

目的3:優秀な学生との接触

企業がインターンシップを行う目的は、優秀な学生と接触するためです。 インターンシップは書類選考や面接よりも長い時間学生と接する事ができるため、多くのことを知ることができます。 インターンシップに参加している学生の能力や性格、協調性、学生の希望と実際の業務がどのくらいズレているのかを知ることで、志望度の強さ、企業とマッチしているのかを把握することができます。

ここで紹介した目的はほんの一例です。企業がインターンシップ制度を取り入れる目的はほかにもあります。希望する業界や企業がどんな目的でインターンシップを行っているか、気になるなら多くの情報を持つプロに相談してはどうでしょうか?

キャリchが開催する「就活相談サポート」では、あなた専任のキャリアプランナーに相談ができます。まずはプロの意見を聞きながら、リサーチを進めましょう。

ブラックインターンシップの実態

ブラックインターンシップの実態

インターンシップに参加する学生も開催企業も年々増え続けています。 しかし、増えている企業の中には不法にインターン生を利用しているところがあり、そのようなインターンシップをブラックインターンシップと言います。

ブラックインターンシップとは

ブラックインターンシップとは社員やアルバイトと同程度、もしくは利益を生むような作業をさせているにも関わらず給料を支払わない、最低賃金を下回る金銭を支給しているインターンシップのことです。 インターンシップが職場見学や職業体験のように労働と見なされない場合は無給でも構わないのですが、利益を生むような作業をさせていた場合はインターン生も労働者となり、最低賃金以上の対価を支払う義務が発生します。 インターンシップに参加する学生が増えている現状を都合よく利用している企業や無自覚にインターンシップ=無給と勘違いしている企業がブラックインターンシップを生んでいます。

学生を労働力として考えている企業

ブラックインターンシップを行う企業は、学生を労働力としてしか考えていないことが多く、またブラック企業である可能性が高いため参加する必要がありません。 インターンシップでの学生の立場はどうしても下になってしまい、企業側はこの立場を利用し、学生の労働だけを求めていることがあります。 労働力を求めるのであれば、インターン生は労働者となり、賃金が発生しますので給料などを支払わなければいけませんが、ブラックインターンシップといわれる現場では給料を支払わなかったり、最低賃金を下回る金銭を支給しています。 このようなインターンシップに参加しても何も得ることがないため意味がありません。 また、実際に入社しても「新入社員なのだから」といって雑用を押し付けられてしまうことが目に見えています。 そのため、学生自身もただの労働力としてでしか見ていないブラックインターンシップなのかを見極める必要があるのです。

ブラックインターンシップによって起こるトラブル

今まではブラックインターンシップと気づいた学生が辞めたとしても、企業は次のインターン生を募集すれば済む話で、表に問題が出てくることはほとんどありませんでした。 しかし、SNSが身近になったことでネット上で告発が行われたり、実際にはブラックインターンシップとまでは言えない程度であったとしても企業名が晒されるなどして新たなトラブルの元になっています。 ここはブラックインターンシップなのではと疑問に思っても、いきなりSNSに投稿するようなことはやめましょう。 実際にブラックインターンシップなのかは別にして、企業の名誉や業務の妨害になってしまうと大きな問題になってしまう恐れがあります。

ブラックインターンシップ対策

ブラックインターンシップは労働基準監督署から是正勧告を行うことができます。 相談は労働基準監督署以外にも大学や地域の労働相談センター、厚生労働省、NPO、労働相談のホットラインがあり、訪問や電話、メールを使って相談をすることができます。 また、不法に利用された労働に対しては労働基準監督署が指導することによって正当な賃金が支払われますので相談の上、活用しましょう。 学生はインターンシップに参加できなければ就職できないという誤解をなくすことが必要で、企業に悪用されないためには自身を守る知識を身につけることが必要です。

万が一ブラックインターンシップに遭遇したら、と思うと不安ですよね。そこで、もしもに備えて多くの企業情報を持つプロに事前に相談してみるのもオススメです。

キャリchが開催する「就活相談サポート」では、あなた専任のキャリアプランナーに不安や疑問を自由に相談できます。まずは客観的に情報をもらいながら、リサーチを進めましょう。

インターンシップに参加する意味がないは本当?嘘?

インターンシップに参加する意味がないは本当?嘘?

学生を単なる労働力として考えているブラックインターンシップを除き、参加する意味があるのかどうかは学生によって違います。 まだ希望の業種、職種が見つかっていない学生、希望の業種は見つかっているけど業界内の企業差が分からない学生、既に希望の企業が決まっている学生など同じ就活生と言っても状況は学生によってさまざまです。 そのためインターンシップに参加する意味がある、ないは言い切ることができません。

インターンシップに参加する意味がある場合

インターンシップに参加する意味がある場合

どのような時にインターンシップに参加する意味があると言えるのでしょうか。

メリット1:ビジネスマナーやスキルなどを学べる

実務に関わるようなインターンシップに参加すると、ビジネスマナーや業務に必要なスキルを学ぶことができます。 単にビジネスマナーと言ってもお客様と直接会う時、名刺の渡し方、電話やメールで求められるビジネスマナーはそれぞれ違っています。 また、業務内容によっては「Excel」「Word」「PowerPoint」「illustrator」などを使うこともあり、業務で使用するソフトの使い方も学べます。 特別なスキルが必要とされるようなプログラミングやマーケティング、ライティング、編集などのインターンシップはより具体的なスキルを学べることもあります。

メリット2:働くということを実感できる

インターンシップに参加することで、働くということを実感できるようになります。 新卒者が退職する理由の中には「職場環境に慣れなかった」というものがあり、このような違和感は単にそれぞれの職場と合わなかったという見方もできますが、働くということに対して準備ができておらず「職場環境に慣れなかった」という可能性もあるのです。 インターンシップに参加することで少なくとも働くということに対しては、心の準備を得るだけの意味があります。

メリット3:企業分析ができる

インターンシップに参加すると企業分析ができます。 どのような企業か、どのような職種なのか、どのような職場であるのかはインターンシップ次第で把握することが可能になります。 また、状況を把握することで自身が働くことになる将来を具体的に考えることが可能になり、インターンシップに参加する前は特に意識していなかった職場の清潔度などによって志望企業の順位が変わるようなことがあるかも知れません。

メリット4:稀に採用に繋がる

インターンシップに参加することで採用に繋がることがあります。 本選考に必要な企業説明会の免除、1次2次試験の免除、最終面接(役員面接)のみになったりします。 また、外資に多く見られる例ですが、インターンシップに参加した人の中から本選考を行うという企業もあり、そのような場合はインターンシップに不参加=不採用となってしまいます。 自分が志望している企業、候補に入れている企業がどのような採用基準なのかを事前に調べておかなければ、入りたいと思っても既に受けるチャンスがなくなっているという事態に陥りかねません。

メリット5:モチベーションになる

実際の職場に足を踏み入れることは就活をする上でのモチベーションになります。 ここで働いたら、この人たちと一緒に働いたらと、想像が少しずつ具体的になっていきます。 より具体的になることで自分が大学を卒業したら、働くことになるんだなという実感と共に大きなモチベーションが生まれます。

メリット6:自分を知るきっかけになる

インターンシップに参加することで自分を知るきっかけになります。 複数のインターンシップに参加すると企業同士を比べたり、中の社員を比較したり、業務内容の違いを感じることになります。 その時、以前は特に意識していなかった所で引っかかったり、モチベーションになっている自分自身に気づくことがあると思います。 インターンシップという普段と違う現場に身を置くことで自分自身でも知らなかった自分を知るきっかけになるのです。 たとえその企業に入ることがなかったとしても、自身に対する気づきとして大きな意味となります。

インターンシップに参加する意味がない場合

インターンシップに参加する意味がない場合

インターンシップに参加する意味がある場合もあれば、意味がない場合もあります。

デメリット1:企業説明会

最も多くの学生が無意味と感じるインターンシップが企業説明会です。 企業説明会であるにも関わらず、インターンシップと表していることに多くの反感が生まれています。 その中身も企業や事業の説明がほとんどで、HPや資料に載っている内容と同じような説明をしているだけというインターンシップが多く見られます。 これは近年インターンシップが増え続けている社会状況に、企業の準備が追いついていないことや企業PRに工夫ができていないことが原因です。

デメリット2:興味があることをやれるわけではない

企業や職種に興味があって、インターンシップに参加したとしても、興味があることを体験できるとは限りません。 どのようなインターンシップなのかは参加してみなければ分からず、中身について要望や提案をすることはできません。 特に「○○企業の△△に興味がある」と1つの職種に限定してしまうと、希望の業務を体験することは難しいとあらかじめ想定しておくと良いです。

デメリット3:目標が定まるとは言えない

インターンシップに参加したからといって目標が定まるとは言えません。 短期で少しずつ企業のことを知っても、目標を定めるには材料が足りないのかも知れませんし、長期で入ったとしても希望とズレていれば時間を浪費するだけになる可能性もあります。 インターンシップに参加=目標が決まるのではなく、どのような気持ちで参加するのか、どのような期待を持って参加するのかが大きなポイントになります。

デメリット4:ほとんど採用に繋がらない

稀に採用に繋がることもありますが、基本的にインターンシップに参加したからといって採用に繋がることはほとんどありません。 採用に繋がることを求めてインターンシップに参加するのであれば、ほとんどの場合は無意味になってしまうので、採用を求めてインターンシップに参加するのはオススメできません。 職種に対する理解などの目標を持って参加し、結果として「採用に繋がれば良いな」という程度に留めておきましょう。

デメリット5:インターンシップに参加しなくても内定は取れる

インターンシップに参加しなくても内定は取れます。 学生の7割程度がインターンシップに参加していますが、インターンシップに参加した企業に入社した学生は2割程度しかおらず、ほとんどの学生はインターンシップに参加した企業とは別の企業に入社することになっています。 つまり、インターンシップに参加することと入社することが繋がった学生はむしろ少数であることが示されています。 インターンシップ選考に落ちたから、インターンシップに参加していないからと言って勝手に諦める必要はないということになります。

デメリット6:もう志望企業が決まっている

もう志望企業が決まっている学生もインターンシップに参加する意味はありません。 例外として、志望企業がインターン生を募集していれば参加することをオススメしますが、それ以外の企業のインターンシップには参加する必要はありません。 入社を目指して企業研究、自己分析、面接対策をして備えましょう。 しかし、志望企業のインターンシップが開催されていない場合はライバル企業のインターンシップに参加することで比較や分析の材料とする方法もあります。

おわりに

ブラックインターンシップ以外のインターンシップに意味があるのかどうかは学生次第ですが、まずは企業がどのような目的を持ってインターンシップを行っているのかを知るところから始めましょう。 次に自己分析を行うことで自身にインターンシップが必要なのか、意味があるのかどうかが分かるようになります。 志望企業や業種がどのくらい絞られているのか、身につけたいマナーやスキルがあるのか、働くということに対してどの程度想定や覚悟を持っているのかなどを、重点的に把握することができれば良いでしょう。

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この記事の監修者

監修者:岡田章吾

岡田 章吾

株式会社ジールコミュニケーションズ 
HR事業部マネージャー

2014年に入社後、人材業界に10年間携わる。企業向けの採用コンサルティングを経て現在に至る。これまでに大手企業含めた150社の採用支援と、3,000人以上の就職支援を担当。

就活支援の得意分野は「書類・動画選考の添削」。特に大手企業のエントリーシートや動画選考に強みを持つ。これまで大手企業を中心に、「1,000名、150社以上」の書類・動画選考突破を支援した実績を持つ。
またこれらの知見を活かして学校におけるキャリアガイダンス セミナー内容の監修、講師を務めるなど、幅広くキャリア育成に尽力している。

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